「万華鏡」と書いてなんと読むのかも知らなかった。「まんかきょう」いや「ばんかきょう」、いや、ちょっとひねれば「まんげきょう」と読める。
子供の頃、空襲の最中の大阪や、満州の大連、鹿児島の片田舎にいたものだから、この歳になるまでのぞいたことがなかった。
新しい武蔵浦和図書館の郷土資料のコーナーを見ていると、文庫サイズで装丁もしゃれた「日本万華鏡博物館」(大熊進一著 幹書房)が目に入った。表裏の表紙を見るだけで、万華鏡をのぞいたイメージがつかめる。
さっそく借り出して読んでみると、なかなか面白い。著者は館長さん。「世界で唯一」と名乗る万華鏡博物館が、川口の駅近くにできたらしい。
左右対称の幾何学模様と色が織り成す不可思議な世界である。それが千変万化(せんぺんばんか)するのだから、ハマったら引きずりこまれることだろう。
早速13年2月中旬の祝日に、博物館を訪ねた。博物館は好きなので大小いろいろなのを訪ねた。これほど小さいのは、昔(今でもあるだろうか)、東京都墨田区で各種のミニ博物館を訪ねて以来だ。
説明によると、万華鏡は小さいので2千点並んでいるという。1990年、ハワイで初めてオモチャではなく芸術的な作品を見てから虜になった、日本一の万華鏡コレクターなのだ。
「世界一小さい」というだけあって、部屋は縦横3×5m、博物館というより書斎、研究所といった感じ。1回の人数は5~6人、詰めれば10人入れる。
館長さんが英語が堪能なので、米、英、加、独、中、韓 台から来る人もいる。夏休み期間は自由研究の万華鏡造りでキャンセル待ちも出るという。
館長自ら、万華鏡の歴史や構造を説明する仕組みで、入場料(いや教授料というべきか)は千円。作り方を知りたい人には千円からの8千円くらいの実費で教えてもらえる。
この博物館は15年前の1998年、東京都渋谷区に「世界で一番小さく、日本で初めての博物館」として誕生、話題を呼んだ。
大熊さんは1991年、米万華鏡愛好家団体に加入、96年、日本万華鏡倶楽部を創設している。
川口に移ったのは両親が亡くなり、生家にマンションを建てたので、道路に面した1階を博物館にして、12年9月にオープンした。
万華鏡は1816年、英国スコットランドの物理学者デビッド・ブリュースターが発明した。2016年で万華鏡が誕生して200年になった。灯台の光をより遠く届かせるための、光の屈折、鏡の屈折の研究から万華鏡が生まれた。
この博物館には、1820年代のブリュースター式万華鏡もある。世界でも現存するのは20点ほどで、日本ではこの1点だけ。こんな世界的に誇れる宝物が3点あるという。
万華鏡は鏡を組み合わせて作るので、壊れやすく、保存が難しいので、古いものはあまり残っていない。19世紀の万華鏡はここでも手にとって見ることはできない。
万華鏡は、子どものオモチャから芸術品に進化、日本では、「日本万華鏡大賞公募展」がすでに13回、東京・千代田区の科学技術館で開かれている。
この博物館は完全予約制で、日曜、祝日もOK。一回約1時間。〒332-0016 川口市幸町2-1-18-101。電話048-255-2422。「日本一楽しい博物館」を目指す。
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