中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第900話 テレワークの生産性を高めるには

2020年04月08日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「『テレワークを始めます』」と会社からいきなり言われたのですが、まるでテレワークという大海に一人で放り出されたような気分で、今一つうまく進んでいません・・・」

これは、先月からテレワークをスタートしたある企業に勤める知り合いから聞いた言葉です。国が「緊急事態宣言」を発令したことにより、今後中小企業においてもテレワークの導入が加速することと思います。

テレワークの功罪については、このブログでも何度かふれていますが、テレワークには様々なメリットがあります。実際にテレワークが軌道に乗っている企業に勤める人からは、「テレワークなので、お客様との打合せもZoom会議です」、「会社はコールセンター業務もしていますが、PCで電話を受けているので、VPN接続すれば場所は関係ないですね」というような肯定的な声もたくさん聞いています。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、社員に丁寧な説明がないままにテレワークを導入してしまった企業も少なくないようです。いくら世の流れとは言え、具体的な説明がないままにテレワークを始めることになると、何をどのように進めたらよいのか迷ってしまう社員が出てくるのも無理らしからぬことです。

冒頭の知り合いに、いきなりテレワークが導入されてしまったことによる具体的な問題点を尋ねたところ、「いろいろありますが、一番困っているのは思うように仕事が進まない」ということでした。

テレワークは自分のペースで進められるというメリットがあるのですが、一方で仕事の生産性が下がってしまっているのか、なかなか予定通りに仕事が進まないとのことです。

確かに自宅などで一人で仕事をすることは、他者から邪魔をされることがないという良さがある反面、いかようにでも自分のペースで仕事ができてしまうので、つい緩んでしまうことがありえます。

その結果、会社で仕事をするよりも余計な時間がかかってしまったり、ON・OFFの切り替えが難しくなったりと、トータルで考えると仕事の生産性が低くなってしまうということがあるようです。

それでは、「生産性が上がるテレワーク」にするのはどうすればよいのでしょうか。

もちろんいろいろな取り組み方があるとは思いますが、まずはメリハリをつけるために次のようなことから始めてみてはいかがでしょうか。

・始業と就業、休憩時間を会社にいるときと同様にする。

・1日の時間割を決めて、各々の作業の納期を見える化する。

・Zoomなどを使って、定期的に職場の人との接点を持つ。

・終業時には日報等で業務報告を行う。

・(予定通りに仕事が終わらなかったとしても)残業を禁止する。

・在宅であっても服装を出勤時と同様にして、オフィシャルの雰囲気を作る。

また、緊急事態宣言がでている現在は難しいかもしれませんが、テレワークの日数をはじめから限定して行うというのも一つの方法です。たとえば週に2日くらいは出勤し、残りをテレワークにするなどです。こうすると、それぞれにメリハリをつけることができ、いたずらに生産性が下がることを防げるはずです。

緊急事態宣言が出ているこれからの1か月間、テレワークでの生産性をどれくらい上げられるのか、この点は今だけでなく将来をも見据えた企業活動のあり方にも大きな影響がありそうです。

期せずして前倒しで一斉に始まったテレワークですが、各企業、そして社員一人一人が考えなくてはならない課題になっています。

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第899話 テレワークで実現する「情報共有のリアル」

2020年04月05日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「テレワークを導入すると情報共有が後退する」とお考えの経営者、管理職の方は多いと思います。もともとコミュニケーションとは言葉のやり取りだけではなく、表情や態度、その場の雰囲気(あるいは”空気”)にも影響されるからです。

ずいぶんと昔のことなのですが、ある日私の職場にクレームの連絡が入りました。それはお得意先からで「今日が搬入日のはずなのに、いつまで経っても製品が届かない!」というお叱りの電話でした。

いつもは営業担当者か業務担当者が電話を受けるのですが、その時は2人とも不在で、たまたま電話を取ったのが部長だったのです。

翌朝、部長は部員全員を集めて「情報共有ができていない!」と雷を落としました。

では、テレワークに移行するとこうした「情報共有の失敗」はますます増えるのでしょうか?

