それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「星めぐりのうた」 10/17初日・10/19マチネ

2012-10-20 | 舞台


「星めぐりのうた」天王洲・銀河劇場 
 10/17(水)初日 1階F列センター
 10/19(金)マチネ 1階A列センター

【原案】宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
【演出・振付】上島雪夫
【脚本・歌詞】桑原裕子(KAKUTA)
【出演】中川晃教 / 山崎育三郎 / 植木 豪 / フランク莉奈 / 岡田亮輔 / 杉崎真宏 / 土居裕子 他

(以下ラスト場面までネタバレしています。)

初日が始まったと思ったらもう明日は千秋楽。
…って今年はコレが毎回のお決まり文句のようですね。

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を予習していったわけですが、
予習の必要はなかったかな~、というぐらい世界観がベツモノの作品でした。
「設定だけ借りた」という程度でしたね。

でも、「?」と思ったのはこの点だけで、あとはとても楽しかった!
何よりあっきー演じるコウイチのキャラと衣装がツボ(笑)
細身のデニム、ロングカーディガンとマフラー、極めつけが斜めがけのバッグがカワユくて、
冒頭からしゅーんと肩を落としてベンチに座る姿、その侘しげなシルエットが胸キュンです。
「大人になりきれずにもがくモラトリアム少年」役は健在でした。

「ソング・ダンス・ミュージカル」と銘打っていますが、
それほどガツンとくるソングもなく、目を見張るようなダンスもなく、
でも出演者全員がハイレベルで、ずっと見ていたい気持ちになりました。
一幕が退屈という感想も散見されるけど、私はどのシーンも飽きずに楽しめた。
土井さんとのデュエット『ミルク』、ハーモニーが素敵な『ここが天国』など泣かせ曲も完璧でした。

あとはやっぱ、育くんとあっきーのお楽しみ場面が満載で、
妄想族のワタクシは、汗かいたりニヤついたり忙しかった(笑)
クシャクシャにされた髪の毛を丁寧に丁寧に直してあげる。
二人でおチャラけてタンゴを踊る。
最前列で見たときに生声が聞こえたんですが、このタンゴのタイミングを合わせるために
育くんが「はいっ!はいはいはいはいはいっ!」とオフマイクで号令かけてたのが笑えた~!

大きく話題になることもなく、決して大作ではないけれど。
プロフィールの「過去の出演作」に並ぶのかどうかビミョーはだけど。
でもナイスで誰もが「合ってる」という役に巡り合え、
自作曲を自由自在に歌っている彼を見るだけで、なんだかほっこりしました。そんな作品。




でもね。
そんな気持ちで、腕組みして足もドッカリ組みながら、余裕こいて観劇してました。
そのときまでは。

実は最近、身内に不幸がありました。
二幕の中で歌われるハレルヤのコーラスのときに、そのことをぽっかり思い出しました。
そうしたら、溢れる涙がもう止まらない。
生前の元気な姿、わたしにかけてくれた言葉、次から次へと頭の中を駆け巡り
とても舞台に目を向けていられない。
しかしこの作品は、そうやって旅立っていく人々に向かって「また会おう」という言葉で終わります。
私は観劇中鼻をすするほど号泣し、せっかく最前列ど真ん中に座っているのに舞台に目を向けられず
失礼なことをしたと思いましたが、
ただこのラストシーンは文字通り「心洗われる」もので、本当に気持ちが落ち着いた。
極めて個人的な物言いですが、ありがとう。癒してくれて。
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「Gift of SMAP CONCERT TOUR 2012」10/14 味スタ

2012-10-17 | ライブ
『Gift of SMAP CONCERT TOUR 2012』
10/14(日) 17:00~ 東京・味の素スタジアム アリーナC47ブロック


2年ぶりのスマコンは、結構なサバイバルでした。
うちからは遠い遠い味の素スタジアム。
前日の天気予報では「雨の心配はありません」だったのに、降りしきる強い霧雨。
「ちんじゅの森」ライブで用意した雨対策グッズが、思いがけず役に立ちました。

こういう大規模なライブは派手な演出もさることながら、
「わぁ、いっぱい人がいるなぁ」ってことでも十分楽しめます。
アリーナ席からスタンドを見渡したときの圧倒感、
その「人のカタマリ」が一斉に同じペンライトを振るときの一体感。
すごいよね。国民的人気ってこういうことなんだなぁ。

ライブそのものは、、、、
3時間40分、楽しかったです。これだけ。


いえいえ、私も極めて平熱ですが、スマを応援し続けて20年。
人気が右肩上がりのときも、脱退や結婚や不祥事のときも、ずっとずっと見ていて思っていた。
「すごいね」って。

そりゃ彼らももう40歳を超えつつあるんだから、確実に若さは失われていく。
今回、慎吾くんのソロのときに山P(山下智久くん)がサプライズゲストで出演してくれましたが、
そりゃあもう眩しいぐらいのジャニーズ的カッコよさ。
ああ若いって素晴らしい…って心から思いました。
(カンケーないけど、山Pが出てきたときはスタジアム全員が嬉しさのあまりぴょんぴょん飛び跳ねてました。
人って突然嬉しいことに遭遇するととりあえず飛び跳ねるのね。地面が揺れてたもん…)

