ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

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鉄道博物館 さいたま市大宮区

2014年06月04日 13時25分45秒 | 博物館



ファンには「てっぱく(鉄博)」の愛称で親しまれている大宮の鉄道博物館の人気がうなぎ上りだ。

JR東日本鉄道文化財団が設立・運営する歴史博物館である。07年10月14日の「鉄道の日」に開館、入館者は、18年5月26日に1000万人に達した。

観光資源に乏しい埼玉県では指折りの訪問者数で、上田清司県知事も県広報紙「彩の国だより」15年4月号の「コラム」で、「年間100万人の来館者は企業博物館で全国一」と書いている。

前身は、東京・万世橋近くにあった「交通博物館」。その前は東京駅にあったらしい。

子どもの頃から、はやりの「鉄子」ならぬ「鉄男(夫)」だった。勤務先にも近く、狭い博物館ながら、何度も通った覚えがある。

「てっぱく」にも開館直後から来た。歩いて北側5分の距離にある、今は「大宮大成鉄道村」と改名したスーパー銭湯にも出かけた。

「てっぱく」は、旅客車両の整備・修繕に当たるJR大宮工場(現・東日本大宮総合車両センター)の北側にあった廃車両解体場の敷地の跡地にできた。

ちなみに、駅南側の日本三大操車場の一つといわれた旧大宮貨物操車場の跡には、「さいたま新都心」ができている。

素晴らしいのは立地だ。博物館と言えば、古くてカビくさいイメージが強い。

ところが「てっぱく」は、車両センターの車両工場に隣接していて、引込み線が接続されているので、自由に行き来できる。

屋上の「パノラマデッキ」に上がれば、片側には本物の新幹線とニューシャトル(ゴムタイヤ式の埼玉新都市交通)、もう一方には京浜東北線や高崎線など在来線が走っているのが見える。

このニューシャトルで、始発の大宮から最初の駅が鉄道博物館駅である。

内部の見物に飽きた子どもたちが「あっつ、ハヤテだ」などと歓声を挙げている。子どもたちに最も人気があるのはこのパノラマデッキかもしれない。(写真)

3階の「ビューデッキ」で持ち込み弁当を開いていると、ガラス張りの向こうを新幹線が走り抜けていく。JRの脈動を実感できる博物館なのである。

館内では、日本初の蒸気機関車運転シミュレーターがあり、1115両と日本で最も多く造られ、最も人気のあった「DC51(でこいち)」の揺れや、シャベルで石炭(模造)をくべる作業さえ実感できる。この館の目玉の一つである。

25mプールに匹敵する広さと線路延長1400mの日本最大級の鉄道ジオラマ(立体模型)もあり、鉄道の一日を再現する。そのストーリーが面白い。

屋外には、ミニ運転列車もあって、子どもたちに大変な人気だ。

お召し列車や寝台車、特急列車など旧国鉄車両の実物もずらりと展示されている。1872年新橋-横浜間を走った「1号機関車」など、旧国鉄ファンの老人には懐かしい限りである。

1964年の東海道新幹線でデビュー、「団子っ鼻」の愛称で親しまれた「0系新幹線」も、もちろんある。30周年で、200系の運転室も初公開された。

17年7月、鉄道ジオラマを刷新、2階にあったセルフサービスのレストランは、1950~60年代の寝台特急の食堂車をイメージした「トレイン・レストラン」に改装、鉄道に関連する小説やl漫画、映画のほか、各地の駅弁を紹介する「鉄道文化ギャラリー」も出来ている。18年3月9日、国の文化審議会は、開館時から鉄博の車両ステーションに保存・展示されている大正期製造の「ED40形式10号電気機関車」を重要文化財に指定するよう答申した。鉄博の重文は、皇族用の「1号御料車」などこれで5件目となる。ED40形式は、旧鉄道省大宮工場(現JR東日本大宮総合車両センター)で製造され、造られた14両のうち現存しているのはこれだけ。

18年7月5日には、新館が完成、本館と合わせて総展示面積は約1.3倍の1万3500平方mになった。新館の展示ゾーンは「仕事」「歴史」「未来」の三つに分かれ、仕事は、乗務員や指令、メンテナンスなどの仕事を体験できるよう運転士や車掌用のシミュレーターを導入、歴史では明治時代以降の新橋、東京駅などの改札が再現された。未来ではアニメーションで未来の鉄道を疑似体験できる。

新館入口には、最高時速320kmで営業運転する東北新幹線などに使われている「E5系」の実物大模型と実際に山形新幹線で活躍した初代ミニ新幹線「400系」の車体を展示している。

新館オープンに合わせ、本館にも新たに専用の3Dグラスを付けて見る「てっぱくシアター」が設けられるなどリューアルされた。

 

 

 

 

 

 



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