「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

今年は野球の年でしたね。

2013年11月04日 15時57分50秒 | サッカー日本代表

昨夜、プロ野球日本シリーズで、東北楽天が巨人を破り日本一を決めた。

震災復興に立ち向かう東北の「底力」を日本全国が後押しするような構図、星野監督が成し遂げていなかった日本一を、悲願だった巨人を倒して達成できるかが懸ったシリーズ、シーズンを無敗で投げ抜いた、マー君、神の子、不思議な子、田中将大投手がチームを日本一に導けるかどうかの関心、これほどドラマ性に満ちたお膳立てというのは、スポーツ全体を見渡しても、そうあるものではない。

しかも相手は、球界の盟主と言われ、今年も圧倒的な戦力の力を見せつけてセ・リーグを制覇した巨人だ。戦前の下馬評では、どうしても田中将大一人の楽天に対し、総合力で一枚も二枚も勝る巨人有利、致し方のない下馬評である。

最終の7試合までもつれ込んだシリーズ、ドラマは、これ以上ない展開で最終章を迎え、そのドラマの完結役に星野監督は迷わずマー君をもってくる。

前日160球投げたピッチャーをまた投げさせる云々の是非もかまびすしい。けれども、まさに織田信長が本能寺の変の際につぶやいたとされる「是非もない」心境での投入であることはよくわかる。

マー君はマー君で、自分が先発した前夜の試合で決め切れなかった自分のふがいなさを胸にしまい込み、二度と同じ轍は踏むまいという強い気持ちだけでマウンドに駆け上がっただろうし、そのとおり投げ切った。

楽天の勝因、巨人の敗因、いろいろと、その道の専門家が指摘してくれるに違いない。

こうして、野球シーズンが終わるのを見て、つくづく思うのは「今年は野球の年だったねぇ」ということだ。まさに嘆慨。

野球に関しては、記録づくめの、何十年に一度の年だったと言っても過言ではない。

海の向こうでは、イチローの日米通算4000本安打、上原浩治がワールドシリーズで最後の打者を打ち取ってのチャンピオン、日本では王さんの記録を塗り替えるバレンティン選手の60本塁打、マー君の昨年からの連勝記録を伸ばしたまま24勝無敗でレギュラーシーズン終了、そして楽天・星野監督の日本一である。

これほどの記録とビッグニュースが続けば、スポーツにあまり関心がなくとも脳裏にはインプットされる。

我が「サッカー文化フォーラム」としては、当然のことながら「サッカー界には、話題も何もなかったっけ?」という気持ちになる。

いやいや、そうではない。

サッカーにも、それなりにビッグな話題があった。我が日本代表のブラジルW杯アジア予選突破、天才・柿谷曜一朗の覚醒、カズ選手の最年長ゴール記録更新etc.

でも、いかにも印象が薄い。W杯出場権は獲得したものの、コンフェデ杯でも、その後のテストマッチでも不安にさせる内容ばかり。海外クラブの選手たちもマンチェスター・Uで出場機会を激減させている香川真司、なかなかビッグクラブ移籍が実現しない本田圭祐など、むしろフラストレーションが溜まるような話題ばかりだ。

昨年、楽天と本拠地を同じくするベガルタ仙台は、あと一歩のところで優勝を逃した。今年こそはという期待もあったと思うが、もはや優勝は望めない。そうした中での楽天優勝だ。ここにも流れをつかみ損ねたサッカー界の姿を見る。

マー君が先発で負けた土曜日にはナビスコカップ決勝があった。優勝した柏に対する敬意にはいささかも陰りはないのだが、相手の良さを消すことで勝利に徹した柏の戦いぶりより、攻めて攻めきる浦和のサッカーに期待したことは確かだ。

しかし、ここ3年間必ず何かのタイトルを取り続けている柏の実績には誰も文句が言えないし、いくら攻撃的な面白いサッカーを見せてくれる浦和でも、ここ一番で勝てないシルバーコレクター的なチームになっては浦和とサッカーを愛する人たちの共感もいまいちになってしまう。

いまの浦和には、楽しい攻撃的なサッカーをして、なおかつタイトルを取りきるために足りないものが、まだまだ多すぎる。以前、10月10日のこの欄で「宿命のライバル、マドリッドVSバルセロナ」について書いた時に、Jリーグにおいて、永遠のライバルと呼ばれる関係を待望すると書き、一つは鹿島だが、もう一つにどこが台頭するかと書いた。

そのチームの条件として、カリスマの存在と、その選手がもたらしたメンタリティー「・・・イズム」の存在をあげた。実は浦和にはギド・ブッフバルトというカリスマレジェンドがいる。そして彼がもたらしたファイティングスピリットは、かけがえのない「ギドイズム」といえる。

実は今の浦和にはそれが足りない。「絶対にゴールは割らせない」というギドイズムはいつの間にか失われてしまった。これはチームフロントの問題なのだ。チームフロントが歴史を貫く一本の哲学を持って、それを継承する思想がないと、いいものもすぐ失われる。鹿島とその他のチームの違いはその1点にあると言っても過言ではない。浦和が鹿島に比肩するライバルとなろうとするなら、いますぐ、ミシャ(浦和ベドロヴィッチ監督)のサッカーを継続しつつ、ブッフバルトのスピリットを加わえる方策をとるべきだろう。

まぁ、日本代表への思いや浦和への期待をいろいろ書いたが、サッカー界、いつもいつも「我が世の春」とはいかない。浦和にはリーグタイトルの可能性があるが、正直、難しいのではないかと思っている。

来年のブラジルW杯での日本代表の戦いにも、あまり期待できなくなっているが、年を越せばわからない。潮目が変わるということがある。

どうか来年は良い年でありますよう。来年は「今年はサッカーの年ですね」と言えるようになりますよう。気の早い年越し宣言です。

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