140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

iPadに勝つタブレットを作る方法

2010-05-21 05:36:57 | Apple
「iPadに勝つタブレット」を作る方法
「HP社は、PC市場の終焉を見据えて米Palm社を買収したのだ。
HP社は単に新たな『Windows』搭載PCを販売して価格で勝負しようとはせず、
ハードウェアとソフトウェアの両方を扱おうとしている。」

パソコン売上げ世界一のHPがパソコン市場の終焉を見据えている。
チップやOSを供給してもらいシェアを拡大して価格で勝負する
DellやAcerのやり方とは距離を置こうとしている。

もともとHPはUNIXを動かせるCPUとOSを持っていた。
コンパックを買収してパソコンのシェアを拡大するという路線の方が不自然な気がした。
そして同社は再びハードウェアとソフトウェアの技術を持ち
Appleのような企業と戦える体制を築いていくのだろう。

デスクトップ市場はノート市場に奪われ
ノート市場はタブレット市場に食われ
そしてApple/Google/HPの戦いが本格的になった時には
Windowsの居場所はなくなっているかもしれない。

iPad発表の直前にバルマーCEOがHP製のタブレットを紹介してAppleを牽制していたが
Windows 7を搭載したそのタブレットの開発は中止されたのだろう。
「Palm買収」とはそういうことだ。

死ぬまでにしたい10のこと

2010-05-19 06:31:12 | 
「死ぬまでにしたい10のこと」という本を読んだ。105円。
齋藤薫さん、角田光代さん、MAYA MAXXさん、横森理香さん、倉田真由美さん
八塩圭子さん、酒井順子さん、しまおまほさん、谷村志穂さん、室井佑月さんの
「死ぬまでにしたい10のこと」が書かれている。
申し訳ないが誰も知らん。いちおう紹介文も載っているので、
ふーんそういう人なんだというのは、なんとなくわかった。
内容は「そうですか!」で受け流して、タイトルだけもらおう。
私の「死ぬまでにしたい10のこと」は何か?

①マタイ受難曲を生で聴く。
②ニーベルングの指環を生で聴く(観る)。
③魔笛を生で聴く(観る)。
④無伴奏チェロ組曲を生で聴く。
⑤ベートーヴェンの弦楽四重奏曲ツィクルスを聴く。
⑥バルトークの弦楽四重奏曲ツィクルスを聴く。
⑦シューベルトのピアノ・ソナタ第18番(幻想ソナタ)を生で聴く。
⑧マーラーの交響曲第8番(千人の交響曲)を生で聴く。
⑨トゥーランガリラ交響曲を生で聴く。
⑩もう1回、ベートーヴェンの交響曲ツィクルスを聴く。

というわけで音楽だけで10個終わってしまいました。
これじゃあ仕方がないので次は読書編いきます。

①カラマーゾフの兄弟を読む。
②悪霊を読む。
③罪と罰を読む。
④白痴を読む。
⑤アンナ・カレーニナを読む。
⑥城を読む。
⑦チボー家の人々を読む。
⑧ツァラトゥストラはかく語りきを読む。
⑨世界の終りとハードボイルドワンダーランドを読む。
⑩ファインマン物理学を読む。

こんなに読んでいてはなかなか死ねないな。
そろそろ本当にやりたいことを書こう。

①本を書く。
②初音ミクを買って曲を作る。
③iPhoneアプリで一発当てる。
④バイクを買ってミクの痛単車にする。
⑤そのバイクに乗って放浪の旅に出て二度と戻らない。

あーもう、できそうにないことばかりだ。
でも簡単に出来ることならやってしまっている。
ハードウェアの設計・ソフトウェアの設計などのモノ作りは
仕事でいろいろやったので今は何か作りたいとは思わない。
やっぱり本を書きたいな。構想も何もないけど、
知らない人への励ましになるような
親しい人への手紙のような
子供たちへの遺言のような
自分への問いかけのような
世界との和解のような
そんな本を書きたい。

