「星めぐりのうた」天王洲・銀河劇場
10/17(水)初日 1階F列センター
10/19(金)マチネ 1階A列センター
【原案】宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
【演出・振付】上島雪夫
【脚本・歌詞】桑原裕子(KAKUTA)
【出演】中川晃教 / 山崎育三郎 / 植木 豪 / フランク莉奈 / 岡田亮輔 / 杉崎真宏 / 土居裕子 他
(以下ラスト場面までネタバレしています。)
初日が始まったと思ったらもう明日は千秋楽。
…って今年はコレが毎回のお決まり文句のようですね。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を予習していったわけですが、
予習の必要はなかったかな~、というぐらい世界観がベツモノの作品でした。
「設定だけ借りた」という程度でしたね。
でも、「?」と思ったのはこの点だけで、あとはとても楽しかった!
何よりあっきー演じるコウイチのキャラと衣装がツボ(笑)
細身のデニム、ロングカーディガンとマフラー、極めつけが斜めがけのバッグがカワユくて、
冒頭からしゅーんと肩を落としてベンチに座る姿、その侘しげなシルエットが胸キュンです。
「大人になりきれずにもがくモラトリアム少年」役は健在でした。
「ソング・ダンス・ミュージカル」と銘打っていますが、
それほどガツンとくるソングもなく、目を見張るようなダンスもなく、
でも出演者全員がハイレベルで、ずっと見ていたい気持ちになりました。
一幕が退屈という感想も散見されるけど、私はどのシーンも飽きずに楽しめた。
土井さんとのデュエット『ミルク』、ハーモニーが素敵な『ここが天国』など泣かせ曲も完璧でした。
あとはやっぱ、育くんとあっきーのお楽しみ場面が満載で、
妄想族のワタクシは、汗かいたりニヤついたり忙しかった(笑)
クシャクシャにされた髪の毛を丁寧に丁寧に直してあげる。
二人でおチャラけてタンゴを踊る。
最前列で見たときに生声が聞こえたんですが、このタンゴのタイミングを合わせるために
育くんが「はいっ!はいはいはいはいはいっ!」とオフマイクで号令かけてたのが笑えた~!
大きく話題になることもなく、決して大作ではないけれど。
プロフィールの「過去の出演作」に並ぶのかどうかビミョーはだけど。
でもナイスで誰もが「合ってる」という役に巡り合え、
自作曲を自由自在に歌っている彼を見るだけで、なんだかほっこりしました。そんな作品。
でもね。
そんな気持ちで、腕組みして足もドッカリ組みながら、余裕こいて観劇してました。
そのときまでは。
実は最近、身内に不幸がありました。
二幕の中で歌われるハレルヤのコーラスのときに、そのことをぽっかり思い出しました。
そうしたら、溢れる涙がもう止まらない。
生前の元気な姿、わたしにかけてくれた言葉、次から次へと頭の中を駆け巡り
とても舞台に目を向けていられない。
しかしこの作品は、そうやって旅立っていく人々に向かって「また会おう」という言葉で終わります。
私は観劇中鼻をすするほど号泣し、せっかく最前列ど真ん中に座っているのに舞台に目を向けられず
失礼なことをしたと思いましたが、
ただこのラストシーンは文字通り「心洗われる」もので、本当に気持ちが落ち着いた。
極めて個人的な物言いですが、ありがとう。癒してくれて。