「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「実は、私はこの会社を一度辞めたんです。ですから二度目の入社なんです」
これは先日、弊社が担当させていただいた管理職研修の際に、受講者の一人であるAさんから聞いた言葉です。この研修では、管理職として部下指導に関するディスカッションをしていただいたのです。その中でAさんは「うちの会社は1回目の入社の頃は管理職はこのように対応していた。そして、2回目に入社したときは1回目の頃とはこの点がこのように変化していた・・・」といった感じで、一度目と二度目の入社後の会社の状況の違いを語ってくれました。
さて、最近ではAさんの例のように一度退職した社員を再雇用する企業が増加傾向にあるようです。2018年のエン・ジャパンの調査によると、退職した社員を再雇用したことがある企業の割合は72%であり、2016年の調査時の67%から上昇しているとのことです。
たしかに、私も冒頭のAさん以外にも一度退職した会社に再度入社したという知り合いが数人います。
彼らに再入社したきっかけを尋ねたところ、「他にやりたいことがあって一度退職をしたが、離れてみてこの会社の良さを再認識した。ちょうどそのタイミングで採用の募集をしていることを同期の友人が教えてくれたので、試験に応募した」、また「同業他社に転職したが、戻りたくなった」、さらに、「たまたま飲み屋で転職前の会社の人事部の人に会い、戻ってこいと声をかけられたことをきっかけに戻った」などがあるようです。
このように、様々なきっかけで一度退職した企業に再び入社したとのことですが、それでは企業の側から考えると、一度退職した社員を再び受け入れる理由はどのようなものなのでしょうか。
前述のエン・ジャパンの調査によると、「即戦力を求めていた」、「人となりが分かっているため安心」、「本人に強い復帰の意思があった」、「中途採用が難しい」、「採用・教育コストを抑えたかった」と続いています。
実際に、一度退職した会社に再入社したことのある知り合いに感想を尋ねたところ、「戻って良かった。一度外の空気を吸ったからこそ、この会社の良さが分かった。再入社させてくれたのだからもう辞めることはない。今度こそ会社に貢献をしたい」と前向きに話してくれました。
コロナ禍で少々事情が変わりましたが、「人材を採用することが難しい」と言われるようになって久しいです。そういう中で、会社の事情に精通していて、実務能力を持ち合わせている人に再入社してもらうというのは、企業側にとっても大きなメリットがあるわけです。
このように採用する側、される側双方にメリットがあるのですから、今後再雇用?入社?はますます増えていくだろうと推測できます。
こうしたことから、再入社する本人のみならず受け入れる社員のやる気にもつながるように、しっかりした再雇用?入社?の制度を整えておくことが求められます。その有無が他社との競争のみならず、今後の企業の成長をも左右する大きな要素になるのではないかと思います。
さて、あなたの会社・企業では再雇用?入社?のしっかりした制度はありますか?まだでしたら、ぜひ早急に整備を検討することをお勧めします。