人は見た目が9割

2010-05-17 06:27:26 | 
竹内一郎「人は見た目が9割」という本を読んだ。
言葉で伝えられることは限られているという意味らしい。
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私たちの周りにあふれていることば以外の膨大な情報―。それを研究しているのが、
心理学の「ノンバーバル・コミュニケーション」と呼ばれる領域である。最近は、
言葉よりも、言葉以外の要素の方がより多くの情報を伝達していることが分かってきた。
アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は人が他人から受けとる情報
(感情や態度など)の割合について次のような実験結果を発表している。

○顔の表情 55%
○声の質(高低)、大きさ、テンポ 38%
○話す言葉の内容 7%

話す言葉の内容は7%に過ぎない。残りの93%は、顔の表情や声の質だというのである。
実際には、身だしなみや仕草も大きく影響するのだろう。(18ページ)
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会議なんかしていると話の内容よりも声の大きい人の言うことが支配力を持ったりする。
会議の場の雰囲気を支配した人が決定権を持つことになる。
その人が優秀であれば良いが、そうでない場合は悲劇だ。
技術的なことを一生懸命説明しても話し方が悪いと言って一蹴される場合もある。
人が求めていることは快活さであり明朗さであり分かり易さなのだ。
「何を話すかではなくて、いかに話すか」なのだ・・・

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「可愛い女の子」のポーズの第一の特徴は、快活に足を広げている時も、膝は内側を
向いているというものである。女の子らしさの象徴は、内側に向いた足。これは
舞妓さんの歩き方の変形であると私は考えている。従順の表明である。(64ページ)
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通勤電車の中で足を広げて座る女性に違和感を感じるのは、これが原因だったのか。
しかし「従順の表明」なんて昔の話のような気がする。
「年収1千万円」が理想のアラサーなら居ると思う。

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それは弥生式農耕文化の時代に日本民族のコア・パーソナリティ(精神の核)が形成
された、という説である。一人で黙々と田畑を耕す農民の相手は人間ではなく、
自然である。仕事中に他人とぺちゃくちゃ喋っている必要はない。その結果「語らぬ」
文化が出来たというのである。(92ページ)
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そういう弥生時代の文化が今まで引き継がれてきたというのは少し信じ難い。
農民だけではなくて、貴族・武士・商人になる人もいたのだから。
商人が「語らぬ」文化のまま変わらなければ商人としては失格だろうし
悪代官も出番がない。

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まかせるとは仏教のことばでいえば、「南無」につながる。「南無」は「おまかせします」と
理解すればわかりやすい。「南無阿弥陀仏」といえば、「阿弥陀様に全ておまかせします」
ということなのだ。(106ページ)
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教えて!gooで調べると「南無とはインドの言葉で「帰依する、信じる」などという意味です」
と書いてあった。「おまかせします」でも通じるだろう。
毎日「南無阿弥陀仏」と言っていれば楽なのかもしれないが
「おまかせします」と言っても何を引き受けてもらったらよいかわからない・・・

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「間違い」「間に合う」「間抜け」「間が悪い」「間が良い」・・・・・。
日本語には間の大切さあを教える言葉がたくさんある。
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「間」は大切だ。コミュニケーションもそうだけど、小説や音楽でもそう思う。
シューベルトのピアノ・ソナタは「間」をうまく使っている。
アファナシエフの演奏は的確な「間」を作っている。
電子メールなどの間接的なコミュニケーションだと「間」を気にしなくてもよいが
実際には直接伝えないとわからないことが多い。

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つまるところ、「伝える技術」の最大の目的は、「好き・好かれる」の関係をつくることで
ある。一方的な「間」では誰からも好かれない。間の悪い奴になってしまうのである。
(137ページ)
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伝えようとしないのは、「好き・好かれる」の関係を放棄しているからなのだろうか?
村上春樹の初期の作品の登場人物は自分から語ることはない。
私も同類だけど・・・

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ミヒャエル・エンデの小説「モモ」の主人公が街中の人気者になった理由は、
彼女が「聞き上手」だったからだ。(142ページ)
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「聞き上手」になるのは大変だ。
相手を理解しようとしなければならないし相手の価値観を受け止めなければならない。
それが大切なことだとわかっていながら、何故、私たちはそうしないのだろう?
自分のことだけで精一杯だから・・・
みんながそう考えて
みんなが孤立する。

