安倍政権の進める経済政策であるアベノミクスなるものの内実と問題点が、どのようなものなのか、さすがにマスコミでも少しずつ取りあげられてきた。
アベノミクスの成長戦略の本質は株価対策であること。安倍総理は株価増減が、支持率の増減に直結しているとの認識のもとで、日本経済の本質的に底上げではなく、全てを株価上昇のために政策動員をさせている。
世界8月号の新成長戦略批判の特集の中で、山口義行立教大教授が「法人税減税と中小企業増税」の論稿の中で「株価対策と化した成長戦略」であると喝破している。
いわゆるアベノミクスの3本の矢か4本の矢か分からないが、株価を上げるという擬制の成長戦略のために、外資導入も視野に入れた大企業のための法人税の実効税率の引き下げのための財源を、中小企業向け増税で賄おうとしている。
それだけではなく、我々国民のなけなしの公的年金の積立金を危機にさらしながら、株式投資に運用し、成長戦略を後押ししようとしている。
これは「バクチ」だ。中小企業増税で中小企業を追い詰め、年金を株式運用という「バクチ」に投資しようとするもの。これは絶対に許してはならない。この失敗のツケは、我々国民にモロに被ってくる。
<安倍政権で画策する中小企業増税>
政府税調で中小企業に対する実質増税策が検討されているという。
1.中小企業の法人所得800万円までの部分に適応されている軽減税率15%を取りやめる。
2.資本金1億円以下の中小企業も外形標準課税の対象にし、赤字の中小企業からも税金を徴収できるようにする。
3.減価償却制度の定年償却制度の定年償却方式を廃止し、設備投資後の早い時期に収める税金を重くする。
4.繰越控除制度を縮小し、今期の黒字を前期の赤字と相殺して納税を減らすことを抑制される。
5.中小企業納税者の給与所得控除を大幅に引き下げるなど、中小企業の「節税策」を封じる。
(世界8月号、山口義行論文から引用)
「七割が赤字といわれる中小企業。1,000万円以上の利益を出している企業は、そんなことをしてまでも、中小企業から税金を取りたてて大企業に「回す」必要がどこにあるのか。大企業の中にはアベノミクスの恩恵を享受して、史上最高レベルの利益を得ている企業がたくさんある。円安で大儲けした輸出型大企業、公共事業のバラマキで利益を急増させた大手建設企業。これらの企業の税負担を引き下げるために、低収益でも頑張っている中小企業から税金を取り立てる。結果として企業間格差をさらに拡大する。これが今回の税制改革なのである。」
さらに『政府税調の太田弘子座長は、中小企業に限った政策減税は「収益力が低い企業が存続し、産業の新陳代謝が限定される」と述べたという」(日本経済新聞2014年5月10日)』
この引用の中にアベノミクスの根本的な誤りがあることが分かる。安倍政権の向いている方向は、日本を支えている中小企業と、そこで働いている人に向っているのではなく、自らの支持率の維持のために中小企業という年金を潰し、売り渡すという、日本をぶっ壊すことに他ならない。中小企業増税に断固反対していく。
昨日は県外視察で静岡。