月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

執筆の腰を折られた

2017-07-10 | 仕事
日本酒雑誌に関してだが、なぜかいつも急ぎの原稿は私のところに来る。
今回も6日取材、7日原稿アップ、8日デザインと先方確認、校正、9日入稿というスケジュールだった。
しかし、ようやく入稿!とホッとして、次の仕事に取り掛かっていたら、1本の電話が・・・。
I山氏である。

こういうときの電話はだいたい「悪いニュース」だ。

今さらなんですけど、社長から修正が入ったので対応してください。
入稿した原稿は一旦止めます。

恐縮しながらI山氏が話すのを聞いていた。
20年もこんな仕事をやっていたら、急な修正やハプニングは別に珍しくもなく、それはそれで受け入れたのだが、今回は少し悔しかった。
それは、最初に自分が出していた原稿なら、修正は入らなかったのではないかと思うからだ。
I山氏が社長の意向を、まさに忖度して、私自身はなんだか納得のいかないタイトルや内容に変更していたのだ。
結局、その忖度は不必要で、どちらかと言えば最初の私の方向性で合っていたのだ。

そして、いつも思うことだが、出来上がっている原稿に対して、あーだ、こーだと注文をつけるのは本当に簡単なこと。
気軽に「この部分を、この言葉を使わないように変えてほしい」と言ってくる。
気に入らないのはその「部分」だけかもしれないが、その「部分」だけを変更したら、文章の流れもテーマも全部変わってきてしまうのに。

結局、原稿の前半すべてを練り直し。

別にいいのだけど。最終的に良いものができて、皆が納得できるものになったのなら、それでいいのだ。
ただ、一度「終わったーーーー!」と解放されていたものだったので、変な疲労が残ってしまった。

それに、今日は新しい取引き先から依頼されたクリニックのHPのコピーを調子よく書いていたところだった。
一度、こんなことで中断されてしまうと、なかなか調子が戻らない。
話の腰を折るという言葉があるが、執筆の腰を折られた感じだ。

とはいえ、ずっと折られたままでいても仕方がないので、腰をしゃんと伸ばしてもう一度執筆にかかる。
とても素晴らしいクリニックで、熱い先生だったので、どうしてもいい原稿にしたいのだ。
話を聞きながら感動して、先生が「話はできるけど、文章書くのは苦手で・・・。ごめんね、お願いしますね」と言うのを聞いて、改めてライターという仕事の価値を感じた。
もちろん、記名入り原稿や、自分の感性や価値観を散りばめたものを書けるときもうれしいけれど、「雪かき」でいいのだ、私は。
「想いはあるけれど書けない人」の代弁者でありたい。
それが「書ける人」のやるべき仕事だと思っている。

腰は折られたが、先生の想いをしっかりと伝えられるよう頑張ろう。