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つまりマナーを守っているということは、相手に「あなたを尊重していますよ」という
メッセージを発していることに他ならない。(168ページ)
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しかし、挨拶をしない人がけっこういる。上下を問わずけっこういる。
「あなたを無視していますよ」というメッセージを発していることになる。
そういうのは良くないと思う。
人が理解しあえるのは難しいので
せめて挨拶ぐらいはきちんとしようと思っている。

押井守の勝敗論

2010-05-16 06:54:57 | 映画
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宮崎やキャメロンのような興行収入を更新する監督は、勝ち続けなければならない宿命に
ある。勝ち続けることは不可能で、いわばその構造を作り出してしまったのが不幸であり、
負けである。逆に、興行的に当たらなくても映画を撮り続けていられる監督――ゴダール、
北野武、押井守などが、不敗の構造を持つ「勝ち」側の監督なのである、と押井氏は語る。
勝ち負けは世間の評価ではなく、自分の中だけの価値基準だということをこの本は教えて
くれる。
押井守の勝敗論第2弾
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政治は知名度を利用した人気投票、経済では「勝ち組」「負け組」、そして格差社会
希望もなく緩慢な死に向かって進むだけの閉塞感に満ちた世の中
そんな世間に合わせる必要はないのだろうが
自分の中の価値基準は彼らには伝わらない。
そして私は分裂する。
「生活のために仕事をする私」と「今、この文章を書いている私」
仕事に専念すれば悩みも少なくて済むのだろうが、それでは面白みがない。

私には極めて偏った美意識がある。
人は様々な方向に偏るものだと思うが、仕事が忙しくて「偏れない人」が増えていると思う。
そんなふうになってしまうと年収だけが物差しの世界になってしまう。
そうなると「モモ」の出番かな?

格付け会社が何を企んでいるのかわからないが
3段階引き下げとかで一瞬にして世界が不安定になる。
自分たちが作り上げたルールで自分たちの首を絞めている。
そうなると押井監督といえども「不敗」を貫くことは困難だろう。
どうしたらいいかは誰にもわからない・・・

えっとそれで「エヴァ特需」ですか?
私にはよくわかりませんが、それでよろしいんじゃないですか・・・
「エヴァ」でも「ミク」でも「寧々さん」でも楽しめればいいと思う。
「バッハ」でも「ドストエフスキー」でもOK!
人生なんて最後は必ず敗北するものだ。
私たちは不可避な死に向かって不可逆な人生を歩んでいる。
そういう自覚があるとないのとでは生き方がちょっと違ってくる。

前頭葉は脳の社長さん?

2010-05-15 05:23:42 | 音楽
坂井克之「前頭葉は脳の社長さん?」という本を読んだ。勉強になった。

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このように情報が統合されるためは、情報の各要素を個々に処理している領域の
神経細胞の軸索が、脳のある領域で1箇所に集束されることが必要です。
実は前頭前野はほとんどすべての感覚領域、さらには感情や記憶を司る脳領域の
軸索が集中している領域なのでる。その結果として、すべての脳領域からの情報が
統合されるという前頭前野の特徴が生まれるのです。(18ページ)
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前頭前野の物理的な(解剖学的な)特徴が書かれている。統合された情報を処理して
運動領域に適切な指令を出すのが前頭前野と考えられているそうだ。
そういう意味で「社長さん?」ということになるのだろう。

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ある場面では不要な情報も、別の場面では重要になります。そしてその場の状況に
応じてどの情報が必要かを決めているのが、前頭前野からのトップダウン信号
なのです。(28ページ)
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すべての脳領域からの情報が単に上げられるのではなく、前頭前野が場合に応じて
信号の選択を行っている。つまりボトムアップの信号とトップダウンの信号が
行き交っている。

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脳をピラミッド形の階層構造を持つ組織として考えると、能動的な注意、意思の力に
もどづく注意というものは脳の階層の上の方で形作られ、これが低層の感覚領域に
送られてその情報処理のスピードを速める、あるいは感度を高めるプロセスと
考えられます。すなわち階層の上から下へ、トップダウンです。
逆に受動的な注意の場合は、感覚情報が脳の階層構造の底辺に当たる感覚領域に
まず到達し、次第に上へ上がっていくという処理、すなわちボトムアップです。
そしてこの階層の頂点に位置するのが前頭前野なのです。(49ページ)
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能動的な注意と受動的な注意の違いについて、情報の流れをもとに説明している。

