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パオと高床
あこがれの移動と定住
ウィリアム・モリス展
2007-12-09 18:35:05
|
雑感
「世界の三大美書」の一つと言われる「チョーサア著作集」を含む66冊の展示会だ。
モリスの装丁の技術、美意識も簡潔に解説してあり、なかなか楽しいものだった。
文字の意匠、配置の妙、紙へのこだわり、空白の使い方、一冊の書物はそれ自体が
作品であった。
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円城塔「Your Heads Only」(SFマガジン2007年11月号)
2007-12-09 12:03:00
|
国内・小説
またまた、円城塔。SFマガジン11月号の100枚ほどの作品だ。恋愛小説?恋愛小説考察小説?恋愛小説解体小説?
文学界の作品より過激、というより実験的かな。最初は入れなくて、枚数も少ない小説なのでスカかなと思ったのだが、途中から乗った。そして最後の2007の章ではその書き出しに笑ってしまった。最後のと書いたが、読み方の処方が最初にあり、断章が構成されているので、一応の最後のといった方がいいかも。
九つの断章が三つのグループに分けられる。「あなた」に語りかける作品自体の独白のようなグループ、仮に?と置く。それと、「僕」と「彼女」の恋愛小説(?)のグループ?。あとは非人称の時代を語るかのような時事的グループ?。おおざっぱに分けるとこんなところか。唐突だが、ちょっと、カルヴィーノを連想した。
この?がまず、やっかいで、小説と読者と作者の関係をめぐる論議をパロディー化しているというか推し進めている感じで、かつて語られた「作者の死」を、それ自体作品が語り出すといった物語=解体された物語にしている。そこで今回使われているのはチューリング・マシン。検索してみたが、計算模型のことで、便利な『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、チューリングの仮想機械は、
「1 無限に長いテープ 2 その中に格納された情報を読み書きするヘッド 3 機械の内部状態を記憶するメモリで構成され、内部状態とヘッドから読み出した情報の組み合わせに応じて、次の動作を実行する。」と書かれていて、この機械が小説を読み出しているような印象を与える。このテープが恋愛小説の部分では何だか遺伝子のモデルに似た印象も与えるのだ。小説の題名の「Head」は、この読み出し機のことだろう。作中で「ヘッド」とルビがあった。
で、この機械のテープとヘッドを「あなた」と「私」に置き換えて語るところが個人的には面白かった。従来の主体の中に現象があるという考えを「あなた」の中にある現象へと中心をずらせた考えが記述されているように受け取って、面白かったのだ。
2008年初頭に小説集が刊行予定。その前にこの人の単行本を読むか。
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