バブル経済華やかしかり頃、「ビーパップハイスクール」や「ろくでなしBLUES」の世界にあこがれたような「ヤンキー」は街を跋扈し、暴走族はびゅんびゅん飛ばしていた。
いつの間にかそんな「ヤンキー」をあまり見かけなくなったような気がする。暴走族の爆音もあまり聞かない。暴走族はそのまま高齢化してしまい暴走族仕様の改造された古いバイクでツーリングする「旧車會」といういたって健全な組織が現れたそうだ。
今もヤンキーはいるのですが、かつてのような血の気の多いツッパリとはタイプが違ってみたいです。今やヤンキーはやさしくマイルド=「マイルドヤンキー」になっているのです。

著者が「残存ヤンキー」と呼んでいる昔の儘で今も残っているヤンキーも、中身は大変マイルドでおしゃれになっています。ファッションはEXILEのようなスタイルで悪羅悪羅(オラオラと読むんだそうです)したビジュアル(私にはなんのこっちゃですけど)です。マイルドヤンキーでより多くの者はこれも著者のいう「地元族」です。見た目は全くヤンキーでなく、内心はヤンキー性にあこがれを持っているのですが、地元のファミレスや居酒屋や仲間の家でダラダラ過ごすのが大好き。ここでいう地元とは5キロ四方の小中学校の学区程度で、ここが主な活動範囲。
これはいったいどうしたことなのか。世の中バブルがはじけ成長するのが当たり前の時代から、失われた20年を経て現状維持が精いっぱいに時代になっていました。矢沢永吉の「成り上がり」的な上昇志向は現実に望むべくもなくなり、今の若者の気分にはそぐわなくなっていたのです。
ではこのマイルドヤンキーはどのような行動様式なのでしょうか。ちなみに著者は博報堂の若者研究所のリーダーで、新しいマイルドヤンキーの消費行動を調べるのが本職です。
マイルドヤンキーは野望を持たない。キャリア志向はなく地元で仲のいい友達と穏やかに暮らしたい。こう書くと「隠居」かと言いたくなりますが、都会に出てストレスを受けたりリスクを負ったりするのはいや。う~ん、
そんな彼らを徹底調査すると趣味で多いのは飲酒にカラオケ、ギャンブルとの親和性も高い。ITスキルは低めで、スマホ率は高いのですが持て余し気味、使いこなしていません。アニメは好きでキャラクターグッズも好き。
酒でよく飲むのは焼酎、居酒屋で焼酎を1本頼んでおけば飲みたい人はたくさん飲め、飲まない人は薄く割って飲むこともできる。酒を飲むことより仲間と楽しく語り合うのが目的です。でもこれはわがテニスクラブのいつもの宴会とよく似ている。
車は単なる移動手段というよりも大事な地元の友達と親密な時間を過ごし、絆を育む大切な空間。そのせいかいわゆるスポーツカーへの志向はなく乗っているのはリーズナブルな小型車、軽自動車で、求めている車は大型ミニバン。多くの人の目に触れる電車の乗るのはあまり好きでないので、移動の手段は主に車。自動車メーカーにとって有力な消費者です。これからの自動車開発ではマイルドヤンキーの好みをうまく取り込んだものがヒットする…
買い物も当然地元なのですが、大型ショッピングモールがあれば十分。日の出町の奥さんの名言「日の出の若者にとって、イオンは夢の国。イオンに行けば何でもできるんです。」今やわざわざ東京に行かなくても大型ショッピングセンターに行けば全国的に展開するメジャーショップがそろっていて、そこへ行けば「ほどほど」の満足が得られるのです。
そして「夢は結婚、幸せな家庭を持つこと」。地元で結婚し、家庭を築き、地元友達の家族同士、子供同士で平穏な生活を営むことを切に望んでいる。そしてマイルドヤンキーたちは今の生活に相対的にある程度の幸福感や満足感を覚えている。
その上昇志向のなさ、野望のなさには愕然としますが、今の世の中、普通の結婚と家庭生活を築くことがいかに難しいことかということの裏返しかもしれません。これも成熟社会に生きる知恵?
