140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

iPhone 4G(仮)国内で発売中?

2010-05-15 18:11:05 | Apple
第4世代の「iPhone 4G(仮)」とされる携帯電話が日本国内で発売中、最大容量は64GB
発売中と言っても、あまりに怪しすぎる。それに高い。(98,000円)
これをソフトバンクに持って行って契約できるかどうかも怪しい。
しかしiPhone 4の機密管理はボロボロだな。
またジョブズが怒りまくるのだろうな・・・

前頭葉は脳の社長さん?

2010-05-15 05:23:42 | 音楽
坂井克之「前頭葉は脳の社長さん?」という本を読んだ。勉強になった。

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このように情報が統合されるためは、情報の各要素を個々に処理している領域の
神経細胞の軸索が、脳のある領域で1箇所に集束されることが必要です。
実は前頭前野はほとんどすべての感覚領域、さらには感情や記憶を司る脳領域の
軸索が集中している領域なのでる。その結果として、すべての脳領域からの情報が
統合されるという前頭前野の特徴が生まれるのです。(18ページ)
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前頭前野の物理的な(解剖学的な)特徴が書かれている。統合された情報を処理して
運動領域に適切な指令を出すのが前頭前野と考えられているそうだ。
そういう意味で「社長さん?」ということになるのだろう。

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ある場面では不要な情報も、別の場面では重要になります。そしてその場の状況に
応じてどの情報が必要かを決めているのが、前頭前野からのトップダウン信号
なのです。(28ページ)
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すべての脳領域からの情報が単に上げられるのではなく、前頭前野が場合に応じて
信号の選択を行っている。つまりボトムアップの信号とトップダウンの信号が
行き交っている。

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脳をピラミッド形の階層構造を持つ組織として考えると、能動的な注意、意思の力に
もどづく注意というものは脳の階層の上の方で形作られ、これが低層の感覚領域に
送られてその情報処理のスピードを速める、あるいは感度を高めるプロセスと
考えられます。すなわち階層の上から下へ、トップダウンです。
逆に受動的な注意の場合は、感覚情報が脳の階層構造の底辺に当たる感覚領域に
まず到達し、次第に上へ上がっていくという処理、すなわちボトムアップです。
そしてこの階層の頂点に位置するのが前頭前野なのです。(49ページ)
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能動的な注意と受動的な注意の違いについて、情報の流れをもとに説明している。

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大脳皮質のそれぞれの領域の境界で、細胞構築のパターンはがらりと変わります。
たとえば前頭前野のブロードマンの9野は、大脳の表面から数えて四番目の第Ⅳ層が
薄いのに対して、隣に存在する46野は第Ⅳ層が厚くなっています。
そしてこの第Ⅳ層の厚さは、9野から46野にしたがって徐々に変化するのではなく、
ある境界で急激に変化します。ですからかなり明確な境界をもって脳はいくつもの
領域に分けられるのです。言い換えると、大脳皮質は建築様式の異なったいくつもの
領域の集合体なのです。(62ページ)
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大脳皮質の領域の分け方について記載している。他の本ではいきなり9野とか46野とか
書かれているが、それらが物理的に(解剖学的に)異なるということを説明して
くれている。

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整理するとここまで三つの学説が出てきました。
(1)情報分離説:空間情報と物体情報は前頭前野の背側(8野と46野)と腹側(47/12野)で
別々に保持される。
(2)情報統合説:空間情報と物体情報は分離しておらず、統合された形で前頭前野の
背側と腹側の双方において保持される。
(3)情報操作説:前頭前野は情報の保持と操作の面で分離している。情報の保持に
関しては、空間情報は前頭前野の背側(8野)、物体情報は腹側(47/12野)が別々に関与
する。ところが情報の操作に関しては、46野が情報の種類にかかわらず関与する。
(98ページ)
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いろいろな学説があるが、実験課題の設定次第で前頭前野の神経細胞活動の様相が
変わってくるらしい。

