マンガ大賞&手塚治虫文化賞のW受賞を果たした、ヤマザキマリの大ベストセラーコミックを実写映画化。古代ローマで浴場の設計をするルシウスと現代日本の風呂好きたちが、ローマのために闘う。理由は分からないが、とにかく古代ローマから日本にタイムスリップしたルシウス。漫画家志望の真実の恋心に気づいてか気づかないでか、新しい風呂とローマの未来に思い悩む。現代人の真実は、歴史の知識を活かして、ルシウスの力になろうとするが…。出演は、阿部寛、上戸彩、北村一輝、市村正親、宍戸開、笹野高史。日本を代表する顔の濃い役者を集め、原作のイメージを全く崩していないことに拍手。監督を務めるのは、「のだめ」シリーズの武内英樹。
友達がこぞって「面白い」と言っても、私は頑として観に行かなかった。
…だいたい、テレビで宣伝しすぎなのよ。
…新聞の全面広告を占拠して企業とタイアップしてなかった?やだやだ。
…「濃い顔の俳優を集めました」ってことばかり強調して、そういう出オチ的な作品ほど面白くないのよね。
とか何とか文句を言いつつ、
「結構ヒットしてるようだし、溜まったポイントでも使って観るか」と
実は観たくてウズウズしていた自分を誤魔化しながら観賞。
で。
「くっだらねぇぇぇぇぇ!」この一言に尽きます。(もちろん褒め言葉)
「究極のバカバカしさ」に、いい大人が真剣に取り組んでいるのが凄い。
前半はルシウス(阿部寛)が古代ローマから現代の日本へタイムスリップして
その文化のギャップに驚く…というシーケンスを、これでもかと繰り返す。
阿部ちゃん渾身の演技が爆笑モノなんだけど、この絶妙の「間」が絶妙に計算されている。
後半は少し「映画らしく」なっちゃって拍子抜けだったけど、筋が通っているのが見事。
観終わった後もさんざん「くっだらねぇぇぇ!」と悪態ついておりましたが、
でも市村さんの過度に誇張された顔芸とか、
笹野さんの平たい顔族代表の表情とか、
一流どころが真剣になっているところに、なんだか邦画の底力までも感じてしまう。
こんな映画にこれほどの資金と情熱をかけられるということ。
ああ、なんて幸せなんだ!