夫が退院する日(19日)、家を出たのが8時前でした。
9時半頃には病室に辿りつく予定だった私には、少々遅すぎる出発です。
前回の退院時に、看護師から10時頃の退院を希望されたことが念頭にあり、気になって仕方なく、自宅にタクシーを呼び、最寄り駅に向かいました。
実際は、そんなに焦らなくても、十分間に合ったのですけれどね。
幸いにも、タクシーの運転手さんは、喜ばしい記念日にふさわしく、好印象の方。
私は親近感を覚え、今日が特別の日であることを伝えました。
タクシーの車窓越しに仰いだ空は、抜けるように青く、一点の曇りもありません。
東西南北、果てしなく、限りなく澄んだ青空のみが拡がっています。
遥か遠くの山並みの上にも、雲は掛かっていません。
病院から帰宅後、撮影した青空です
まるで、夫の病の前途の明るさを祝福してくれるかのような空の情景。
私の心は一層弾みました。
運転手さんのお話しによると、昨日は、今朝の天気は雪の予報だったとのこと。
こんなに予報が外れることは珍しいです、と驚かれていました。
真っ白な雪景色も、それはそれで素晴らしく、印象的な日になったかもしれないけれど、出かける身には、少々堪えるお天気ですものね~
快晴で、雲影一つ見当たらない青空ほど、旦那さまの退院日にふさわしい空模様はありえないでしょう。
ですから、その幸運を心から噛みしめ、喜びました。
そんな感慨に浸りながら、最寄り駅についた私。
心ばかりのお祝儀のつもりで、釣銭は頂かず、ホームに向かいました。
旦那様帰宅後の生活に思いを致し、心を新たにして、いつもとは多少違う気分で、また車中の人になった私です。
最近、不思議に感じることですが、休日の朝の電車は、意外にも、込み合っているのですね~
無論急行のみですが。
景気も上向きで、余暇の日をレジャーで楽しむ方が多いのでしょうか?
そのため、休日にもかかわらず、席を確保することができませんでした。
長時間の乗車ゆえ、がっかりした私は、その後、或る行動にでました?
何とも年寄りじみていて、自ら情けなく感じつつも、シルバーシート目指し、通路を抜けること。
私の期待通り、そのシートの真ん中が、混んだ電車にもかかわらず空いているのを発見。
ホッと胸をなで下した私です。
昨日も同様の空模様でした
このシルバーシートの光景には、しばしば複雑な気持ちを抱く私です。
若者が、悪びれた風も全くなく、堂々と腰かけている姿をよく見かけますが、余り良い印象を受けませんね~
キリスト教が根ざす西洋社会では、恐らく見られない光景では?
日本の恥ずかしい社会現象の一つに思えてならない私です。
私は、乗車する度に当たり前の如く、そのような場に出くわしますが、むろん私には、席を譲って下さい、などと言う勇気は毛頭ありません。
一昨年の孫の運動会でしたかしら。
敬老席のあるテントに向かおうとしたところ、「ママは、そんな席に座る人には、まだ見えないわよ」と、次女に言われたことがありました。
とても嬉しい言葉でしたから、臆面もなく又ここで記してしまいましたが、それは見かけ倒しの私の姿。(笑)
自分では、シルバーシートにふさわしい人間、と思っています。
そういえば、旦那さまが一時帰宅して病院に戻る際、事情を話し、若者に席を譲ってもらったことがありました。
又或る時は、身体障害者手帳を見せて、席を譲ってもらっている御老人に出合ったこともあります。
こんなことをしなくても、シルバーシートの本来の趣旨が、若者に当たり前のごとく浸透してほしいものですね~
そして、弱者の立場の人達が乗り合わせたなら、快く席を譲る社会に、日本も早くなってほしいものです。
さて、いろいろな思いに浸りながら辿りついた本郷駅。
心配した到着時間でしたが、取り越し苦労だったようで、思いがけず早く当駅に着きました。
旦那さまの医療用品、その他の備品を収めるために、日頃より大きいキャリーカートを引いて、徒歩でT大学の赤門に向かった私です。
以前に撮った画像です
病院に向かう正式なルートとは異なりますが、この大学に縁がある私は、この赤門を抜けてキャンパスを通り抜ける道程を、殊更愛しました。
このお陰で、私の不安や疲れが、どんなに癒されたことでしょう。
夏から真冬への季節の移ろいに随時、身を置き、緑濃い樹木が、紅葉、裸木へと変わる情景の変化を、心から楽しむこともできました。
ところが、今日はその赤門の前で、ちょっとした異変が。
守衛さんとは異なり、大学関連らしき人が二名、腕にワッペンを付け、訪れる人を迎えるがごとく、門の脇に立っていました。
その傍を通り過ぎようとしたところ、身分証明書を見せるように言われました。。
私は思わず驚き、その理由を尋ね、大学入試センター試験日であることに、始めて気づかされたのです。
「病院へ向かうところです」と話し、私は証明書を提示することなく、その場を通リ抜けることができました。
さてその後、病院に向かいながら、私の心には過去のある出来事が鮮やかに蘇りました。
その時、大きく激しく揺さぶれた親子の感情が、昨日のことのように想い出され・・・・・・
痛恨の出来事だったにもかかわらず、愛しさで、胸が熱くなる思いがしていました。
病院に辿り着くまで、その出来ごとを振りかえり、改めて学生時代の娘達に思いを馳せつつ、旦那さまの病室へと歩みを進めた私です。
いろんな出来事に遭遇し、その度にそれを乗り越えられた幸運に感謝しながら、人生は繰り広げられていくものなのでしょうね~
又今も、新たな問題に直面し、その人生の課題を無事にクリアしようと頑張っている私達夫婦。
案ずるより産むが易し、の心境で、今後の人生の課題も一つ一つ、逞しく明るく取り組んでいくことができますように。
親子で心揺さぶられた若かりし頃の想い出は、次回でお話しさせていただきます。
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