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第910話 ステイホーム週間は本を読もう(6)

2020年04月30日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。6冊目はビジネススキルです。

「ビジネススクールで教える経営分析 (日経文庫) 」太田康広   

 研修講師という仕事柄、たくさんのビジネス書を読みます。特に、財務会計や統計学に関する本は相当読んでいます。ただし、研修の受講者は財務や統計の初学者であり、まったくと言っていいほど知識を持っていない人がほとんどです(ごく少数ですが「簿記1級を持っている」という人もいます)。必然的に「いかにわかりやすく教えるか」が最も重要な点になります。

 そのため、財務会計に関する書籍も、「入門」や「基礎」といったタイトルのものばかり読んでいます。そのせいか「同じような入門書を何十冊も読んで、何の意味があるの?」という質問をたまに受けます。私は「専門分野を深めるためではなく、知識も興味もない人に、どうやって面白く学んでもらえるのか、仕事に役立ててもらえるのかを考えるために読んでいる」と答えます。

 たしかに、財務会計や経営分析の知識付与という観点から入門書を見れば、(1)財務諸表の読み方、(2)経営分析のやり方が書いてあるだけです。つまり、どの本も同じ内容であるといって間違いはないでしょう。

 それでも毎年たくさんの入門書が出版されるのは、わかりやすく伝えることが難しいからです。わかりやすさを追求し過ぎるとくどくなってしまい、途中で読むのが辛くなります。また、たとえ話や物語仕立ても良いのですが、肝心の知識が頭に入りにくくなります。

 いちばん正しいやり方は、教えるのが上手な先生が教室で講義をするように解説をすることです。この本は、それに成功している数少ない1冊です。私も学ぶところが大いにありました。特によくできているなと思ったところは、終始ビジネス(つまり商売)の視点を貫いているところです。

 そして、これも非常に大切なポイントなのですが、EDINET(エディネット)についてきちんと言及していることは称賛に値します。EDINETとは「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、主に上場企業の財務諸表を手軽に入手できるサイトです。財務会計の入門書でEDINETに言及している本は他にもありますが、URLだけでなく「XBRLからExcelへコピペが効く」などと書いてある本は他に見かけません(もしあったら是非お知らせください)。

 本書を読むときにはEDINETで入手した財務諸表(貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書。ただし日本基準で作られたもの)をプリントして手元に置いておくとよいでしょう。

 さて、本書の具体的な内容についてはここでは触れません。とにかく読んでみてください。経理部以外で働くすべての方々、特にマネージャークラスの方々にとっては必読書であると断言できます。

ビジネススクールで教える経営分析 (日経文庫)

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