「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

グアテマラ戦を見て、冬に思いをはせる?3人を思う

2013年09月07日 21時23分57秒 | サッカー日本代表

昨夜は、日本代表のグアテマラ戦が行われ、久しぶりに相手をゼロに抑えた。試合の評価などは私ができる立場でないので、やめる。

ファンとしての私のみどころは二つ。一つは本田、香川、柿谷が充実感のある終わり方ができるかどうか、もう一つは、守備陣。

守備陣の、誰と誰の組み合わせがいいとか、個々の能力がどうとか、これはもう、残された期間で頑張って欲しいと願うしかないだろう。

そんな中、攻撃の3人は、それぞれに思うところを抱えながらのゲームだったろう。

本田は例の移籍問題、それにしても変なクラブに身をおくことになったなぁと思っていたら、サッカー界とはおよそ縁のなさそうな鈴木宗夫センセイ、そう、北海道は足寄町を生涯大切にしている新党大地・代表の解説を見つけた。

おととい5日の日刊スポーツ朝刊を見たら、中ほどのページに「本田ミラン、今夏移籍破談の真相」という企画記事が載っていた。この日は(中)となっていたので、上中下の3回企画だろう。

話は脱線するが、スポーツ紙、以前なら一面トップがサッカー関連でなくても終面で扱っていれば入手していたが、ここ最近は一面トップにサッカーが来ない限り入手しないことにした。5日の日刊スポーツトップは「メッシが五輪招致でマドリードを支持」、ちょっと寂しい感じのサッカー関連だが、関連は関連だ。この記事がなけれぱ鈴木宗男センセイの記事には出会わなかった。それが、上中下の3回企画のうちの(中)というわけだ。

宗男センセイによれば、ロシアという国では「こっちの足元をみた」と思われたら絶対交渉が成り立たないとのこと、つまりミランはCSKAにそう思われるようなことをしたのだ、ということらしい。

私は、それより何より、先駆者・本田が「ここの国のリーグに移籍などするもんじゃない」と、後に続く選手たち、そして代理人たちの骨の髄まで沁みわたる教訓を残してくれたことのほうを重視している。わかりやすい言い方をすれば「ロシア? だめだこりゃ」である。

先駆者・本田圭祐が、VVVフェンロからCSKAに移籍する際、本人そして代理人がロシアのこのような交渉スタンスをどれぐらい知識として掴んだか、それが3年半後、これほど人生の足かせになることを予測できたか、これは検証に値する事案だと思う。

世界のトップチームでプレーする機会は、ごく短いしチャンスも限られている。本田圭祐は、いまキャリアのピークと言える時期にいる。その彼が、明らかな「飼い殺し」状態だ。チームの選択、代理人の選択がどれほど選手生活を左右するか、本田の事例は、サッカー界の内部事情に素人の私でも感じる教訓だ。

グアテマラ戦の彼を見ていて思うのは、エースとしてのプレーぶりがどうこうではなく、この件が影を落としているのかいないのかという1点に尽きた。

次に香川真司、彼はいま挫折期に入っている。セレッソのJ2時代にクルピの薫陶を受けて開眼して以来、上昇の一途を辿った彼のキャリアは、モイーズによってブレーキをかけられた。これもまた人生、さもありなんである。

私は、この夏の移籍市場でさっさとスペインに移籍すればよかったと思う。もし、そう動いてもマンUは引き留めなかったと思う。むろん、ファーガソンに仁義を切るというプロセスは必要だろうが、それでもファーガソンは香川の気持ちを大事にしてくれたと思う。

しかし、彼は日本人だ。彼にはそんなことはできない、考えもつかない。しかし、現実は冷酷だ。とにかく向こう半年、彼は冷や飯を食わなければならないだろう。これはトップチームの宿命だ。マンUがこの先、よほどつまずいて、モイーズが、ありとあらゆることを試さなければならない場面が来て、その時チャンスを得た香川が目の覚めるような活躍をする、そういうシナリオでも来ない限り、マンUでの香川に先はない。

したがって、彼も本田と同じ、冬の移籍市場に活路を見出すほかない状況にある。

グアテマラ戦の本田と香川、本田はすっかり自分の置かれた立場を熟知して、いわば達観しているのに対し、香川はまだ自分の立場を受け入れられないでいる。

グアテマラ戦後にセルジオ越後氏が、サッカーキングの取材に対し「(前段略)それから、香川の状態がよくないね。あれではマンチェスター・Uでベンチ外に置かれるのも納得だよ。相変わらずチームの戦術ともマッチしていないのも気になる。あるいはこれが彼の真の実力なのかもしれない。煽り報道による過度な期待とプレッシャーが、彼を潰してしまうんじゃないかと心配しているよ」とコメントをしている。

私は、因果関係が逆なのではないかと思っている。グワテマラ戦での香川がよくなかった理由は、しばらく実戦から遠ざかったからではないかと。彼はサブで力を発揮するタイプではない。試合に出続けて、自然に体が動く感覚を保ち続けてこそゴール前での、あの流れるようなプレーができる選手だ。

セルジオ氏が指摘した「煽り報道による過度な期待とプレッシャー」は、彼がドルトムントで見せた素晴らしいプレー、そして世界中の選手がそのクラブの一員になれることをめざして努力している最高峰のクラブ、マン・Uに誘われた流れを見れば、その間の報道ぶりが、煽りでも過度でも、なんでもなく、日本中の祝福と期待の表れとして当然の程度だと思う。

彼がプレッシャーに感じるところがあるとすれば、それは現在の彼の胸のうちに理解を示さず、ただ「プレーがダメなんだから、彼は期待に値する選手ではないのだ」と烙印を押されてしまい、代表などでの居場所を少しづつ失う可能性に対してではないかと思う。

このコメントを見返すには、香川が自分の居場所を早く見つけて、ドルトムント時代のような縦横無尽のプレーを取り戻すしかない。

最後は柿谷曜一朗、やはり伸び盛りの選手の未来を思うことほど楽しいことはない。得点こそなかったが、柿谷はすっかりザックジャパンの中に居場所を得たようだ。彼と本田が入った後半、攻撃が活性化して3得点という結果に結びついたことは誰の目にも明らかなのだから。この試合についてセルジオ越後氏が柿谷のことをコメントした記事は目にしていないが、さきの東アジア選手権、大会MVPは山口蛍選手だったが、セルジオ氏が「個人的には柿谷がMVP・・・」と言ったとか。

柿谷が今後、輝きを失った時「煽り報道による過度な期待とプレッシャーが、彼を潰してしまうんじゃないかと心配しているよ」などとコメントしないことを祈るばかりだ。もっとも柿谷自身は、ティーンエイジャーの頃「天才」ともてはやされたものの、その後、挫折の時期を送って、少しタフになっている。心のコントロールが、ある程度できるところまで成長しているように見える。

その彼もこの冬の移籍市場を賑わすに違いない。

そう、つまり期せずして、この3人は、この冬の移籍市場で話題になり、その後のパフォーマンスが来年のワールドカップの日本代表を大きく左右するという、重要な3人だ。

来週、今度はガーナ戦があるという。そして秋の欧州遠征、試合数は少ないが、この3人と守備陣、興味が尽きない秋になりそうだ。

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