鴨着く島

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『それが起きた部屋』

2020-07-09 20:50:20 | 専守防衛力を有する永世中立国
『それが起きた部屋』(ジョン・ボルトン著)という暴露本を読んだわけではないが、NHKが著者ボルトンにインタビューしたという報道があったので興味を持って視聴した。

「部屋」とはアメリカ大統領の執務室のことで、ボルトンは安全保障に関する大統領特別補佐官を1年半ほど勤めたが、トランプ大統領と北朝鮮を巡ってそりが合わなくなり、昨年9月に解任された。そのジョン・ボルトンが、彼の目で見たトランプ執務の実態を書いたものだ。

インタービューの全容は不明だが、日本との関わりを中心に放送された。

その中で最も注目すべきが「駐留米軍」の経費負担問題だろう。

米軍は多くの国に駐留軍を送っているが、トランプはどこの国に対しても駐留経費負担の大幅増額を求めている。

その根拠が例の「駐留している国が攻撃されたら米軍が救援するが、アメリカが攻撃されてもその国がアメリカを救援することはない。不公平だ。」という論法である。

日本にも駐留経費の倍増を求めており、その額は80億ドル(8500億円)だそうだ。トランプの計算ではこの額は日本への駐留経費の150パーセントで、差額の50パーセントは安全保証料(みかじめ料)というから、いい商売だ。

安全保障に儲けもへったくれもないが、トランプはビジネスライクにそう考えているらしい。

「不服なら米軍は撤退してしまおう」などとも語ったようだ。これは最高の脅し文句である。日本の米軍依存症の保守派などが聞いたら卒倒しそうな言葉だ。

今、アフターコロナが言われるようになったが、ここらで本気に「日本は日本人自身が守る。米軍撤退もやむなし。」というアフター日米同盟も視野に入れなければなるまい。

その時がいつかは日本人の問題だ。いつまでもアメリカへの忖度外交をせずに、日本らしい積極的な平和外交を進めるべきだ(ただし、専守防衛力は維持し、永世中立国宣言をした上でなら最高である)。

新型コロナの感染が収まらないうちに、今度は南九州で大規模な豪雨災害が発生した。日本のみならず世界には地球温暖化による環境の激変というグローバルな共通の課題がある。

日本はこれに加えて台風、地震、津波、火山噴火という大災害を常に抱えており、言うならば「災害先進国」だ。しかし、そういった災害を低減し、乗り越える姿を世界に示さなければならないのは、日本の宿命だ。

ボルトンの著書タイトルを借りると、「それが起きた国」。世界はそれを見守っている。