彼らの消費性向は高く、彼らの希望を確実に手に入れるための消費ならば決して厭わない。どのくらいのボリュームでいるのかはよくわかりませんが、住宅に困らずそこそこの生活ができる地方ではマイルドヤンキーたちは若者の主流で結構消費動向を左右する存在かもしれません。
では彼らマイルドヤンキー向けの新しい商品やサービスとは?これは博報堂の専門なのですが、第4章でいろいろ列挙しています。なるほどと思うものもこれはちょっとと思うものもありますが、消費性向の特徴として「既知のものしか欲しいと思わない」があげられます。「知らないものは、欲しがらない、欲しがれない」。ある意味非常に保守的なのですが、大切なのは、今と地続きの生活が明日以降も平穏無事に続いていくこと。未来に対して過剰な希望も過剰な希望も抱いていない。まさに失われた20年の申し子なのです。
なかなか分析されていなかったマイルドヤンキーの姿を炙り出しています。新しい若者論です。
いつの間にかそんな「ヤンキー」をあまり見かけなくなったような気がする。暴走族の爆音もあまり聞かない。暴走族はそのまま高齢化してしまい暴走族仕様の改造された古いバイクでツーリングする「旧車會」といういたって健全な組織が現れたそうだ。
今もヤンキーはいるのですが、かつてのような血の気の多いツッパリとはタイプが違ってみたいです。今やヤンキーはやさしくマイルド=「マイルドヤンキー」になっているのです。

著者が「残存ヤンキー」と呼んでいる昔の儘で今も残っているヤンキーも、中身は大変マイルドでおしゃれになっています。ファッションはEXILEのようなスタイルで悪羅悪羅(オラオラと読むんだそうです)したビジュアル(私にはなんのこっちゃですけど)です。マイルドヤンキーでより多くの者はこれも著者のいう「地元族」です。見た目は全くヤンキーでなく、内心はヤンキー性にあこがれを持っているのですが、地元のファミレスや居酒屋や仲間の家でダラダラ過ごすのが大好き。ここでいう地元とは5キロ四方の小中学校の学区程度で、ここが主な活動範囲。
これはいったいどうしたことなのか。世の中バブルがはじけ成長するのが当たり前の時代から、失われた20年を経て現状維持が精いっぱいに時代になっていました。矢沢永吉の「成り上がり」的な上昇志向は現実に望むべくもなくなり、今の若者の気分にはそぐわなくなっていたのです。
ではこのマイルドヤンキーはどのような行動様式なのでしょうか。ちなみに著者は博報堂の若者研究所のリーダーで、新しいマイルドヤンキーの消費行動を調べるのが本職です。
マイルドヤンキーは野望を持たない。キャリア志向はなく地元で仲のいい友達と穏やかに暮らしたい。こう書くと「隠居」かと言いたくなりますが、都会に出てストレスを受けたりリスクを負ったりするのはいや。う~ん、
そんな彼らを徹底調査すると趣味で多いのは飲酒にカラオケ、ギャンブルとの親和性も高い。ITスキルは低めで、スマホ率は高いのですが持て余し気味、使いこなしていません。アニメは好きでキャラクターグッズも好き。
酒でよく飲むのは焼酎、居酒屋で焼酎を1本頼んでおけば飲みたい人はたくさん飲め、飲まない人は薄く割って飲むこともできる。酒を飲むことより仲間と楽しく語り合うのが目的です。でもこれはわがテニスクラブのいつもの宴会とよく似ている。
車は単なる移動手段というよりも大事な地元の友達と親密な時間を過ごし、絆を育む大切な空間。そのせいかいわゆるスポーツカーへの志向はなく乗っているのはリーズナブルな小型車、軽自動車で、求めている車は大型ミニバン。多くの人の目に触れる電車の乗るのはあまり好きでないので、移動の手段は主に車。自動車メーカーにとって有力な消費者です。これからの自動車開発ではマイルドヤンキーの好みをうまく取り込んだものがヒットする…
買い物も当然地元なのですが、大型ショッピングモールがあれば十分。日の出町の奥さんの名言「日の出の若者にとって、イオンは夢の国。イオンに行けば何でもできるんです。」今やわざわざ東京に行かなくても大型ショッピングセンターに行けば全国的に展開するメジャーショップがそろっていて、そこへ行けば「ほどほど」の満足が得られるのです。
そして「夢は結婚、幸せな家庭を持つこと」。地元で結婚し、家庭を築き、地元友達の家族同士、子供同士で平穏な生活を営むことを切に望んでいる。そしてマイルドヤンキーたちは今の生活に相対的にある程度の幸福感や満足感を覚えている。
その上昇志向のなさ、野望のなさには愕然としますが、今の世の中、普通の結婚と家庭生活を築くことがいかに難しいことかということの裏返しかもしれません。これも成熟社会に生きる知恵?
彼らの消費性向は高く、彼らの希望を確実に手に入れるための消費ならば決して厭わない。どのくらいのボリュームでいるのかはよくわかりませんが、住宅に困らずそこそこの生活ができる地方ではマイルドヤンキーたちは若者の主流で結構消費動向を左右する存在かもしれません。
では彼らマイルドヤンキー向けの新しい商品やサービスとは?これは博報堂の専門なのですが、第4章でいろいろ列挙しています。なるほどと思うものもこれはちょっとと思うものもありますが、消費性向の特徴として「既知のものしか欲しいと思わない」があげられます。「知らないものは、欲しがらない、欲しがれない」。ある意味非常に保守的なのですが、大切なのは、今と地続きの生活が明日以降も平穏無事に続いていくこと。未来に対して過剰な希望も過剰な希望も抱いていない。まさに失われた20年の申し子なのです。
なかなか分析されていなかったマイルドヤンキーの姿を炙り出しています。新しい若者論です。