答えはNoです。

社員が物理的に集まる職場では、忙しいとつい「うっかり」伝えるのを忘れてしまうことがあります。他にも「多分○○君がやってくれているだろう」とか「いつもと同じ内容だから課長に伝えなくて良いだろう」といったいわゆる「だろう現象」も起こりがちです。

一方、テレワークになるとコミュニケーションはほぼ文章に限られます。

ZoomやMicrosoft Teams といった、簡単にオンライン・ミーティングを実現できるソフトがあります。1対1はもちろん、多人数であってもFace to Faceの会議のような臨場感を味わえます。

しかし、テレワークでのコミュニケーションは結局「文章が99%」なのです。

だからこそ「うっかり」と「だろう」が生じにくいのです。もちろんゼロになることはありませんが、仮に1度でもコミュニケーション・ミスが生じた場合、それ自体が文字の記録となって残るため、再発する可能性は低くなります。

「文章として記録に残る」ことは、情報にリアリティを与えるのです。

テレワークの初期の段階では、情報共有は上手く行かないことでしょう。それは仕方のないことです。むしろ「上手く行かなかったこと」が明確になり、それを文章にして記録・共有できることは大きな利点です。

経営者、管理職の皆さん、顔を突き合わせてのミーティングに比べてテレワークでの情報共有には限界があるとお考えのことでしょう。

そんな時は思い切って「情報共有は文章が基本!」と社員全員に明言してみてください。そして、オンライン会議やビデオ通話は「文章による情報共有を補助するツール」と割り切って使ってください。

しばらく運用しているうちに、思ったよりも情報共有ができていることに驚くはずです。

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第898話 腕組みをする理由

2020年04月01日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

新年度になり、多くの企業で新入社員を迎えていることと思います。今年は新型コロナウイルスの影響によって、例年とは異なる対応をしているところも多いことでしょう。

入社式やそれに続く新入社員研修に関しては、企業規模によって対応がだいぶ異なるようです。通常は規模が大きくなるほど採用人数も多くなりますから、中止や延期にしたり研修期間を短くしたり、さらにはネットを通じて受講してもらうような方法に変更しているという話を見聞きしています。

集合研修については、受講者が一堂に会することによるプラスの影響力が働くことでの相乗効果が生まれるという大きなメリットがありますが、現在の状況を考えれば実施できないのは致しかたないことでしょう。

さて、遅かれ早かれ配属される新入社員ですので、受け入れる部署では新入社員を丁寧に大切に育てていただきたいと思いますが、指導等の準備は万全でしょうか。指導を始めてみると、いろいろ想定外のこともあるかと思います。

これに関して、最近気になっていることの一つに「腕組み」があります。                                        近年、年齢に関係なく、打合せの際や研修の受講者で腕組みをする人が増えているように感じています。敵対的な関係にあったり、交渉が必要になったりするような場面ではなくても、打合せの始めから腕組みをされるのです。

腕組みは、文字通り両腕を胸のあたりで組み合わせることです。これは非言語コミュニケーション(言語以外の表情や態度、口調や声の大きさなどのこと)の一つであり、物事を考えたりするときにとるポーズでもあります。

また、人によっては自信を示すために敢えて腕組みをすることもあるようです。一例として、スポーツの選手がチーム全体で試合前に写真を撮る際に、力を鼓舞するために腕組みのポーズをしているときがあります。

さらに、別の意味合いとして相手を拒絶したり相手の意見と異なったりしたときに、自分を守るという心理から腕組みをするときもあります。それゆえ、腕組みを「ゴリラポーズ」と表現する人もいるのです。

一方で、これらの意味合いとは別にただ単に腕組みが癖になってしまっていて無意識にやってしまう、という人もいるようです。

コミュニケーションにおいては、言語だけでなく非言語も大切な要素ですが、状況によっては言語よりも非言語のほうが大きく影響することがあります。仮に、言語と非言語が一致していない場合には、非言語の影響力の方が大きくなることがあります。

たとえば、上司や先輩社員に「ありがとうございます」という際に、頭を下げて「ありがとうございます」と言うのと、腕組みをして「ありがとうございます」と言うのでは、受け手の印象は全く異なってくるわけです。

最大の感謝の気持ちを込めて伝えたとしても、態度によっては誤解をされてしまうこともあるということです。

例年であれば、新入社員研修では非言語の重要性について時間をとってお話するのですが、今年はそれが実施できないわけです。そのため職場で新入社員がそのような態度をとった際には上司や先輩はぜひ、その場で適切に指導をしていただくようにお願いいたします。

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