だからって私は山Pに降りる気はもちろんありませんよ!
だってだって、やっぱりスマ5って「すごい」から。
ジャンクション映像は相変わらず面白かったし、決めるところでは決めてくるステージング。
雨でステージはつるっつるに滑りますが、それを楽しんでいるのが面白そうだったな。
中居くんは相変わらず別嬪さんだし(ソロの作り込みが素晴らしかった)
木村くんは相変わらずカッコいいし(でそれを逆手にとってギャグにするし)
危なげなくバク転を決めるツヨポン、捨て身で笑わせるゴローちゃん、
そしてそして、実質上今回のステージの大半を支えていた慎吾くん。

彼らのステージを見るたびに、「システム」という言葉が浮かびます。
セトリのベースになったアルバムは、これから公開の映画やドラマを意識しているもので、
つまりアルバムとステージと映画製作とテレビドラマが全て関わるプロジェクトになっている。
膨大な人件費と膨大な準備時間が見え隠れして、
その「システム」のてっぺんの顔として、一切の手抜きなしに私たちの目の前に出てくれる。
なのに味スタから帰宅してテレビをつけると、もう深夜番組に出演してんだもの。
これを「すごい」と言わずして何と言おう。

だからやっぱり、一緒の空間にいることがこの上なく嬉しい。
チョイ悪オヤジになろうが何だろうが、20年前と同様にこの人たちを「カッコいい」と思い続ける。
味スタはうちからは果てしなく遠かったけれど(何度も言うが)、
規制退場のせいで飛田給の駅に着いたのは終演して1時間後で、帰り道はクタクタだったけど、
また来年もライブに参加するから。一生見続けるから。
一緒に年を重ねていきましょうね。


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「エッグ」 10/3 マチネ 

2012-10-05 | 舞台

NODA MAP 第17回公演「エッグ」 10/3(水)マチネ 東京芸術劇場プレイハウス 1階C列上手

【作・演出】野田秀樹
【音楽】椎名林檎
【出演】深津絵里 / 妻夫木智 / 仲村トオル / 秋山菜津子 / 大倉孝二 / 藤井隆 / 野田秀樹 /橋本功 他


(ネタバレ含みます)



リニューアル後の東京芸術劇場、初めて入りました。
中劇場が「プレイハウス」になり、基本構造は変わりませんが内装が新しくなっています。

…てなことを、冒頭で野田さんが客席に降りて「劇場案内係」として説明してくれます。
「前のほうがよかった」とか言わないでね、と笑わせているうちに、物語は本題へ。
改装される劇場の片隅から、寺山修司の未完成の戯曲が発見され、
芸術監督(野田さんは二役)はその戯曲に書き記されていない部分を完成させようとする…

ここからは劇中劇に移り、「エッグ」という架空のスポーツに纏わる話になっていきます。
中心になるのは、貧しい農家の三男坊からエッグの選手になった阿部(妻夫木聡)と、
その妻で国民的歌手の苺イチエ(深津絵里)。
それに「エッグ」の日本チームのスター選手、監督、チームメートなどが絡みますが、
まずこのスポーツの設定が面白可笑しい。
スター選手の名前が「粒来幸吉」だったり、アンサンブルの女学生役の格好が60年代だったりするので
「ああ東京オリンピックだな」と思わせておいて…

こうやって、前半のあの場面のあの台詞が「ええーこう来たか~!」と外されていく感覚、これこそ野田作品の真髄。
ただ、今までの『南へ』『ザ・キャラクター』はベースになる事実を見せる表現が明確で直截的だったのに、
今回は…よくわからない。
きっと私が「731部隊」のことをよく知らないからだと思う。
台詞の意味を考えているうちに置いてかれちゃうんですね。

なので観ていて、ときどき集中力を欠いてしまいそうになった。
しかしその「わからなさ」を「演出面での面白さ」が補ってくれるのが、
またNODAMAPの好きなところでもあり「これでいいのか?」でもあり。
今回活躍する舞台装置は、十数個のロッカー。
ここから人が突然出てきたり消えたり、場面転換の役割も果たします。
このロッカーは、クライマックスで「引揚者が乗る列車」に様変わりしますが、
この場面がなんとも切なく、美しく、汽笛の音色が物悲しくて落涙。

また、深津絵里の衣装とメイクが、カワイイと気味悪いの境界スッレスレなところとか、
仲村トオルのこれ見よがしな筋肉とか、それと落差をつけたかったらしい妻夫木くんのチャラさとか、
主役3名はとてもハマリ役だったと思います。
椎名林檎の曲はどれも可愛いかったし、ハッピーエンドという終わり方ではないので
終演後の追い出しに明るいポップな曲がかかったのも気分的に助かったかな。

今までのNODAMAPのラインナップの作品に比べると、ズシンと来るものは少なかったけれど
相変わらずエネルギッシュで、問題提起が溢れていて、
「ど真ん中の演劇を観た!」と胸張って言える作品でした。

もちろん例の如くパンフは1000円でお買い得。
月刊新潮には戯曲も掲載されているし、私が観た回は収録が入りWOWOWで放映予定もある。
このサービス精神はいつまでも持ち続けてほしいです。
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