■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 035 「はやい、安い、巧い」画像検査装置で人手不足に対応する 8418-Aa03
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■ 「はやい、安い、巧い」画像検査装置で人手不足に対応する 8418-Aa03
運送、飲食をはじめとするサービス業の各方面で人手不足が恒常化し、深刻な社会問題となって久しい。
一方、製造業でもサービス業と同様の悲鳴が現場のあちこちで上がっている。そんな製造現場の人手不足対策&業務効率化にうってつけの装置を開発したのがウイングビジョン(長野県松本市、河原盛人代表社員)だ。
目視の検査を機械に置き換え、高精度の検査業務を可能にする。
「スキルレス画像検査装置」と称する同社製品は、誰でも使え“はやい”、“安い”、“巧い”と、どこかの牛丼チェーンのような3拍子が揃っている。
同社は大手電機メーカーに勤めていた河原氏が2015年に起業した。同僚、知人とともに数人の陣容で立ち上がり、規模の拡大は追わない、などから合同会社の形態を採った。
発足から3年。今、製品の量産化を志向し、株式公開に向けた中期計画を策定するといった具合に、成長拡大路線へと舵を切り、近く株式会社へ移行する。
河原氏は「細々とやるか、資金調達して大きく伸ばすかの岐路を迎え、後者を選んだ」と路線変更の理由を語る。
スキルレス××は、その名の通り「技術いらず」で、誰でもすぐに活用できる使い勝手のいい装置。
事前研修が必要だったり、設定に時間がかかったりする既存・他社製品との差別化の大きなポイントが「スキルレス」というわけだ。独自技術「メッシュマッチング」のなせる業で、従来方式が対象物単位で検査するのに対し、全体画像の中で検査箇所をエリア指定し、細分化したメッシュごとにチェックする仕組み。
河原氏は「人がいない、いい検査装置が見つからないといった生産現場の実情に対応するのが当社製品」と胸を張る。
同装置の、スキルレスに勝るとも劣らないセールスポイントが「高速検査」で、従来装置では一日仕事だったのが30分で済む。
また、手頃な価格も売り物で、早い&速い、安い、巧い-を実現した。ところで、同社では装置のハードは外注し、付加価値の高いソフトを自社開発している。
「従来型の装置とは視点が違うソフト主体の製品を継続的に進化させる」(河原氏)との方針のもと市場を開拓中。
とくに、車載用や情報端末向け実装基板の検査業務に向いていると自動車・電機メーカーに働きかけ、導入実績を積み重ねている。
「ボブディランと安部公房にはまり、大学は文学部に入った」と振り返る河原氏は、鉄工所や高級旅館さらにタクシードライバーを経て、電機メーカーに行き着く。
メーカー時代は、生産技術を長年担当し、自動化システム、画像処理のソフト開発に従事した自称“奇妙奇天烈な純文系エンジニア”。
「年齢の高い、遅いスタートとなったが、その分、現場では何がニーズで、何が不足しているかを熟知しているつもり。
臨機応変の経営を心がけていく」と、豊富な経験を拠り所に、50代シニア起業の範を示していく。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成