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大脳皮質のそれぞれの領域の境界で、細胞構築のパターンはがらりと変わります。
たとえば前頭前野のブロードマンの9野は、大脳の表面から数えて四番目の第Ⅳ層が
薄いのに対して、隣に存在する46野は第Ⅳ層が厚くなっています。
そしてこの第Ⅳ層の厚さは、9野から46野にしたがって徐々に変化するのではなく、
ある境界で急激に変化します。ですからかなり明確な境界をもって脳はいくつもの
領域に分けられるのです。言い換えると、大脳皮質は建築様式の異なったいくつもの
領域の集合体なのです。(62ページ)
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大脳皮質の領域の分け方について記載している。他の本ではいきなり9野とか46野とか
書かれているが、それらが物理的に(解剖学的に)異なるということを説明して
くれている。

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整理するとここまで三つの学説が出てきました。
(1)情報分離説:空間情報と物体情報は前頭前野の背側(8野と46野)と腹側(47/12野)で
別々に保持される。
(2)情報統合説:空間情報と物体情報は分離しておらず、統合された形で前頭前野の
背側と腹側の双方において保持される。
(3)情報操作説:前頭前野は情報の保持と操作の面で分離している。情報の保持に
関しては、空間情報は前頭前野の背側(8野)、物体情報は腹側(47/12野)が別々に関与
する。ところが情報の操作に関しては、46野が情報の種類にかかわらず関与する。
(98ページ)
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いろいろな学説があるが、実験課題の設定次第で前頭前野の神経細胞活動の様相が
変わってくるらしい。

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底部前頭前野の役割は、「報酬」の一言に要約されます。脳における報酬は、お金
だけではなく、快楽であったり達成感であったり満足感であったりします。
底部前頭前野は中トロ、シャネルの香り、川原亜矢子さんにも反応するのです。
そしてその報酬としての価値を計算するのです。
・・・
外側前頭前野と底部前頭前野の働き方の違いは、意識と関係しているようです。
外側前頭前野が意識的に情報を保持し、特定の情報に注意を向けるというように
意識とのかかわりが強いのに対して、底部前頭前野は本能的に危険を回避したり、
感情に流されてしまうというように無意識の側面が強いようです。(148ページ)
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報酬にもとづいて本能的に行動を制御する底部前頭前野の説明が書かれている。
報酬には食欲、性欲、金銭欲があるが、「フェルマーの定理の証明」とか
「暗黒物質の存在の証明」などの抽象的な情報までが報酬として働き
私たちの行動を制御していることが書かれている。
そういえば私にとっての報酬とは単に「知りたいこと」なのかもしれない。
それも「私自身について知りたい」という側面が強い。
それで最近は脳関係の本を読むことが多い。

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私たち人間の自発的な行動のかなりの部分も、何らかの報酬を求めた行動だと
考えられます。ここでの報酬とは、お金や食べ物だけではなく、満足感や後悔と
いった感情、他人との協力行動、さらには妄想の産物であってもよいのです。
この報酬にもとづいて行動を切り替える場合、私たちはこれを自分の意思に
もとづいた行動だと考えます。(159ページ)
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意思と呼んでいるものは報酬という脳の仕組みに関係しているようだ。
そしてだんだん「意思」という強固なものがあるのか疑問に思えてくる。

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前部帯状回にあるヒト固有の巨大紡錘形神経細胞や、ヒトで著しく発達した
前頭極部10野がヒト特有の社会性の発達に寄与している可能性はあります。
このような構造は前部帯状回や前頭極部だけの問題ではなく、脳全体の階層構造の
変化を伴っているはずでしょう。システムレベルでの人間の脳の独自性が、
どのようにして人間特有の社会性や知性といったものに結びついているのか、
知りたいことは山ほどあります。(175ページ)
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神経細胞や脳全体の物理的な構造がヒトをヒトたらしめている可能性について
書かれている。実際にそういうことが確認されたわけではないけれど、
単に脳が大きくなったから人間特有の社会性や知性が生じたわけではなさそうだ。

