11年の11月14日の県民の日(10年)。県立こども動物自然公園も入場無料で、東武東上線も県内なら460円で乗り放題というから、「県庁オープンデー」を見た後、高坂駅からバスで訪ねた。
名物のカピバラの温泉入浴と最近蓼科の水族館から来たフンボルトペンギンを見るためである。入浴は残念ながら11月19日からで、ちょっと早過ぎた。
日本の動物園や水族館で、フンボルトペンギンは珍しいものではない。フンボルトとはチリ沿海を流れている寒流にちなんだもので、私も大好きなアンチョビー(カタクチイワシ)を食べている。
驚いたのは、西門に近いペンギンヒルズ(フンボルトペンギン生態圏)を訪ねた時だった。展示エリアとしては「世界最大規模」で、繁殖地を再現した巣穴などの生息フィールドは、生息空間に入って間近に観察できる「日本初の展示手法」を誇っている。
この生態園は、姿や泳ぎを見せるだけではなく、絶滅危惧種であるフンボルトペンギンの繁殖と保存も目的としている。ペンギンが自分で巣穴を掘れる土の丘(営巣地)として高さ4.8mの築山が、ペンギンの泳ぐ水槽に接してできている。プールと合わせてその面積が約3900平方m。サッカー場の半分で、それが世界最大規模だというのだ。
日本はペンギン王国で、12年末で世界最多の約3500頭を約150施設で飼育している。
11年4月26日にオープンしたばかりながら、このペンギンヒルズは57件の応募の中から、第10回目の「エンリッチメント大賞2011(施設賞)」を受けた。
「エンリッチメント」とは、聞き慣れない専門言葉。「動物の環境を豊かにする」という意味のようで、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための具体的な方策を指す。
「動物園を通じて人間と動物の関係を考える」をモットーにするNPO法人「市民Z00ネットワーク」が創設したもので、ペンギンが生息するチリやペルーの生息環境に近づけ、伸び伸びと暮らせるように工夫したのが評価された。
このこども動物自然公園が大賞を受けたのは、06年の「ズーオリエンテーリング(来園者部門賞)」、08年の「コアラ、コアリクイ、ナマケモノの展示(動物園賞)」についで3回目である。
3回以上受賞したのは有名な旭川動物園(5回)、円山動物園(札幌)(3回)、上野動物園(3回)だけ。
円山、上野といった日本有数の動物園に並んで、「象もアフリカの猛獣もいない」こども向けの動物園がほぼ同数受賞していることは、動物園好きとしてはうれしい限りだった。一度園長さんにお目にかかりたいものだ。
私が気に入ったのは、東京ドーム約10個分46haの動物園の広さである。比企丘陵とはかつてこんなものだったのかと思わせる雑木林の中にある。国木田独歩も「武蔵野」の稿を改めたろうと思うほどだ。
こども動物自然公園は1980年5月に開園。95年には入園者数が1千万人を達成、04年1月には2千万人を突破した。
18年12月現在では、大人気のコアラ10頭をはじめ、レッサーパンダ、ワラビーなども加わり、癒し系のカピパラが入浴する「カピパラ温泉」は冬の風物詩になっている。
世界最小のシカで、国内ではここにだけいるプーズーなど、開園時26種206点の動物は200種2000点になった。種類の豊富さは「国内5指に入る」と田中理恵子園長は語っている(この項毎日新聞)。
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