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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

映画「こほろぎ嬢」

2010-10-14 16:59:40 | 映画

というタイトルだが、見てないから作品紹介ではない、HPはこちら、「第七官界」と見比べると三五郎と九作を同じ男の子がやってたらしい、ま、いっか、町子が別人なんだから
ただ紹介記事が一部乱れてるような気もせんことはないんで、内容についての詳しい説明はこっちの方がよいかな、これを書かれたのは台本作者の山崎邦紀氏

「第七官界」について尾崎本人が

私はやはり、もともと円形を描いて製作された私の配列地図に多くの未練を抱いてゐます。今後適当な時間を得てこの物語りをふたたび円形に戻す加筆を行なふかも知れません。

として冒頭の一文

私の生涯には、ひとつの模倣が偉きい力となってはたらいてゐはしないであらうか。

を決定稿からけずった

元々の予定だった「円形の構造」とは何だったのか、山崎氏は「加筆して書き直す代わりに別の作品を書いたと考えられる」という日出山陽子氏の論考を読んで、その作品は「こほろぎ嬢」その他2作であり、「第七官界」で「よほど遠い過去」を語る私こそ、今の「こほろぎ嬢」に他ならないとされたのだった

最初私は「私がこほろぎ嬢?何かイメージ違うなあ」と思ったものだったが、「第七官界」の共同生活から十数年を経て、今は一人で住みシュールな小説を書く作家(そら尾崎本人じゃん?)になってるのなら、こんな感じかもわからんわなといつの間にやら納得していた
「第七官界」のラストで教えられた女詩人(あまり有名ではなかったらしく名前がわからなかった)とは実在しなかった「フィオナ・マクロード」、その正体は「ウィリアム・シャープ」という男性だった、こほろぎ嬢の町子は図書館へ通ってこの詩人を研究している、冒頭の「模倣」とは自分が「女でかつ男」の作家になること-確かにこれではちょっと理に落ちてるかもね、でも「三五郎とハッピーエンド」よりはよい、少なくとも少女漫画っぽくはない

では後の二作はどうなるのかというと、山崎氏は強引にくっつけてしまわれたみたいだけど、どうやったところでスジが通るようにはならんのじゃないか(そこがシュールでよいのかもわからんが)、「歩行」と「地下室アントン」は二つで一つの円と考える方が自然だと思う

田舎で暮らす町子は心理学者の当八に恋をする、詩人の九作が町子に好意を持つ、でも何もしない-「歩行」
九作は思いっきり変な義理の兄貴(動物学者)と世話焼きな実の姉さんに振り回されて神経症状態、ある日、脳内の地下室で当八に出会って「町子が片思いしているのは貴方ですか」と尋ねる-「地下室」

ちゃんと完結してるではないか、二人の町子はパラレルワールド、いや一部融合した二つの世界の二人の住人で、当八(「こほろぎ嬢」に解説者として登場)と、一助(「第七官界」の主要人物で「歩行」にも名前だけ登場)と、お祖母さんが両世界のつなぎ目を勤める

でもってあちら世界の三五郎はこちら世界の九作なのかもしれない・・・しかしこれでは映画を作れなかったことも確かだね