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前頭前野の外側部、底部、内側部の入力系は、それぞれの部分の働きに適した情報を
伝えています。というよりはむしろ、その領域がどこから入力を受けているかに
よってそれぞれの働きが決定されているのです。
この三つの部分はさらに、ブロードマンの分類にもとづいて十数個の領域に
分けられます。そしてこのブロードマンの領域ひとつひとつは、まささらに異なった
入出力パターンをもっています。そしてこの領域間の結合関係によって、それぞれの
脳領域の固有の働きが生じます。脳は幾重にも組み合わさった入れ子構造に
なっているのです。(181ページ)
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以上のことから、脳の中にはすべての情報を一手に引き受け、かつすべての部署に
指令を出すようなワンマン社長は存在しないといえそうです。前頭前野は社長さんに
たとえるよりも、重役たちが情報交換をする場と考えた方が良さそうです。
重役会議で企画、営業、総務担当者が情報のやり取りをし、会社の経営方針を決定
するように、外側、底部、そして内側前頭前野の間で情報のやり取りがおこなわれ
行動が決定されていると考えられます。(193ページ)
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脳の中には「社長さん」のような最高位の領域は存在しないということで表題の
「前頭葉は脳の社長さん?」という疑問文は否定される。

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脳はピラミッド形の単純な階層構造をとっているわけではありません。ピラミッドの
内部は、必要な領域同士が階層を超えてショートカットで結び付けられ、
クラスター構造を形成しています。このおかげで結合された情報、あるいは分離
したままの形の情報にもとづいて素早く行動をおこすことができるのです。
(215ページ)
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もちろんありとあらゆる形で情報が伝達されてくるわけではありません。どのような
形で情報を統合するか、あるいは分離したまま処理するかを決定しているのが
前頭前野だと考えられています。前頭前野からほかの領域へと送られるトップダウン
信号がこの役割を果たしているようです。そして前頭前野は、脳のピラミッドを
どのような形で利用するかを、必要に応じてフレキシブルに変化させているのです。
(216ページ)
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脳はピラミッド形でありながらフレキシブルに出来ているそうだ。
そしてそれを可能にしているのがトップダウンの信号だという。
通常の会社の組織はピラミッド形で意思決定のスピードが遅いが
成長している会社の組織にはトップダウンの信号とショートカットの経路が
あるのかもしれない。

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まだはっきりした証拠はないのですが、外側前頭前野が意識的な意思決定に、
底部前頭前野が無意識な意思決定に関与しているのではないかと考えている研究者が
多いようです。ただし私たちが意識していようといまいと、脳の中では常に膨大な
情報が「強いものが勝つ」の原則にもとづいて戦っているのは確かなようです。
このように考えると、意思とは我々が決めているものだといえるのでしょうか。
結局のところ私たちの意志を決定しているのは脳の神経細胞活動によって表現された
情報の強さのようです。そしてそこには、「脳で決定された意思」を後から私たちが
認識し、これを「私たちの意志」だと思っているのだという事実が見え隠れします。
その意思決定の過程を意識的に追っていくことができる場合には、あたかも私たち
自身が意思を決定しているように感じます。つまり私たちが脳を制御しているように
感じるのです。ですが実際のところは、脳が意思決定をしていて、脳が私たちの意思を
制御しているのです。(228ページ)
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まず意思の決定は、脳の広範囲の領域で起こっている現象です。どこかひとつの
領域が意思を決定しているわけではなく、複数の領域、そして当然のことながら
多数の神経細胞が協調した結果として、脳の意思が生まれてくるのです。つまり
意思は決定されるものではんく、神経細胞間の合意の結果として自然に生じてくる
もののようです。
また、意思決定は連続的なプロセスです。感覚情報の分析、意思の決定、運動情報への
変換という三つの過程は同時並行的に進行してゆきます。ですから脳のどこかにある
意思決定機関が、ある瞬間にパッと指令を出すことで意思が決定されるわけでは
ありません。前頭前野とその他のすべての脳領域との間の緊密な連携の下、
同時並行的に情報処理されているその動的な過程すべてが、
意思決定のプロセスなのです。(247ページ)
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大事なことは前頭前野が自らの意思で情報の流れを制御しているわけではないことです。
この流れを決めているのは、前頭前野へ送り込まれてくる外の世界からの情報であり、
空腹状態のような自分の体の内部の情報であり、また感情のように脳の内部で
作り上げられた情報なのです。
・・・
また脳の中ではいったん情報が送られたらそれっきりということはなく、送り返されて
きて再処理をして、また送るといったことが延々と繰り返されているのです。ですから
意思決定に限らず、脳の働きすべては、ひとつひとつの脳領域で段階的に処理されて
ゆくようなものではなく、脳領域間の連続的な相互作用の結果として自然に生まれて
くるようなものだと考えたほうが自然です。前頭前野はその相互作用のパターンを、
行動の目的に沿った最適な形にするための回路に過ぎないのです。その中には
賢い小人=ホムンクルスは住んでいません。なぜならその回路の設定は、
過去の記憶情報、現在の感覚情報、あるいは感情によって
自然に決定されているからです。(251ページ)
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意思決定は脳の特定の場所でなされるのではないということ
また私たち自身が意思を決定しているのではないということが書かれている。
私たちが意思を決定していないのなら誰が決定しているのかというと
過去の記憶情報や現在の感覚情報や感情の間で戦いがあり、「強いもの」、つまり
「神経細胞活動によって表現された情報の強さ」が決定しているのだという。
そしてそれが延々と繰り返されているらしい。
「私」が意思決定をしないのであれば、なぜ私たち自身が意思を決定していると感じる
必要があるのだろうか?なぜ「意思」が知覚される必要があるのだろうか?
なぜ知覚する「私」というものが必要となるのだろうか?
そういったことは、この本には書いていないが、エピソード記憶の形成、つまり
過去、現在、未来に渡る自己同一性の形成に必要なものだと推測される。
だが「脳領域間の連続的な相互作用の結果」がどのようなメカニズムで「意識に上がる」
ことになるのかは全くわからない。
そういうことが書いてある本は、まだ存在しないのだろう。

