などと気の利いたことをいうのはもちろん私ではない。私の物理の先生で S で始まる方が3人いるが、その一番年上の先生の口癖であった。もう存命ではない。
世の中では「自分は頭が悪いから数学などわからない」という方もおられるのだが、表題の「頭の悪いものは数学くらいは使わなくては」というときの「頭の悪い」はちょっとレベルが違うかもしれない。この S 先生はもちろん「世間的な意味では」数学だってわかる頭のいい方である。だが、彼は自分はそんなに飛び切りの頭脳の持ち主ではないと思っておられたのかもしれない。それで相対的に頭の悪いものは数学くらいは使わないと物理はできないと言いたかったのであろう。
でもその昔、私が学部の学生だったころ、この S 先生の量子力学の講義を聞いた。
数式が一杯の量子力学の講義であり、その解釈もときには話されたが、あまり感覚にまでは訴えるものではなかった。もっともその講義ノートを見て、私が講義をするときには参考にさせてもらった。その講義は大体Schiffの量子力学のテクストにしたがったものではあったが、ところどころ後から考えるとBohmの量子力学のテクストからの取り入れられたと思われるものもあった。
それらで一番頭に残っていることはエルミ―ㇳ演算子のことである。エルミ―ト演算子とはその期待値が実数になるような演算子である。この点はあまりSchiffの量子力学ではあまり明確ではないが、さすがBohmはきちんとしていた。
話がタイトルから大きく外れた。しかし、私はどこかの書店などで、初等的な量子力学の本を読むとき、その本ではエルミ―ト演算子をどのように説明しているかを見ることにしている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます