月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

小さなお花見

2012-04-22 | 生活
「お腹の赤ちゃんが安定しないので、自宅で安静にしていないといけないの」

友達からそんな内容のメールが来たときは本当に心配になった。
だけど、ちゃんと赤ちゃんはスクスクと何事もなく育っているし、彼女自身もいたって元気。そう聞いてホッとした。
それでも、何ヶ月も「安静」にしているということ、動き回れないこと、外に出られないことというのは、こちらが想像しているよりしんどいことらしい。
ブログなどで少し元気のない様子を感じ、何かできないかと考えた。

そこで思いついたのが、お花を贈ること。
岩手から大阪へ単身お嫁に来た彼女だから、きっと自然もない、大阪のゴミゴミした街のマンション暮らしは精神的に辛いだろうな、と思ったのだ。
私も上新庄に4年半一人暮らしをしていた時期があったけれど、あの頃は本当に精神状態が悪かった。
空と山が見えない生活があれほどしんどいとは思わなかった。そして、新幹線と車の騒音。

あの頃は毎日のように梅田の事務所に出入りしていたから、週に1度、第一ビルか第二ビルだかに入っている安い花屋さんで切り花を買って帰り、玄関に活けることが楽しみだった。
それが、私の唯一の「自然」との触れ合いだった。大げさでなく。

だから、家の中にお花があったら少しは心が和むかな、と考えたのだ。
そこでネットで調べていたら、もっといいものを発見!!

桜の盆栽。

3月だったのでまだ蕾。
毎日蕾が膨らんでいくのを見られたら、単にきれいなお花があるよりもっといいかなぁと思った。
われながら、いいセレクト(笑)

贈ったら、すぐに電話がかかってきて、「ありがとう!」と喜んでくれていた。
何もできないけど、ちょっとは心が和んだかなぁと、私も嬉しくなった。
「咲いたら写メ送ってねー」「うん、送る~」と、そんな会話をして電話を切った。

それから、4月に入って、「咲いたよ~」とメールが来た。
思っていたよりもピンクの色が濃い、可愛い桜。花びらも重なっていて、ゴージャス。

そして、私もようやく仕事が暇になってきたので、木曜日に彼女のおうちへ遊びに行ってきた。
梅田で彼女の好きなグレープフルーツのスイーツを買おうと探し、おいしそうなジュレを購入。
あとは、おしゃべりしながら食べられるよう、私の好きなヴィタメールのエクレアと。

おうちのある最寄駅に着くと、「ザ・大阪!」という感じの車がびゅんびゅん走る街中。自転車も多い。
山の中で暮らしている私からすると、これは家の中にずっとこもっていたら、しんどいなぁと改めて思った。

マンションに着くと、久しぶりに見る彼女の顔。元気そうだったので安心した。
二人でお茶とスイーツを味わいながらおしゃべり。楽しい時間だった。
少し横になってもらって、私もソファにもたれてくつろぎながら、いろんな話で笑い合う。
友達と会っても飲みに行くことばかりだから、こんな感じ久しぶりだなぁと新鮮だった。

岩手出身の彼女が、ダンナさんのお母さんやお姉さんの口真似をして、「~やで」「~したらいいねん」とか大阪弁で再現してくれるのがいつも面白い。
なんだろう、なんか不自然で(笑)。でも、ほのぼのして、これを聞くと私は楽しくなる。

もちろん、桜の盆栽も見せてもらった。
ちょうど満開!!


可愛い桜。
よかった、きれいに咲いてくれて。

帰りに、気を遣ってお菓子などを持たせてくれた。
あと3ヶ月ちょっと。
早く元気な赤ちゃんの顔が見たいなぁ・・・

「生むまでにまた来るからね」と言うと、「うん、また来てね。ありがとう」と彼女。
マンションから出て歩いていたら、窓から声が。
上を見上げたら、彼女が手を振っていた。

「気持ちの良い人だな」と思う。
彼女に会うと、いつも帰りにそう思う。気持ちの良い人。

まだ出会ってから1年半。だけど、ずいぶんと仲良くなった。私の最新の友達(笑)。

小さな小さな桜だったけど、二人で満開のお花見ができて本当によかった。

桜、さくら、サクラ、酒。

2012-04-22 | 生活
遊び疲れてブログが書けない数日間だった。

18日は少し遅めのお花見。
ライター友達と二人で、善峯寺→勝持寺(花の寺)→大原野神社→正法寺というコースを巡った。
街中とは違って山の中なので、ちょうど満開~散りかけといったところ。私の一番好きな頃合だ。また、この辺りは私の好きなお花見&紅葉スポットでもある。
とはいえ、久しく訪れていなかったし、善峯寺などは秋の紅葉しか見たことがなかったので、新鮮な気持ちで楽しめた。

善峯寺はまさに満開。ほとんどがしだれ桜で、ソメイヨシノとはまた違った美しさがある。



↑こちらの桜は、下の写真からわかるように、カエデを背負って立っている。


春には桜、そして秋には紅葉へと入れ替わるわけだ。なんとも趣きがある。

高い山の上にあるので、眺めも非常にいい。


斜面に点々と桜が咲いている様子もまた美しい。ソメイヨシノの桜並木などの迫ってくるような美しさと比べて、穏やかで控えめで、素朴な美しさ。凛として。


とても良い天気で、青空に飛行機雲がまっすぐに1本。清々しい!


