怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

アメリカは本当に「貧困大国」なのか

2011-06-01 23:11:22 | 
岩波新書の「ルポ貧困大国アメリカ」はよく売れた。実は私も読んでこのブログに印象を書いている。好評でⅡも出ている。アメリカは貧富の差が大きいとは知っていたが、いったん病気になると健康保険制度がないこともあって、悲惨な状態になることがこれでもかと出てくる。
この本は
そういう現実は否定していないのだが、その前提として機会の平等を徹底的に追求しているということがあり、そしてそれがアメリカの活力の元になっている理念となっている。結果の不平等について縷々述べるだけではアメリカの本当の姿を見誤るのではといっている。
あとがきにも書いているが日本で「ルポ貧困大国アメリカ」が読まれた理由は、アメリカの姿を借りて日本の派遣切りやセーフティネットのなさを読者が批判したい思いが出ているのであろう。
この本はそれはそれとしてアメリカを見る目としてバランス感が欠けているといっている。そしてオバマが出てきて、なんでもありでリーマンショックを乗り切り、曲がりなりにも医療保険改革を成立させたのもアメリカなのです。ちなみに大竹文雄の「競争と公平感」(中公新書で字も小さくて結構読むのは苦労しましたが、競争と公平、働きやすさについて頭の中を整理できます。)によると「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人々はより良くなる」という考え方にアメリカでは70%の人が賛成している。日本は主要国の中では一番低く49%の人しかこの考え方に賛成していない。日本人の市場経済への信任は低い。
しかし本の後半は貧困大国批判ではなくてオバマのアメリカのよいしょ記事になっている。それはそれで面白く、改めてオバマという大統領の偉大さとそれを選出したアメリカという国の活力を感じるのです。
オバマは対立者を叩き潰す大統領ではなく、対話をし妥協点をがまん強く探っていく大統領と分かります。対立ではなく対話、多民族がいて精神的に分裂しかけているアメリカをひとつにしようとしている。
最近少し精彩に欠けるみたいなオバマですが、大統領選に向けてどう出るのか、今のアメリカを知るのに読んでおく価値はあると思います。


コメント
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