中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第893話 不安が感染しても、入社式は大事

2020年03月15日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

新型コロナウイルス騒動(あえて”騒動”としておきます)のため、4月の入社式や新入社員に対する集合研修を中止する企業が増えています。すでに当社のクライアントも、ほとんどが中止を決めています。

とりわけトヨタ自動車やJR東海が入社式の中止を決定したことは、多くの企業に影響を与えました。

「トヨタが中止したのだから、当然うちも中止だ」という話を聞きました。ウイルス自体よりも「ウイルスによる不安」の感染力は強いようです。

こうした不安は、日本中の会社の入社式とそれに続く新入社員研修の中止というかたちで「感染」しています。

私は、入社式と研修を集合形式で実施しないことで、新入社員のモチベーション低下することを懸念しています。

入社式および新入社員研修はわずか2~3日、いや、たとえ1日であっても、とても重要な意味を持ちます。学生時代のようにお金を払ってサービスを受ける「お客様」から、労力を提供してお金を得る立場に変わるという、とても大きな人生の転換点なのです。

ですから「入社式」は大事な「儀式」です。以下は「儀式は何の役に立つか※」という本からの引用ですが・・・

情報を共有することと、人々が共通の知識をもつことはまったく別のことである。「人々がある事実を知る」だけでは、不十分であり、「『人々がその事実を知っている 』ということを皆が知っている」ことが重要なのだ。

入社式を行わず「こういう人たちが入社しました」という情報を文書やネットで社員に知らせても、会社にとって大切な「共通の知識」になるとは限らないというのです。

ちょっとややこしいですが、入社式によって新入社員が「自分は新入社員である」という自覚を持つこと、そして、経営者以下全社員がその様子を目の当たりにすることによってはじめて「共通の知識」が生まれるというわけです。

もちろん、入社式を実施しなかった年の社員が、他の年の社員よりも劣るかどうかはわかりませんし、実証もできません。

とはいえ、「入社式から新入社員の集合研修」はあたかも漢方薬のように、長い時間をかけて企業文化を形作っていきます。もし今年をきっかけに、これから先もずっと入社式をしなくなれば、おそらく徐々に何らかのマイナスの影響が企業文化に現れてくることでしょう。

ぜひ、社内のネット環境を使ってでも社員全員がリアルタイムで参加する(なんらかの形で同時刻に関わりを持つ)入社式を実施してみてください。

 

※「儀式は何の役に立つか―ゲーム理論のレッスン 」(マイケル・S‐Y. チウェ  (著) 安田 雪 (翻訳)、新曜社、2003年)

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

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