善峯寺の名物は、こちらの松。とにかく長い!


満開の桜をたくさん堪能した後は、勝持寺へタクシーで移動。
こちらがお目当てだったのだが、3日ほど遅かったかな。もう半分以上散っていた。ただ、私は散る桜も大好き。

勝持寺には、西行が出家するときに映して剃髪したといわれている岩や、西行が植えて愛でていたといわれている「西行桜」がある。
NHK大河ドラマ「平清盛」で佐藤義清が出家する場面があるので、このお寺も人気が出たのではないかと思っていたが、満開を過ぎたところだったし、平日でもあったので、人出はほとんどなかった。そのことにむしろホッとした。

お寺の敷地内にぎっしりと植えられた桜も美しいのだが、私はやはりこの西行桜が好きで。
繊細で優しく、はかなげ。女性っぽい桜だ。


とても静かだった。こういう小さな山寺にいつも心惹かれてきた。
「静かだなぁ」と思う瞬間が必ずあるから。
この静けさというのは独特で、お寺でしか感じることができない。
しんとした気持ちで空を見上げた。


その後は、大原野神社。ここも大好き。狛犬ではなく、二対の鹿がいる。
ユーモラスで可愛い。


ちょうど「千眼桜」が満開だった。


ひと目で好きになる桜。こんもりとした形も可愛いし、白い花も可憐で。
桜のもつ妖艶さなど、この桜からはまったく感じられなかった。まるで少女のよう。


最後は正法寺。ここはお庭の石が動物の形に見える。
こじつけっぽいのもいくつかあるが・・・(オウムとか、どう見てもオウムには見えない)

庭園の桜もいいね。



夜はそのまま友達と先斗町へ移動して、おばんざいのお店「ほっこりや」さんへ。
結構、有名なお店で、前から行きたいなぁと思っていたので、友達が提案してくれて嬉しかった。
そして、思っていた以上に素敵なお店だった。気に入った!!
こじんまりとした店内。カウンターにずらりと並んだ日替わりのおばんざいと、煮込まれて美味しそうな色になっているおでん。少数ながら、料理に合うようやや辛口で揃えられた日本酒。そして、お客さんとの距離感がちょうどよく、愛想のいいお店の方々。

うまいおばんざいをつまみながら、日本酒をちびちびやるという、私の一番好きなタイプのお店だ。あれもこれもと注文したくなる。それも料理の味が極上ときてるから、非の打ち所がない。
京都らしい薄味でもなく、酒のアテだからといってやたら濃いわけでもない。基本は薄味の中に、ピリッと効かせた芥子や胡椒などがとてもいい感じのアクセントになっているものが多かった。

料理の写真があまりきれいに撮れていない・・・
たぶん、桜モードのままで撮ったんだな。ピンボケ多いけれど、ご容赦を。

鯵の南蛮漬けが最高やった!
私が作る南蛮漬けと同じで、出汁をしっかり使ってお酢の酸味を前面に出していないタイプ。骨まで柔らかい。


この季節はやはり筍。


春らしく、わらびも。ピリッと芥子を効かせていて、おいしい。


鰆の味噌漬け焼き。


おでん。


ポテトサラダ


他にも、ロールキャベツやおでんのタコ、湯葉なども食べたが、どれも非常に美味しかった。
日本酒を結構飲んで、二人で1万円程度。

いいなー。
ここは絶対いわさきっちを連れて来ようと思った。こういうの好きなのを知ってるから。私と同じでおばんざいと日本酒ちびちびは、まさにツボ

いろんな桜に出会え、夜は美味しいものを食べ、充実した1日だった。

友達と別れた後、この日はまだ10時にもなっていなかったので、久しぶりに高槻の行きつけのバーへ。
たまにこうして一人で飲む時間というのが私には必要だ。
自分の心を整理する場でもある。

おすすめのウイスキーを3杯。もちろんストレートで。




お隣のおっちゃんがシガーを吸っているのを見て、久しぶりに吸いたくなって私も頼んだ。
マフィア気分(笑)


最近は吸っていなかったけど、たまにはいいな。本当にたまに・・・、それこそ3年に1回くらいでいいけど・・・。

もう10年くらいは通いつめたバー。
ここに来ると、なんだかホッとする。たぶん、何も「変わっていない」から。
自分がどんなに年を重ねても、状況が変わっても、ここに来ると時間が止まっているみたいな気持ちになる。

マスターに「40歳なった」と言うと、「へー、もうそんなになるか・・・」と驚いていた。
いつものように、ニコニコと笑って、ニコニコを返して、「また来るわ」と帰り際に言って階段を降りていく。

ただ、あの頃と違うのは、自分にはちゃんと「帰る家」があるということ。
灯りがともり、「おかえり」と迎えてくれる優しい家が。

私は、変わったんだなぁ。