もはや、日本でのサッカーシーンは、日本代表が挑むブラジルワールドカップ・アジア最終予選の6月3連戦と、8日開幕のEURO2012に絞られている。
日本代表VSオマーンは明日だ。
そんな時に「いまごろ?」という感じで「記録ラッシュの今シーズンの欧州サッカー」をまとめておきたい。
これが今頃になったのには、多少の言い訳があり、記録というからには網羅的に正確にしておきたいという気持ちがあって、サッカー専門誌とかネットで確認しながら書きたかったためだ。
ところが、私のイメージどおりの情報は現在も見当たらず、結局、頭の中にある断片的な情報をネットとかで確認しながら書かざるを得ない羽目になっている。
今シーズンほど、ドラマ性に満ちた欧州サッカーシーンが見られたのも珍しいと思うが、そこに圧倒的なほどの記録も加わっているのでキチンと書き物に残しておくべきだ、というのが当サイトの考えなので、多少、遅すぎとわかっていても始めたい。
●何といってもリーガ・エスパニョーラ
サッカーに詳しい方なら、まずリーガ・エスパニョーラをあげるだろう。11-12シーズンのスペインリーグ、優勝のレアル・マドリーと4連覇を逃したバルセロナ、このブログでももちろんだが多くのところで語られているように、レアルとバルサ、モウリーニョとグアルディオラ、C・ロナウドとメッシ、これほど世界最高水準で対峙しながら覇を競い合った2チームは、今後もそうは出現しないだろうと思える今シーズンだ。
スポーツナビ+(プラス)サイトの中に「◎◎◎ZATS ENTERTAINMENT FOOTBALL◎◎◎」というブログがあり、2012.5.24付けで「リーガはプレステ」というタイトルの文章がある。ぜひ一度読まれるといい。
このブログによれば、この二強とそれ以外のチームの差がこれほどまで開いたのにはスペイン経済危機の影響が影を落としているという。ユニフォームの胸スポンサーもつかずに戦ったチームもあるなど、資金難から戦力補強がままならないチームが多かったようだ。
このブログで、うまいぐあいに、生まれた記録についても触れてくれていたので、拝借する。
○リーグ戦の勝ち点 レアル・マドリーが100の大台に乗せる。
リーグ戦38試合で、32勝2敗4分の勝ち点100、バルセロナは勝ち点91でシーズンを終えた。実はバルセロナは09-10シーズンに、31勝1敗6分の勝ち点99という記録を作っている。勝ち数、負け数、引き分け数を比較すると100と99の結果に至った理由がわかる。
モウリーニョは、単にバルセロナの優勝を阻止しただけでなく、勝ち点記録をも上回ったのだ。スペインでの彼の挑戦は完全に成功したといえる。
○リーグ戦のチーム得点 レアル・マドリーが121点
さきに紹介したスポーツナビ+のブログでは「これはとんでもない数字である。1試合平均GOALが3.14・・・」と評価している。チーム内の得点者を見るとC・ロナウドが46点、イグアインが22点、ベンゼマが21点、この3人で89点、見事な数字だ。取るべき人が取っている。この3人がシーズンを通して働いたということか。
バルセロナも114点を記録しているから凄いのだが、こちらはメッシが50点、次がアレクシス・サンチェスの11点なのでメッシ頼みだったことがわかる。ダビド・ビジャの離脱が大きかったと言える。
○リーグ戦の個人得点 リオネル・メッシが50得点
今シーズンのバルセロナ、リーガを落とし、さまざまな面でレアルの後塵を拝した形だがメッシだけはC・ロナウドに勝った。
リーガ最終盤まで激しいデッドヒートで点を取り合った二人、4月末時点では、あと3試合を残して共に43ゴール、リーガの行方は決したものの、二人の得点王争いは、最後どうなるかと思わせたのだが、5月に入って最初の2試合でメッシが3点、4点、計7点の固めどりをして、それこそアッという間に50ゴールの大台に乗せてしまった。
この間、C・ロナウドだってコンスタントに点を取り続けていたのだから、7点の固めどりにはあいた口がふさがらなかっただろう。昨シーズン40ゴールを記録、怪物ロナウドの名を一層高め今年も46ゴール、2年連続のハイレベルな活躍は十分にスーパースターたり得る。
