怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

植島啓司「日本の聖地ベスト100」

2020-11-21 06:44:34 | 
植島啓司と言う人は初めて知ったのですが、日本の聖地と言うタイトルに引かれて図書館で何気なく手に取ってみた本です。

一応聖地ベスト100と言う題名で、100のリストもあるのですが、一つ一つのガイド本ではありません。聖地とは何かと述べたのち著者が実際に訪れた聖地の見聞記となるのですが、ここではリストの順番と言うこともなく具体的に紹介されているのもほぼ半分だけです。ちなみにランキング1位は天河大弁財天社、2位は室生寺・室生龍穴神社です。
著者によれば、聖地の定義としては
1;ある特定の人物にゆかりのある土地であって、その目印になるような自然条件が選びだされたとするもの
2;特別な自然条件を備えた場所がまずあって、それが人々を引き寄せ、そこでなにがしかの祭祀的な行為を引き出したとするもの。
どちらにしても、「神の降臨した場所」と言うことみたいです。
聖地には神の臨在を感じさせる場所と、神に対して祈りをささげる場所の二通りがありますが、一般に私たちが聖地巡礼のように訪れるのは祈りを捧げる場所ですが、神を感得した場所としての聖地は、ほとんどの人は訪れていないし、訪れるのにはそれなりの苦労があるみたいです。
最初に挙げられるのは室生寺と長谷寺ですが、どちらも若かりし頃参拝しています。室生寺は近鉄室生口から歩いた記憶ですが、急勾配の奥の院迄は行った記憶があるのですが、本当の聖域は室生寺が創建されるよりもずっと前から聖域と崇められていた場所とか。室生寺の前から室生川に沿って1キロぐらい遡った道沿いにある室生龍穴神社です。実際の龍穴は山中をさらに1キロぐらい進んだところにあるので、それなりの準備と覚悟が必要でしょう。でも名古屋から日帰り圏内ですので機会があれば一度訪れてみたいものです。
次はすぐ隣の長谷寺なんですけど、長谷寺自体も素晴らしいのですが、奥の院の瀧蔵社が長谷寺の地主神で、今昔物語にも出てくるほど繁栄していたのですが、今は訪れる人もあまりいない。ここはタクシーぐらいしかなかなか行けないみたいです。
次の聖地は日光。東照宮は友人と鬼怒川温泉に行ったときに参拝したのですが、そもそも東照宮鎮座以前から日光は修験道の聖地であり、弘法大師も慈覚大師も来たとかの伝承がある。その中心は瀧尾神社で、東照宮から稲荷川に沿っての参道をほぼ1時間歩いて行く。ここにも龍穴があり瀧がある。東照宮の喧騒が嘘のような静寂の中に本来の聖域を感じることができるそうです。ここも機会があればと思うのですが、残りの人生で日光は機会があるかどうか。
こうして読んで行くと伊勢とか熊野は何と聖地が多いことか。今までに行ったところも多いのですが、物見遊山の観光客として祈りを捧げる場所までで、奥の院とか知られていない聖地には無縁でした。ちなみに愛知県はリストに載る聖地はありません。
この本で出てくる山形県の立石寺、島根県の出雲神社、高知県の足摺岬、那智神社などは行った事があるのですが、単なる観光客として何ら考えなく通過しています。
伊勢熊野なら日帰りか一泊で行けるので、今度行くときにはこの本片手に絶対奥の院まで行ってみようなどと思うのですが、一人ならともかく一緒に行く酔狂な人は私の周りには見当たらないような。
出羽三山とか宇佐・国東半島、阿蘇・高千穂とか吉野・高野山とかは機会があればと思いつつその機会がないまま高齢者になってしまいました。それでもまだ何とか歩けるうちに行けるところは行けたらと思うのですが、一人旅だと一人で食べる夕飯がわびしいのが難点です。
一緒に借りたのは今野敏の東京湾臨海署安積班シリーズの「炎天夢」。テレビドラマにもなっているシリーズです。あまり何をする気にもならない時でもサクサク読めるので重宝しています。シリーズでもう何作かになっているのですが、記憶力減退している中で題名だけでは読んだかどうかが定かでなくなっているのが難点です。でも安積班の面々の個性的な姿と活躍、敵役となる対抗意識丸出しの同僚、本庁の刑事とのやり取りはどこの職場でもありそうで読んでいて引き込まれてしまいます。おかげで途中でやめられずに半日で読了してしまい、有り余る暇をつぶすのには一時しのぎ。安積班では小太りの動作がのろげな、それでいて判断力と言うか勘が鋭い須田刑事が魅力的で、確かドラマでは塚地が演じていたと思うのですが、イメージ通りですが、欲を言えばもう少し若ければいいのですが。それにしても東京湾臨海署では当然ながら小説の新刊が出るたびに殺人事件が起きるのですが、世の中殺人事件はそんなに多くないよね。

コメント
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