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第1,087話  STEAM教育というインパクトに備えよう

2022年01月09日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

STEAMとはScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)のそれぞれの頭文字を取った言葉です。STEAM教育の目的は将来社会で活躍できる人材を育てることです。一例として、2020年小学校でのプログラミング教育が必修化されたように、文部科学省が積極的に推進している政策です。

STEAM教育の特徴のひとつに文理融合があります。これは「文系・理系」という分類ではなく、領域横断的な知識と発想を学生に身に付けさせる教育方針です。すでに九州大学、滋賀大学、新潟大学などで新しい学部・学科が作られています。早稲田大学政治経済学部の入試で数学が必須になったのもその一端かもしれません。「・・・だから何?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

「STEAM?うちは営業で成り立っている会社だから関係ないよ」ある企業の営業担当役員の言葉です。この企業は食品メーカーから商品を購入し小売店に販売をする卸売業です。主な業務は、顧客からの注文を受けて出荷指示を出し請求書を発行して売掛金を回収する、という流れになっています。

営業担当役員が言うように「うちの仕事はこまめに小売店の経営者のところに行って信頼関係を築くことだ」という認識がほとんどの役員、管理職に浸透しています。もちろん、それは間違っていません。しかし、一人の営業部長が次のように言っていました。「この数年でかなり顧客の考え方が変わってきた。今までのように”顔と顔”でする営業ができなくなってきた。」

「顔と顔」というのは直接対面してコミュニケーションをとるやり方を指しています。確かに何回も顔を合わせていれば、気持ちも通じ合い商談も進めやすくなります。ところがコロナ禍で営業のスタイルを変えざるを得なくなったこと、そして顧客である小売店側の意識が変わったことが大きな変化をもたらしました。ひとつの例として、ある大口の顧客企業の窓口(担当者)が交代したことを話してくれました。

「長い付き合いだったAさん(窓口)が急に代わったんだ。新しい担当者はまだ20代だよ」、「前の担当者のように融通が利かない上、業務に関する知識も少ない。話をしようにも共通の話題が無い」と少しぼやき気味です。とはいえ、仕事に支障はなく売上も特に落ちることはなかったとのことです。よく話を聞いてみると、どうやら顧客である小売店が積極的にデータ分析を行い、需要予測に基づいた発注を行うようになったことがその理由のようです。

STEAMで人材そのものがまるっきり変わってしまうというわけではありませんが、この企業のようにデータ分析や論理的な思考ができる若手社員が徐々に増えていくことは間違いありません。企業としてもこれから先、社会に出てくるSTEAM人材を受け入れ、活用できる環境を整えておく必要があります。

今から子供と一緒になってSTEAMを学ぶ必要はもちろんありませんが、STEAM教育によってどのような人材が育てられるのかについては十分理解しておくべきです。企業としてはこうした点を念頭に置いて「あるべき人材像」を考えなければなりません。経営者は今すぐに採用と人材育成に関して、何らかの対策を打つように人事部門に指示しておくことをお勧めします。

あなたの会社が20年後も存在しているとしたら、社員の大半はSTEAM教育を受けてきているのですから。

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