日中は暑いくらいになる。
午後畑へ。耕運機。マリーゴールドのオレンジ色があざやかで、中空をトンボが群れて遊弋している。いい季節。雨後の土は重くて、耕運機が時々空回り気味に震えている上に、赤トンボが羽を休めに来る。
夕方、峠を越えてオマチへ。
夜キムタクの「南極大陸」初回を二時間見てしまう。
南極に関しては高校時代に何冊か集めた。けれどみんな売ってしまった。なんだか、南極、と聞いただけで思い出すことたくさんある気がするけれど、今は省略。
でも、キムタクのイメージではないような。
そんなわけで、現代詩文庫から犬塚尭詩集を引っ張り出してくる。
犬塚尭は、満州に生まれ東大を出て朝日新聞入社、最終的にはケッコウなエライさんにまでなったはず。昭和34年同行記者として南極観測隊に。ガリ版刷りの「南極新聞」を隊内で発行し、時々掲載していた自作の詩を帰国後まとめて、詩集『南極』でH氏賞受賞。三冊の詩集のうち『河畔の書』はワシも架蔵しておる、のだけれども、その詩は正直よくわからん。
というわけで、現代詩文庫所収の『南極』から、短いのをひとつ。
あざらしの夫婦が並んで死んだ
永い旅から帰ってきたら
何の腐爛も起さずに
雌は立ったままで
眼から氷柱を垂らしていた
犬が食ってしまったらしい雄は
赤い泥のような小さな塊りになり
クレパス沿いに点々と並び
一番新しいらしいのが
一本湯気を立てていた
犬塚尭「南極では物は腐らない」
アザラシの雄を食ってしまった犬ってのは、タロやジロの仲間だろうね。