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底部前頭前野の役割は、「報酬」の一言に要約されます。脳における報酬は、お金
だけではなく、快楽であったり達成感であったり満足感であったりします。
底部前頭前野は中トロ、シャネルの香り、川原亜矢子さんにも反応するのです。
そしてその報酬としての価値を計算するのです。
・・・
外側前頭前野と底部前頭前野の働き方の違いは、意識と関係しているようです。
外側前頭前野が意識的に情報を保持し、特定の情報に注意を向けるというように
意識とのかかわりが強いのに対して、底部前頭前野は本能的に危険を回避したり、
感情に流されてしまうというように無意識の側面が強いようです。(148ページ)
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報酬にもとづいて本能的に行動を制御する底部前頭前野の説明が書かれている。
報酬には食欲、性欲、金銭欲があるが、「フェルマーの定理の証明」とか
「暗黒物質の存在の証明」などの抽象的な情報までが報酬として働き
私たちの行動を制御していることが書かれている。
そういえば私にとっての報酬とは単に「知りたいこと」なのかもしれない。
それも「私自身について知りたい」という側面が強い。
それで最近は脳関係の本を読むことが多い。

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私たち人間の自発的な行動のかなりの部分も、何らかの報酬を求めた行動だと
考えられます。ここでの報酬とは、お金や食べ物だけではなく、満足感や後悔と
いった感情、他人との協力行動、さらには妄想の産物であってもよいのです。
この報酬にもとづいて行動を切り替える場合、私たちはこれを自分の意思に
もとづいた行動だと考えます。(159ページ)
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意思と呼んでいるものは報酬という脳の仕組みに関係しているようだ。
そしてだんだん「意思」という強固なものがあるのか疑問に思えてくる。

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前部帯状回にあるヒト固有の巨大紡錘形神経細胞や、ヒトで著しく発達した
前頭極部10野がヒト特有の社会性の発達に寄与している可能性はあります。
このような構造は前部帯状回や前頭極部だけの問題ではなく、脳全体の階層構造の
変化を伴っているはずでしょう。システムレベルでの人間の脳の独自性が、
どのようにして人間特有の社会性や知性といったものに結びついているのか、
知りたいことは山ほどあります。(175ページ)
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神経細胞や脳全体の物理的な構造がヒトをヒトたらしめている可能性について
書かれている。実際にそういうことが確認されたわけではないけれど、
単に脳が大きくなったから人間特有の社会性や知性が生じたわけではなさそうだ。

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前頭前野の外側部、底部、内側部の入力系は、それぞれの部分の働きに適した情報を
伝えています。というよりはむしろ、その領域がどこから入力を受けているかに
よってそれぞれの働きが決定されているのです。
この三つの部分はさらに、ブロードマンの分類にもとづいて十数個の領域に
分けられます。そしてこのブロードマンの領域ひとつひとつは、まささらに異なった
入出力パターンをもっています。そしてこの領域間の結合関係によって、それぞれの
脳領域の固有の働きが生じます。脳は幾重にも組み合わさった入れ子構造に
なっているのです。(181ページ)
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以上のことから、脳の中にはすべての情報を一手に引き受け、かつすべての部署に
指令を出すようなワンマン社長は存在しないといえそうです。前頭前野は社長さんに
たとえるよりも、重役たちが情報交換をする場と考えた方が良さそうです。
重役会議で企画、営業、総務担当者が情報のやり取りをし、会社の経営方針を決定
するように、外側、底部、そして内側前頭前野の間で情報のやり取りがおこなわれ
行動が決定されていると考えられます。(193ページ)
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脳の中には「社長さん」のような最高位の領域は存在しないということで表題の
「前頭葉は脳の社長さん?」という疑問文は否定される。

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脳はピラミッド形の単純な階層構造をとっているわけではありません。ピラミッドの
内部は、必要な領域同士が階層を超えてショートカットで結び付けられ、
クラスター構造を形成しています。このおかげで結合された情報、あるいは分離
したままの形の情報にもとづいて素早く行動をおこすことができるのです。
(215ページ)
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もちろんありとあらゆる形で情報が伝達されてくるわけではありません。どのような
形で情報を統合するか、あるいは分離したまま処理するかを決定しているのが
前頭前野だと考えられています。前頭前野からほかの領域へと送られるトップダウン
信号がこの役割を果たしているようです。そして前頭前野は、脳のピラミッドを
どのような形で利用するかを、必要に応じてフレキシブルに変化させているのです。
(216ページ)
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脳はピラミッド形でありながらフレキシブルに出来ているそうだ。
そしてそれを可能にしているのがトップダウンの信号だという。
通常の会社の組織はピラミッド形で意思決定のスピードが遅いが
成長している会社の組織にはトップダウンの信号とショートカットの経路が
あるのかもしれない。

