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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

名古屋の遊郭

2024-07-27 17:42:35 | 本と雑誌
連城三紀彦「秘花
昔名古屋駅の西側に中村遊郭というモノがあって連城さんはそのハズレに住んでおられたんださうである、名古屋出身でありながらおよそご当地ネタを書かれたことがない、ほとんど舞台がどこでもかまわない作品ばかし書いておられたお方が一度だけ名古屋を描かれたのだ、知らんかった、絶対未読だった、いかに私が忘れっぽいからって中村区が舞台の作品を忘れるわけはにゃい

主人公は太平洋戦争直前に北海道の根室から内地へ家出して来て中村遊郭へ売られ15歳で客を取るようになった、そこには深い事情ガあったのだがこれはミステリなのでネタバレ自粛(一応ながら)女の私はいささか現実感のない設定だと思うしその後元号が平成に変わってからの事件はさらに異世界のお話という気がする、昭和の世に15歳の遊女はいたかもしれないし(名古屋じゃだうだったんだろ?)平成の世に中学生のセックスも援助交際もありふれたことだったかもしれないが妊娠出産ましてや結婚となると只事じゃない、好きでもない中年男が15歳の自分を強引に妊娠させて結婚したいなんて言い出した日には向こうの妻子こっちの両親を巻き込んでどんなオソロシイ事態になることやら想像するだに膚に粟、12歳で年上の新聞記者(複数)を熱烈に恋してたと言ったってそら彼らがエソラゴトだったればこそなので・・・あれ何の話?
ともあれこの女の子も出産はともかく(中絶はできれば避けたいし生まれた子を弟か妹にする手はなくもない、いいことじゃないが)結婚はやめといた方が無難だと思う、相手が独身ならともかく奥さんから略奪はマズイんじゃないか、ましてや妊娠してるのがその男の子供じゃないのなら、おっとこれは書いてもネタバレじゃないよね、本人が途中でバラしてるんだから
連城さんは結婚されなかったしヒトの親にもなられなかった、だからその分どっか現実とはズレたところがあったんじゃなかろうかと思う読者なのである(テメエに言われたくねーよと作者)

細かいツッコミ、シロバナユウガオを咲かせたいのはわかるけどそれそう簡単じゃないよ、このモノは土を選ぶし花付きさほどよくない上に開きにくい、アサガオならさういう心配まあないんだがね、それとユウガオというけど開くのは午後の明るいうちなんだよ、もう一つ言うならタネが大きいから双葉も大きいんだにゃ、要するに作中の花は「夜開くアサガオ」という現実には存在しないモノなんだ、自分がシロバナユウガオに特別思い入れてなかったら気にもせなんだと思うけど・・・

ついでだからもう1つ、お札で鶴を折るという主人公に「だうやって?」と言いかけて思い出した、確かに1x2の長方形で折れるのである、アタマが2つ羽根が3枚シッポが1本の変な鶴(写真)当時のお札はだうだったかわからんけど今のお札なら問題なく行けるハズ、ひょっとしたら作者やってみられたのかも、もちろん私はやめとく、スーパーのレジが受け付けてくれんくなったらマズイもんね

そうそう忘れてた、昭和の遊女は売防法が成立したその日に年下の男と結婚して名古屋を去る、最後まで名前すら教えてもらえないその男ホントは昭和10年か11年生れ(つまり当時22歳)のハズなのになぜか大正14年生れ(奥さんとほぼ同年)ということになっていた、何でそんなゴマかしができたのかついに説明されずじまい、彼女の知り合いに身寄りのない兵隊がいてそいつが戦死したのでその戸籍を借りたということにするつもりだったのだがうまくツジツマを合わせられなかったのじゃあるまいか、作者には珍しいミス、ま読者はさう思っとくけどね

最後に一つ、今更ながらご存命のうちにお目にかかれなかったのが、ペンネームの由来をお伺いできなかったのが悲しいよ(こちら)

7/29追記ー彼女がいた女郎屋は名古屋駅から男の足で30分、近くに日赤病院が、そんな店が平成の世にも旅館として存在してた、ユウガオを咲かせ続けてただって?そこ連れ込みだよね?いやもう何も言うまい、今更手遅れ私その辺のこと全く知らんのだから・・・ああ改めてご存命中にお目にかかりたかったよーーーー

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