アップルiPadで自爆?

2010-05-14 05:53:31 | Apple
iPadの大衝撃! まさかのアップルの首まで絞める超ド級インパクト判明
iPadの登場で一番売れなくなるのはiPod touch?
私はiPod touch好きだし、これなくなると音楽が聴けなくなって日々の生活に困る。
iPod nanoだと容量が少ないし、iPod classicだと重い。
iPod touchの容量と重量とサイズとデザインはバランスがとれていると思う。
それさえあれば何処に行っても退屈することはない持ち歩ける音楽ライブラリだ。
私の生活スタイルからするとiPadには書棚の役割を期待しているのだが
今のところ少々無理がある。
最近は105円の本ばかり読んでいるので電子書籍の価格に納得できないだろうし
種類にも納得できないだろう。そういうわけでiPadを買うのはためらいがある。

iPadのせいでiPod touchもMacBookも影響を受けてアップルも自爆しているとのことだが
パソコンそのものが将来どうなるのかわからない。
もともと生産のための道具だから職場からすぐに消えることはないだろうが
家でブラウザしか使わない人はキーボードなんか要らないのだろうから
家庭のパソコンは淘汰されてしまうのだろう。
GoogleもPalmを買収したHPもMicrosoft後の世界を狙っている。
脱パソコン時代とでも呼べばいいのかな・・・
だから新型VAIO PとかCore i7搭載Let's noteという
「古風」な製品を発表して得意になっているメーカーは
Microsoftと共にしぼんでいくのだろう。

永遠を駆け抜ける一瞬の僕ら

2010-05-14 05:51:39 | 音楽
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永遠(とわ)を駆け抜ける一瞬の僕ら
舞い降りた地上は爽快な深いブルー
君の優しさに僕は再生した(うまれた)
甘い野望みたいな未来
滅びゆくより導かれるまま...

なんとなく気づいた目の前の愛しいモノ
ハジケて消えそうでそんなトコ 偉大(すき)

どんな風に現実(いま)を感じても構わないよね
ゆきたい場所へゆけばいい...