メッシにとっては、リーガを取れなかった悔しさを晴らしたい一心のゴールラッシュだったのか、リーガの行方に左右されない平常心のゴールラッシュだったのか、機会が来れば語られることだろう。
このメッシの記録は欧州各国リーグの記録としても新記録になったという。付け加えておく。
●マンチェスターの2チームが最終節までもつれたプレミアリーグ
プレミアリーグといえば、毎年、4強と言われてきたマンU、アーセナル、リバプール、チェルシーのどこかが優勝を争う構図だったが、近年、戦力補強を重ねてきたマンチェスター・シティがとうとうプレミアを制した。
その分、特にリバプールの凋落が目立ち、チェルシーも欧州チャンピオンズリーグ制覇がなければ出場権を逃していた。
マンチェスター・シティの優勝は44シーズンぶりだそうだから、これだけで十分記録的な出来事だ。しかも優勝の決まり方が劇的だった。長年、後塵を拝してきたマンチェスター・Uとの優勝争いの最終節、自分たちが勝ちさえすればマンUが勝っても得失点差の勝負で大丈夫だろうという状況。
試合はロスタイムまで相手のクインズ・パーク・レンジャースにリードを許す展開。5分のロスタイムの中で同点、逆転をやってのけたのだ。まるで98-99欧州チャンピオンズリーグ決勝のマンUのようなものだ。
さきにあげた4強以外が優勝したのも17年ぶりの(もっともリバプールだけはそれ以上長く優勝から遠ざかっている)ようなので、これでも記録的だ。
●我らが香川のドルトムントの連覇も記録的
ブンデスリーガの記録は、スペインやプレミアほど歴史的とは言えないかも知れないが、我らが香川所属のドルトムントの記録だけに印象度が大きい。
yahooの検索窓に「サッカー リーグ戦勝ち点 世界記録」とキーワードを打ち込むとウィキペディアの「勝ち点」とか「リーグ戦」の説明項目の次に「ドルトムント 4発大勝でブンデス最多勝ち点記録を更新」とか「ドルトムントがリーグ戦無敗記録を伸ばす」という項目が来た。まさにyahoo Japanならではの検索かも知れない。
今シーズンのドルトムントは、リーグ戦34試合で、25勝3敗6分の勝ち点81、これは過去2回バイエルンが記録していた勝ち点79を上回るブンデスリーガ記録だという。欧州チャンピオンズリーグファイナリストのバイエルンを凌いでの記録。価値があると思うのは日本人のひいき目だろうか。
これで香川はドイツに残した足跡でも、欧州サッカー全体に残した即席でも完全に奥寺さんを追い抜いたといえる。香川以前、奥寺康彦さんはドイツ人が知る最も有名な日本人選手だったが、これで二番目になった。記録は破られるもの、歴史は塗り替えられるものとはいえ、一つの感慨を覚えざるを得ない。
これから香川真司は中田英寿の領域を超える挑戦を始めるだろう。中田英寿はセリエAでその名を轟かせプレミアに渡った。プレミアでは名を残せなかった。香川真司はブンデスでその名を轟かせプレミアに渡ろうとしている。香川の挑戦はその点でも興味深い。
●最後は欧州チャンピオンズリーグ
欧州チャンピオンズリーグでもメッシがシーズン最多得点記録、決勝トーナメントでの最多得点記録などが生まれたが、何と言っても優勝チームのラインナップにチェルシーが初めてその名を連ねたことに尽きる。
欧州チャンピオンズリーグ方式になってから20シーズン目、前身の欧州チャンピオンズカップ時代を含めてクラブとして初めて欧州を制したのは96-97シーズンのドルトムントと、92-93シーズンのマルセイユしかない。チェルシーはドルトムント以来15シーズンぶりにその仲間入りを果たした。
ワールドカップの優勝国に名を連ねるのと同じぐらい難しいのが欧州チャンピオンズリーグの優勝チームに名を連ねることだと言える。今シーズン、チェルシーはそれを果たした。決勝でPK戦の末涙を飲んだ5シーズン前の苦難を経てである。
さまざまなドラマと記録に彩られた今シーズンをしめくくるのに十分すぎるほどの幕切れだ。
こうして、文章にとどめておくことが大切だと、あらためて思った欧州サッカーの今シーズンだった。
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