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サクラソウ自生地の野焼き さいたま市

2014年01月15日 17時35分18秒 | 盆栽・桜・花・木・緑・動物



さいたま市南西部荒川左岸沿いの田島ヶ原のサクラソウ自生地には、季節に花が咲くとほとんど毎年出かけている。ざっと4haに約100万株あるという。

これに先立ち厳冬期に、一面に伸びたアシやオギを焼き、肥料にして発芽を促す野焼きが毎年行われるのは、知ってはいたもののこれまで見たことがなかった。

世界的に厳しい冬になった14年1月15日、野焼きがあるというので、出かけてみた。

今年一番の冷え込みで雪が舞うとの予報もあったので、朝9時過ぎ念のため「さいたまコールセンター」に電話してみると、「予定通り朝9時から始まってますよ」。

このコールセンターは、毎日朝8時から夜9時まで開いているので、イベントなどの問い合わせに便利。出色の市民サービスだ。これまで何度かお世話になった。

堤の上で遠くから眺めたらさぞ良かろうと、自転車で堤を登り、目的地付近を見下ろしてみても煙らしきものは見えない。

あわてて降りて、「サクラソウ自生地」の石塔の立つ中心部に着いた時は、辺りはすでに黒焦げの地面が残っているだけだった。

通りかかった関係者に聞くと、「もっと川よりでまだやっています」とのことで、自転車を進めると、ちょうど火が燃え上がろうとしていた。(写真)

聞くと、一度に火をつけると危ないので、いくつかのブロックに分けて、小型のガスバーナーで点火する。乾ききっているので、小さなブロックのアシはすぐに燃え尽きてしまう。

2m余にのびたアシが盛んに燃えると、放射熱が冷え切った体を温めてくれるのが快い。

サクラソウを守る会」の人たちのほかに、今ではさいたま市の冬の風物詩の一つになっているこの野焼きを、カメラに収めようとする風流人が取り囲む。

たまたま近くのスポーツセンターから先生に引率された園児たちが、バスで見物に来ていたので、格好の被写体になっていた。

サクラソウは種子ではなく、根茎の状態で地下で生き延びているので、地上の火にもめげず、春になると忘れずに可憐な花を咲かせる。

染井吉野の満開期と重なると、素晴らしい光景だ。「桜草公園」と名づけられたこの地では「さくら草まつり」が開かれる。さいたま市桜区は桜の花ではなく、このサクラソウにちなんで命名された。

野生ではなく、大切に守り育てたサクラソウの品評会が市役所の構内などで開かれるのも見逃せない。

この地が、国の「特別天然記念物」に指定されているのもうなずける。サクラソウは埼玉県の花、さいたま市の花でもある。

ちなみに2000年10月、宇宙飛行士若田光一さんとともに宇宙を飛んで話題になったサクラソウの種子は、荒川のちょっと上流のさいたま市西区二ツ宮の「錦乃原自生地」のもので、ここのものではない。

「錦乃原宇宙桜草」と名づけられて育てられている。



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