或るブロガーさまが以前、ご主人様のことを控えめな旦那さまと称され、歩く時、いつも後からついてくる、とぼやいておられました。
それを読み、思わず笑ってしまった私です。
確かに奥さんは、颯爽と元気に一歩先を歩く夫の背中を頼もしく感じるものかもしれません。
実は、私の夫は、元気な頃はその通りでした。
姿勢が良いとは言えませんが、歩くのは早くて、同伴した時、私は常に遅れがち。
慌てて小走りに歩を進め、Yさんに追いついたものです。
今となると、そんな旦那さまを無性に懐かしく思います。
病気になり、特に大腸がんを患い、人工肛門と腸の穿孔に届くドレーンを取り付けてからは、歩みの速度が一気に落ちました。
今では誰が見ても、普通ではない体と分かる、弱々しい歩き方しかできません。
杖を勧めたことも最近ありますが、まだ乗り気ではなく。
外と屋内の手すりの設置は、1月の半ばに、業者さんにお願いし、区役所の手続その他一切、一任しています。
随分日がかかりましたが、数日後にやっと取り付けられることに。
不機嫌な顔で旦那さまが拒否し続けた手すりでしたが、最近はさすがに、それを容認してくれています。
年初に受けたCTその他の検査によると、良くなったところ、現状維持、新たな不安事と、実に複雑な検査結果報告の内容でした。
良くなったところは、肝臓がんが画像から消えていること。
体の要の肝臓の病は、私には一番怖い、との印象がありますから、抗がん剤の効果でいったんは消滅してくれ、こんなに嬉しい事はありません。
一方大腸がんは、良くも悪くもなっていないようでした。
但し新たな心配事が。
命には別条ないことですが、結構深刻な問題。
まだ疑いに過ぎませんので、記事で触れることは控えようと思います。
食欲は旺盛で、顔色もとてもいいです。
体重も、ほとんど減っていません。
歩かなければ、健康時と、何ら変わりないように見えますが、実際は抗がん剤の副作用で、厳しい毎日を過ごしています。
酷い倦怠感と、手のしびれが嫌でたまらないようです。
入院中の夫は、実に優等生の患者さん。
時に、看護師さんが、同じ質問を繰り返すと、心なしか呆れたようなイラついた話し方をすることがあり、私の胸はドキドキ。
お世話になっている看護師さんに失礼では、と心配になりますけれど。
辛抱強い冷静な患者さんであることに、間違いはないでしょう。
我が家での旦那さまは、どうでしょうか?
私の目には、「随分性格が変わったな~」と映ります。
以前は、腹を立てたり、私に文句や愚痴いう人では全くありませんでした。
ところが、最近は短気で偏屈傾向が顕著に。
旦那さまの理解しがたい言動に、気分が滅入ることが私はよくあります。
病人ゆえ仕方ない事と、何を言われても、できるだけ柳に風で聞き流すように努力していますけれどね。
私にとり、Kさん同様に親友といっていいAさんと、先日、その苦労話をしたばかりです。
Aさんのお住いは他県ゆえ、めったに会えませんが。
ロス在住時に培った信頼関係は、全く変わりありません。
電話でお話するたびに、その思いを強くします。
Kさん同様、何を話しても意気投合できる間柄の私達です。
Aさんは、数年前に、ご主人様を肝臓がんで失くされました。
その後、奥様も心臓の大手術を乗り越え、生還されています。
「こんな苦しみを味わされるのなら、手術などしなければよかった」と思うほどの辛い闘病生活でいらしたようです。
亡くなられたご主人様は、夫の大学の先輩に当たられますが、実に温厚な優しいお人柄の方に私には見えました。
ところがAさんがおっしゃるには、
「私は、夫にとって直近の部下と変わりない存在だったのよ。
命令すれば、従順に従うのが当然と思っていたと思うわ。
病気になると一層その傾向が強くなり、人格が変わってしまい、とてもショックだったの」
と。
芽吹きとともに萌えだした若葉の繊細な色合いの何と優しく美しい事。
印象派の絵画を観るが如くでした。
青空でないのが残念です。
Kさん同様に、Aさんは、私が敬愛して止まない、主婦の鑑のような女性でいらっしゃいます。
若い頃は、容姿も雰囲気も、新珠美千代さんに、そっくりでした。
暗い内容のお話でも、決して愚痴っぽく述べられません。
前向きの志を忘れず、どんなに辛い体験でも、常に明るい口調でさばさばと語られます。
身に備わった品位が滲み出る物言いは、本当に素敵。
私は見習えるものなら見習いたい、と思うことばかりです。
そして、お話に非常に説得力があります。
お喋りするたびに、彼女からいつも励まされ、私は新たな元気を一杯授けてもらってきました。
今回も、私は彼女の言葉に心から共感し、笑いながら言いました、
「家政婦より部下なら、多少聞こえがいいわね」と。
「私も今後は部下になったつもりで、主人に接することにするわ」と。(笑)
そういえば、母が入退院を繰り返し病院でお世話になっていた頃のこと。
今の伏線のようなお話が、看護師さんからありました。
「病気になると、男性の方が忍耐が足りなくて、手がかかると。
特に企業の管理職で威張っていた人が、一番我儘になる」と。
私の夫は、威張る人ではなかった、と思いますが・・・・・・。
今のところ、病院では優等生でも、我が家では、多分にその傾向があるようです。
いえいえ、それは間違った見解かもしれません。
今程度の我儘は当たり前のことで、よく辛抱し冷静に振舞っていて感心と思えてもくる旦那さま。
見習いたいところも多々ある人ですから、これ以上悪口を言うのはよしましょう。(笑)
ご覧下さいまして有難うございました。
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