人事を尽くして天命を待つ。
清々しい潔さが感じられ、私の好きな言葉の一つです。
改めて、この言葉の意味を辞書で調べたところ、
「力のあらん限りを尽くして、あとは静かに天命に任せる」と表示されていました。
辞書を引くまでもなく、どなたでも理解できる慣用句ですね~
私が、この言葉を励みにしてほしいと思い、実際に、度々使用した事があります。
娘達が中学、大学受験に臨む時でした。。
受験勉強中の時は、「人事を尽くて頑張りなさいね。そうすれば、あとは天命を待つだけの落ち着いた気持ちで受験に臨めるわよ」と。
そして、いよいよ受験の際は、「一生懸命頑張ったのだから、何も心配しなくても神様があなたに一番ふさわしい学校を選んで下さるわよ」と。
後者の言葉は、中学受験の時に、娘達に幾度も話し、不安を抱かないで落ち着いて本番に臨めるように心を配ったものです。
ところがです。
昨日、三カ月ぶりの定期検診に病院に出かけたところ、
そこで、私が好きなこの言葉を、担当医から、私達夫婦に投げかけられてしまったのです。
娘の受験の時の前向きの清々しさとは対照的に、私の胸には、一時的に鉛のごとく重く、ずっしりと響きました。
とはいえ、夫に何か悪い知らせが新たにあったわけではありません。
撮ったCTの画像にも、がんの兆候は全く見られませんでした。
肝臓の数値も、前回の定期健診では14だったのが幾分上がり18になったようですが。
でもこれは正常の範囲内で、全く心配はいらないことのようです。
血液検査の結果も、すべて問題なし。
栄養状態も、実に良好、との事でした。
インターフェロンの治療の副作用により減少していた白血球も増えているようです。
しばらく前に、このブログでも、「心配が尽きないけれど」とのタイトルで、夫の症状をお知らせした時と、何も変わっていません。
その時の診断内容は、週に一回、インターフェロンの治療を受けてきた我が家から徒歩10分の総合病院の担当医のお話しでした。
一度は薬の効果で消滅したC型肝炎のウイルスが、また現れてしまったことを書きました、
肝臓がんの数度の手術の前後に数年にわたって行ってきたインターフェロンの治療が無駄に終わってしまったということです。
残念でなりません。
また今、更なる新薬が出たけれど、国の助成の認可がまだ下りていないので、それを待ちましょう、ということでした。。
ウィルスが出ているとは言え、夫の肝臓の数値は正常なので、助成の効かない治療をする必要はありません。
しばらく経過観察で様子を見ることにしましょう。
ざっとこのような内容でした。
一昨日のT先生のお話しもさして変わりはありませんでした。
しかし、人事を尽くして天命を待つ、という言葉からは、匙を投げられたような印象は、どうしても否めません。
あらゆる手を尽くして治療をしているNさんの場合、これ以上の手立てはありません。
運悪くがんが再発したなら、その時は、今まで通りに最善の対処で臨みましょう。
病院とは、一生縁が切れないでしょうが、定期的な検診を怠らず、少しでも長く肝臓が持ち堪えるように頑張っていきましょう。
なんだか悲しいお話し。
いつもは前向きの明るいお話しばかりで、元気を一杯与えて下さるT先生です。
しかし、この日は、様子が明らかに変わって、我が目には映りました。
慰めて頂いているといった感じ、と言えばいいかしら。
待合室の窓から見た眺め
私は診察室を後にしてから、気持ちはぐんぐん落ち込んでいきました。
夫は、いつもと全く変わりなく、平静そのものでしたが。
まるで、私が患者みたいな有様でした。
前回の診察により、ウイルスが蘇ってしまったと告げられた内容以上に、悪いお話は何もありませんでしたのに。
「人事を尽くして天命を待つ」の言葉が、余程堪えたようです。
如何なる最新の医療で対処しても、もう完全な回復は、ほとんどあり得ないことを、思い知らされた気がしたからです。
菌がすっかり消え、健康体に戻り、がんになる確率が一般の人と変わらなくなる日を待ち望んで、頑張ってきた治療でした。
もう一歩のところで、その努力が水泡に帰してしまった今。
菌が一旦ほぼ消滅した時期とは、気分の差に天と地程の違いがあります。
けれど、このような状況に戻った以上、担当医のおっしゃられた言葉、人事を尽くして天命を待つ以上に適切な言葉があるでしょうか。
最善の治療を施して頂きながら、肝炎を忌み嫌わず、仲良く共存して暮らしていく以外、道はないと覚悟します。
一番怖いのは、がんが手術のできない箇所にできることですが、これこそ運を天に任せるしか、どうしようもありませんね~
三か月ごとの定期検診の検査結果をハラハラドキドキして待つ暮らしなんて、何ともやるせない気がしますが。
もう悪い想像をするのは止しましょう。
明日を思い患うより、今日と言うかけがえのない日を、精一杯素敵に暮らす方が、はるかに自分のため、夫婦のためにもなりますもの。
このように思い、翌朝は元気を取り戻したかに見えた私でしたが、朝、我が家の前で、信じられないような不吉な出来事があり、またすっかり意気消沈してしまったかれん桜です。
この続きは、また次回に。
今日もお訪ね下さいまして有難うございました。
年末に向けご多忙な日々のことと存じます。
くれぐれもご自愛の上、良き日々をお過ごしくださいませ。