湯浅誠氏が朝日新聞第8回大沸次郎論壇賞を受賞しました。
受賞作は『反貧困-「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書2008年4月発刊)だ。
格差社会、貧困、日本の大きな社会問題になる中で、貧困に苦しむ人や、ホームレス支援運動をすすめる現場からの報告と日本の現在の貧困の質、原因、そして支援のため、自立のための社会的支援策の必要性を訴えている労作である。
湯浅氏というより、湯浅君と敢えて呼ばせてもらうが、彼のような東大出のある種エリートが徹底的に現場にこだわり、日本社会の矛盾のるつぼであるホームレスの支援運動に参加していったひとつのきっかけになったのは、平和運動の現場経験だったのかもしれない。
以前に私のブログでも少し触れたことがありますが、湯浅君と知りあったのは彼が東大在学中の1991年の第1次湾岸戦争反対運動の中です。
リキみのない自然の風体で運動の現場にたっていた湯浅君。
受賞のインタビューの中で彼は『「貧困は彼らはかわいそうだから、何とかしてあげましょう」という問題ではなくて、私たちの社会をどうしていきたいのか、という問題なのです。』と語っています。
日本に住む人々誰でもが「すべり台社会」の中ですべり台をすべり落ちる可能性をもつ仲間であることを強調しているのです。
群馬県の中でも不況により非正規、正規を問わず解雇が現実のものとなっています。ホームレスになってしまう人々も増えているかもしれない。
県は昨年ホームレス支援を求める市民団体や私の要望に対して、市町村で対応してもらいたいと冷たい対応でした。外国人労働者に対しても同様の反応です。
群馬にも大きな貧困の影が忍び寄ってきています。都会だけでの問題ではなく私たち県民全体の問題となってきているのです。
湯浅君は本の終章で強い社会をめざして反貧困のネットワークをと呼びかけています。
彼の強い社会とは人間としての弱さを自覚し共生力、共感力のある強い社会である。
日本が経済大国から転落する中で強い日本をなどと、やたらと強いを強調する風潮が一部にあるが、自らの弱さを自覚しない日本は、もろい日本と同義語であると私は考えます。
一度、湯浅君を群馬に呼んで講演会を開いてみたい。
昨日は県議会で県有地等の取得・処分に関する特別委員会。政治家の不当な口ききは、全面公開でしか抑止できない。
午後はリベラル群馬県議団会議。終了後吉井町に戻り地域まわり。
夜は神流町の若手経営者のみなさんと忘年会。