「このセミナーでは、グループディスカッションを行いますか?」
これはセミナーの受講を検討している方から、主催者が受けることが多い質問の一つです。
また、2時間のセミナーなどで聴講型をイメージして会場に訪れた受講者が、机の配置がスクール形式ではなく島(グループ)型になっているのを見て、「グループディスカッションをやるんだ」と帰ってしまう人もいるという話を過去に何度も聞いたことがあります。
公開型のセミナーであっても企業内の研修であっても、グループディスカッションの難しさは、研修終了後のアンケートの感想に記入されていることが多いことからも伺われます。
こうしたことから、グループディスカッションをより良い形で進めていただくために、研修テーマにかかわらず事前にディスカッションの進め方を詳しく説明したり、実際に少しの時間練習をしてみたり、また、演習ごとに司会者を交代して行ったりといろいろ工夫をしています。しかし、それにもかかわらず実際のところ、受講者にとってグループディスカッションは決して簡単なものではないようです。
先日のことですが3日間の研修終了後に、1人の受講者が次のような感想を話してくれました。
「講義は非常に興味深く、とてもためになりました。でも、グループディスカッションは最後まで好きになれなかったです。講師がディスカッションの進め方を丁寧に説明してくれたのは良かったのですが、実際はその通りにはディスカッションは進まなかったのです。
残念ながら、私が所属したグループには『私が、私が』と強く発言する人がいて、その人を中心に話が進みました。私の意見はその人とは異なることが多かったので、その人の考えを否定するということでなく、何度か私自身の考えやその理由を一所懸命に発言したのですが、採用されることはあまりなかったのです。ディスカッションの流れが声の大きい人、たくさん発言する人に流れていったような気がしました。
途中からは、『私が発言しても結局またその人の発言によって消されてしまうのだろうな』と思ってしまい、発言すること自体を諦めてしまいました。もちろん、全てその人の責任にするつもりはないのですが・・・」
この話を聞いて、改めて研修やセミナーならではのグループディスカッションの難しさを感じました。
グループの議論が成熟したものになるかそうではないかには、グループを構成するメンバーの個性が影響してしまうということです。核となる人が良い意味でリーダーシップを発揮できると生産性の高い議論になるのでしょうが、残念ながら必ずしもそうなるとは限らないのです。
仕事であるプロジェクトを進めていくような場面では、最終的にリーダーがその権限により意思決定をすることもできますが、研修で行うような正解がどこにあるのかすぐにはわからない場面で、時間内にグループの結論を導き出すことは簡単なようでいて、非常に難しいと思うのです。
実は私自身、複数回行われているあるセミナーに受講者として参加しているなかで、先日上記のような場面に出くわし、グループディスカッションの難しさを感じたのです。
いつもとは異なる立場に立ってみて、初めてわかることがあることを改めて痛感しました。
それにしても、グループディスカッションは難しい!・・・研修を行う側からも、受ける側からも永遠の課題だと感じています。