「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
若手社員の入社後3年時点での離職率は、大卒が約3割、高卒で約4割と言われているなど、早期退職の問題が顕在化するようになって久しいです。
しかし、この数字も企業規模によって大きく異なり、1,000人以上の企業が24.%であるのに対して、99人以下の企業では約40%、5人未満では約60%となっています。
このように、中小企業では大企業に比べ若手社員の定着率が低いことがわかります。定着率の違いには給料、福利厚生、雇用の保証など様々な理由が考えられますが、それ以外にも同期がいない、また、同じ職場に同年代の人がいないということがあるようです。
先日も、弊社が毎年新入社員研修を担当させていただいているある企業の人事担当者から、「昨年の新入社員研修に出ていた○○を覚えていますか?実はこの間、とうとう辞めてしまったのです。この数か月表情が曇っていたので気にはなっていたのですが」という話を聞きました。
退職した理由を伺うと、「話ができる人がいないのがつらかったようです。久しぶりに採用した新人だったため、同じ職場で一番年が近い先輩であっても、10歳以上年が離れていたんです。昼食時も1人でぽつんと食べていて、食べ終わったらずっとスマホをいじっていました。」とのことでした。
大企業のように同期入社がたくさんいれば、たとえ職場に年の近い人がいなくても、昼休みやアフターファイブに仕事の悩みなどを仲間内で共有することもできますが、中小企業であると同期が全くいないということも珍しくありません。そうなると気持ちのはけ口がなく、孤独感を持ってしまうのかもしれません。
では、そのような場合はどうすればいいのでしょうか?
対応策は様々ありますが、まずは若手社員の話を定期的に聴く場を設定することが効果的です。
このような話をすると、「飲みにつれていけばいいのですね?」と質問される管理者がいますが、そういうことではありません。飲み会のようなアフターファイブの場も補足としてはもちろん有効なのですが、まずは仕事時間中の公式な場で話を定期的に聞くことが大事なのです。
そして、その際には上司の側が話をするのではなく、少なくとも半分以上は若手社員に話をさせるように心がけることがポイントです。
そのためには、上司は上手に相手の話を聴くための訓練を事前に受けることもよいでしょう。
もちろん上司は同期とは違いますから、悩みがあったとしてもすぐに気安く本音で話をしてくれるとは限りませんが、継続的に話を聴く場面を設けることで、徐々に信頼関係を築くことができ、やがては本音で話してくれるようになるはずです。
もし、「なかなか本音で話してもらえない」というのであれば、そんな時こそ上司の本気度が試されていると思って、ぜひ腰を据えて話を聴くことを続けてみてください。
上司が若手社員に対して本気で対応すれば、いずれその気持ちは必ず伝わるでしょうし、多少時間はかかったとしても、少しずつだったとしても必ず話をしてくれるようになっていきます。
若手社員の離職対策だけでなく、一日でも早く一人前に育ってもらうためにも、ぜひ行ってみることをお勧めします。