永遠を駆け抜ける一瞬の僕ら
舞い降りた地上で流れゆくんだ
もどかしい位感じてた距離も
呼び合って引き寄せる
遥か 彼方悪戯に舞い降りた意味さえ
君の声がきこえたら また解き放てる
(GARNET CROW「永遠を駆け抜ける一瞬の僕ら」より)
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永遠・・・果てしない時間の流れ・・・
時間が流れる・・・過去から未来へと・・・実はそれは幻想で・・・あるのは現在のみ
絶え間なく変化しているのは現在・・・
現在に生きるものが移り変わっていく。
そして今は私たちが地上にいる。
一瞬の間だけ・・・

誰が私たちが生きていたことを記憶に留めているだろう。
100年前に生きていた人々は死んでしまって多くの人々が忘れ去られた。
そして100年前に生きていた人々は200年前に生きていた人々のことを知らない。
100年後を生きている人々は私たちのことを知る必要もない・・・

私たちは、そんな掴みどころのない世界に生きている。
そういうことが何回も繰り返されてきた。これからもそうだ。
いつの日か私は混沌あるいは虚無の中へ帰る。
そこから私は生まれてきたのだ。
そしていつかそこに帰る。

自分の身の回りを好きなもので満たそう。本とか音楽とか。
そして思ったことを綴っていこう。
それが私に出来る全て・・・

東北新幹線・新型車両の愛称募集、「はつね」は2位だった

2010-05-13 06:07:50 | Weblog
東北新幹線・新型車両の愛称募集、「はつね」は2位だった
惜しかったね・・・
それで1位は東北初の特急で2002年に廃止された「はつかり」だったそう。
ところが採用された愛称は7位の「はやぶさ」だという。
だったら初めから募集するなよ・・・

新幹線はダメだったが、なぜか金星探査機「あかつき」に、
ミクのイラストとミクファン1万4000人のメッセージが載るという。
金星へ飛び立つ「あかつき」と初音ミクパネルを見てきた
5月18日に打ち上げられるそうだ。

凋落していく邦楽にあって「ミク」だけが元気があると思う。
「オタク」とか「2次元」というレッテルを貼られているが
邦楽にはびこっている「感動したがっている人を感動させるための音楽」とは違って
純粋に楽しむための作品になっていると思う。
玉石混淆といえなくもないが・・・

国家の品格

2010-05-13 06:06:37 | 
藤原正彦「国家の品格」という本を読んだ。
ブックオフにたくさんあった。旬をすぎたベストセラーは安い。

この本の要旨は
「経済に発したグローバリズムがもたらす効率性は、広く社会・文化・教育を腐食させ、
世界をアメリカ化・画一化してしまう。
その結果、貧富の差が急速に拡大し、大都市の発展と田舎の衰退が進んだ。
21世紀は、世界の各民族・各地方・各国家に生まれた伝統・文化・文学・情緒・形などを
世界中の人々が互いに尊重しあい、それを育てていくローカリズムの時代に
しなければならない。
このローカリズムの中核を成すのが、それぞれの国が持っている普遍的価値であり、
日本人が有する最大の普遍的価値は、美しい情緒と、それが育んだ誇るべき文化や
伝統である」
ということらしい。

そして品格ある国家の指標を四つあげている。
①独立不羈
②高い道徳
③美しい田園
④天才の輩出

それから英語よりも国語、算数(数学)の教育の方が大切だと繰り返し述べられている。
国語の教育とは具体的には本を読むことだ。
日本語は知っているから勉強する必要はないと思っている人も増えているみたいだが
大きな間違いだ。文章が読めない人、文章が書けない人に仕事なんて出来ない。
そして国語力は、その人が読んだ本の質と量に比例する。
しかし著者は「チボー家の人々」と「戦争と平和」と「源氏物語」を読まないまま本棚に
飾っていると書いている。そんな人に読書が大切と言われても説得力がない。
(私も源氏物語は読んでいない。読まないのは偏見のせいだと思う)

品格ある国家の指標については「独立不羈」の実現が難しいと思う。
日本は今後もアメリカと中国に挟まれて翻弄されていくのだろう。
そして現代では核兵器を持つ国が圧倒的に有利だ。
だからといって独立のために日本も核武装するというのでは短絡的だろう。
しかし本当に「独立不羈」を望むのであれば
国内の米軍基地は全てなくすぐらいのことをしなければならないと思う。
「本に書くのは簡単だが実際に出来ますか?」
という質問をしたくなる。

普通の日本人が自信を持つには有用な本だと思う。
それ以上でも、それ以下でもない。