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まだはっきりした証拠はないのですが、外側前頭前野が意識的な意思決定に、
底部前頭前野が無意識な意思決定に関与しているのではないかと考えている研究者が
多いようです。ただし私たちが意識していようといまいと、脳の中では常に膨大な
情報が「強いものが勝つ」の原則にもとづいて戦っているのは確かなようです。
このように考えると、意思とは我々が決めているものだといえるのでしょうか。
結局のところ私たちの意志を決定しているのは脳の神経細胞活動によって表現された
情報の強さのようです。そしてそこには、「脳で決定された意思」を後から私たちが
認識し、これを「私たちの意志」だと思っているのだという事実が見え隠れします。
その意思決定の過程を意識的に追っていくことができる場合には、あたかも私たち
自身が意思を決定しているように感じます。つまり私たちが脳を制御しているように
感じるのです。ですが実際のところは、脳が意思決定をしていて、脳が私たちの意思を
制御しているのです。(228ページ)
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まず意思の決定は、脳の広範囲の領域で起こっている現象です。どこかひとつの
領域が意思を決定しているわけではなく、複数の領域、そして当然のことながら
多数の神経細胞が協調した結果として、脳の意思が生まれてくるのです。つまり
意思は決定されるものではんく、神経細胞間の合意の結果として自然に生じてくる
もののようです。
また、意思決定は連続的なプロセスです。感覚情報の分析、意思の決定、運動情報への
変換という三つの過程は同時並行的に進行してゆきます。ですから脳のどこかにある
意思決定機関が、ある瞬間にパッと指令を出すことで意思が決定されるわけでは
ありません。前頭前野とその他のすべての脳領域との間の緊密な連携の下、
同時並行的に情報処理されているその動的な過程すべてが、
意思決定のプロセスなのです。(247ページ)
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大事なことは前頭前野が自らの意思で情報の流れを制御しているわけではないことです。
この流れを決めているのは、前頭前野へ送り込まれてくる外の世界からの情報であり、
空腹状態のような自分の体の内部の情報であり、また感情のように脳の内部で
作り上げられた情報なのです。
・・・
また脳の中ではいったん情報が送られたらそれっきりということはなく、送り返されて
きて再処理をして、また送るといったことが延々と繰り返されているのです。ですから
意思決定に限らず、脳の働きすべては、ひとつひとつの脳領域で段階的に処理されて
ゆくようなものではなく、脳領域間の連続的な相互作用の結果として自然に生まれて
くるようなものだと考えたほうが自然です。前頭前野はその相互作用のパターンを、
行動の目的に沿った最適な形にするための回路に過ぎないのです。その中には
賢い小人=ホムンクルスは住んでいません。なぜならその回路の設定は、
過去の記憶情報、現在の感覚情報、あるいは感情によって
自然に決定されているからです。(251ページ)
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意思決定は脳の特定の場所でなされるのではないということ
また私たち自身が意思を決定しているのではないということが書かれている。
私たちが意思を決定していないのなら誰が決定しているのかというと
過去の記憶情報や現在の感覚情報や感情の間で戦いがあり、「強いもの」、つまり
「神経細胞活動によって表現された情報の強さ」が決定しているのだという。
そしてそれが延々と繰り返されているらしい。
「私」が意思決定をしないのであれば、なぜ私たち自身が意思を決定していると感じる
必要があるのだろうか?なぜ「意思」が知覚される必要があるのだろうか?
なぜ知覚する「私」というものが必要となるのだろうか?
そういったことは、この本には書いていないが、エピソード記憶の形成、つまり
過去、現在、未来に渡る自己同一性の形成に必要なものだと推測される。
だが「脳領域間の連続的な相互作用の結果」がどのようなメカニズムで「意識に上がる」
ことになるのかは全くわからない。
そういうことが書いてある本は、まだ存在しないのだろう。