1997年にスタートした「踊る大捜査線」シリーズが、映画化4作目にしてついに最終章を迎えた。15年というシリーズの歴史の中でキャラクターたちもそれぞれに成長し、立場や地位も変化してきている。しかし、これだけの年月を重ねても変わらないのは、織田裕二演じる主人公・青島俊作の抱く“正義への思い”だ。柳葉敏郎演じる警察キャリア・室井と15年前に交わした約束を胸に抱き事件解決に奮闘する青島の姿に、熱い思いがこみ上げるだろう。深津絵里演じるすみれと青島の関係がどうなるかなど、気になる点も多いはずだ。さらには、真下と結婚し引退した形になっていた、水野美紀演じる雪乃が復活しているのもファンにはうれしいところ。
15年前のTVドラマを夢中になって観ていたことを、ありありと思い出す。
この前再放送をしていたのを観ると、流石に表現が古いと感じるけれど
誰が何と言っても、私の中でのTVドラマベスト1だ。きっとこれからも。
「踊る」はそれからスペシャル版になり、劇場版になり、
興業収入を誇るようになり、どんどん大きくなった。
それに連れて主題になる事件はだんだん薄っぺらくなり、
「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」だとか、
「レインボーブリッジ閉鎖できません!」だとか、
青島刑事は、なんだかもう「名台詞を吐く」だけの記号になってしまった。
それでもやはり、登場するキャラといわゆる小ネタにとても魅力があった。
映画に先駆けて放映されたスペシャルドラマも大して面白くなかったけれど、
これは「参加することに意義がある」作品なのだ。
だから作品としてのレベルがどうであろうが、必ず映画館で観賞せねばならない映画だ。
悔しいけれど、「永すぎた春」はいつか終わる。
和久さんは旅立ち、スリーミーゴスは退職し、
青島刑事もいつまでも青臭いことは言っていられない。
だからこそ今回のFINALは、見事なまでの「落とし前」だった。
前半のギャグパートは笑えたけれど、後半のなんたる荒唐無稽。
慎吾ちゃん=DOLLバナナってとこはもう苦笑するしかなかった。
それでも、随所に盛り込まれたサービス精神がこの上なく嬉しかった。
カエル急便のロゴ、最後までアヤシイ雰囲気全開だなぁ…
湾岸署の玄関に立つ新人警察官は、緒方を思い出すよね…
ラストシーンでモニターの前に立つ青島まで再現してくれるなんて…
手の内にある切り札を全部出し切ってくれたようで、嬉しいような悲しいような。
この映画を観た感想なんて、なにもない。
「お疲れさま、ありがとう」という言葉以外、どんな言葉もかけられない。
この映画が果たしてくれた功績を、日本映画はいつまでも忘れてほしくない。