ホーエンシュタウフェン

生きるために食え、食うために生きるな。

映画「葉問 序章」(イップ・マン)に唸る

2011-07-27 19:24:53 | ソリッドな武道空手の話

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詠春拳という拳法をご存じだろうか。

恐らく空手・拳法界の方々なら耳にした事のある門派だろう。

ブルース・リーの学んだ拳法として、ジークンドーの基礎となった拳法として。

リーの詠春拳の師匠は「葉問」(イップマン)という人だった。

その葉問をモデルとした映画がDVDとなって、家庭で観られる事になったのは望外の喜びである。

葉問を演じるのは、日本では無名に等しいが、その筋に詳しければ知る人ぞ知る、「最後の本格派」と呼ばれるドニー・イェン。

しかも武術指導(殺陣)をやっているのが、あの「燃えよデブゴン」ハン・キンポーなのである。

そして詠春拳、これはもう、映画にはならんほど日本ではマイナー系なのだが、ブルース・リーが劇中で見せる不思議な小技のテクニック、これが実は詠春拳の技が入っているのである。

チーサオとかビルジーとかラプサオとか技の名前は良く判らんが、詠春拳を知りたい!

木人を相手に黙々と稽古する姿を見たい!

こんなに魅力的な要素がいっぱい詰まった映画を、観られずにいられようか・・・!!

感想はというと、伝記として「ホントなの?」という点は多々あったが、ドニー・イェンの素晴らしいアクションと演技、現在の香港映画の質の高さに感動した。

エイヤッ!の勢いで造った昔のカンフー映画と違い、セットにも金が掛っており隔世の感がある。

昔のカンフー映画は、香港のいかにも低予算なセットで始まり、ラストは必ず、台湾の野原で延々と戦う、というパターンがあって、我々ファンとしてはそんなワンパターンもコミで楽しんでいたのだが、これは違います。

アクションも洗練されており、伝統的な拳法同士の攻防という、現在のいわゆる「格闘技」の試合とは異なる「旨味」を充分に堪能させてくれる。

空手の先祖の南派系武術だけあり、空手を彷彿とさせる技法も多く、実際の武道のプレイヤーとしても技術的に興味深い。

ありえない動きに、「実際こんなこと出来ねぇよ!」と思うなかれ。

これは映画であり、エンターテイメントとして心をオープンにして愉しめばよろしい。

嫁がたまたま最後まで一緒に観ていたのですが、何故かその眼には涙が(笑)。

「こういうのが真の男だ」みたいな事を言っておりました、女性の目から見ても愉しめる作品だったようです。

最近になく、強烈に印象に残る良い映画でした。


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