それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

2012-09-28 | 映画
1997年にスタートした「踊る大捜査線」シリーズが、映画化4作目にしてついに最終章を迎えた。15年というシリーズの歴史の中でキャラクターたちもそれぞれに成長し、立場や地位も変化してきている。しかし、これだけの年月を重ねても変わらないのは、織田裕二演じる主人公・青島俊作の抱く“正義への思い”だ。柳葉敏郎演じる警察キャリア・室井と15年前に交わした約束を胸に抱き事件解決に奮闘する青島の姿に、熱い思いがこみ上げるだろう。深津絵里演じるすみれと青島の関係がどうなるかなど、気になる点も多いはずだ。さらには、真下と結婚し引退した形になっていた、水野美紀演じる雪乃が復活しているのもファンにはうれしいところ。



15年前のTVドラマを夢中になって観ていたことを、ありありと思い出す。
この前再放送をしていたのを観ると、流石に表現が古いと感じるけれど
誰が何と言っても、私の中でのTVドラマベスト1だ。きっとこれからも。

「踊る」はそれからスペシャル版になり、劇場版になり、
興業収入を誇るようになり、どんどん大きくなった。
それに連れて主題になる事件はだんだん薄っぺらくなり、
「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」だとか、
「レインボーブリッジ閉鎖できません!」だとか、
青島刑事は、なんだかもう「名台詞を吐く」だけの記号になってしまった。

それでもやはり、登場するキャラといわゆる小ネタにとても魅力があった。
映画に先駆けて放映されたスペシャルドラマも大して面白くなかったけれど、
これは「参加することに意義がある」作品なのだ。
だから作品としてのレベルがどうであろうが、必ず映画館で観賞せねばならない映画だ。

悔しいけれど、「永すぎた春」はいつか終わる。
和久さんは旅立ち、スリーミーゴスは退職し、
青島刑事もいつまでも青臭いことは言っていられない。
だからこそ今回のFINALは、見事なまでの「落とし前」だった。
前半のギャグパートは笑えたけれど、後半のなんたる荒唐無稽。
慎吾ちゃん=DOLLバナナってとこはもう苦笑するしかなかった。

それでも、随所に盛り込まれたサービス精神がこの上なく嬉しかった。
カエル急便のロゴ、最後までアヤシイ雰囲気全開だなぁ…
湾岸署の玄関に立つ新人警察官は、緒方を思い出すよね…
ラストシーンでモニターの前に立つ青島まで再現してくれるなんて…
手の内にある切り札を全部出し切ってくれたようで、嬉しいような悲しいような。

この映画を観た感想なんて、なにもない。
「お疲れさま、ありがとう」という言葉以外、どんな言葉もかけられない。
この映画が果たしてくれた功績を、日本映画はいつまでも忘れてほしくない。
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中川晃教コンサート2012 in HAKUJU HALL Vol.2 9/23 1st・2nd

2012-09-24 | ライブ


「中川晃教コンサート2012 in HAKUJU HALL Vol.2」

9/23(日) HAKUJU HALL(東京)
1st 14:00~ P列センター 2nd 18:30~ H列センター
【出演】中川晃教(Vocal) / 榊原長紀(Guitar) / 大坪正(Piano) / 西方正輝(Cello) 

当初は1stには参加する予定がなかったのですが、
気がつけば当日券を買ってしまった…
「前売りは完売」との話もあったので、当日券も数が少ないかも?と思ってましたが
最後列のセンターを頂きました。
会場後列は少し傾斜も付いていて見やすかったし、音もとても綺麗に聴こえる。さすが。

というわけで、1stも2ndも参戦、サイン会ももちろん満を持して臨みました。
この日は「PopChic=ポップスとクラシックの融合」がテーマ。
とても楽しみにしていましたが、期待以上でした。

『Happy Day』の元曲「トルコ行進曲」は苦い思い出しかなく(ピアノの発表会にて…)
私にとってはアンハッピー曲なのですが、
…原曲2割アレンジ8割でメロディの残存はサビのみ。
それより「誰も歩いていない道を歩く」という歌詞が楽しかった!
『終わりのない愛』は「白鳥の湖」の二幕テーマがそのままで、
壮大なバラードに仕上がっています。
この2曲は大坪さんアレンジなのでしょうか、コードワークがツボ過ぎます。

『NO.5』、上野ポピュラウィークの時よりもさらに煽られる。
チェロがこんなに官能的で自由で雄弁な楽器だったとは!
楽器の組み合わせ、どの楽器が主導を取るかで、あっきーの歌が全く違った印象になる。
話に上りにくいですが、どの曲も「そうきたか!」という歌詞がついていて、
このことも非常に意外で、思ったより詩の世界が楽しめました。
私たちが原曲に持っているイメージを壊すことなく、独特の世界観を盛り込む。
一曲一曲が一枚の絵のようで、ステージも客席もひとつ終わるごとにため息。

オリジナル曲で意外だったのは『Miracle of Love』。
最近はずっと弾き語りVerだったし、ハンドマイクで歌うのを久しぶりに聞いた気がする。
キー(以前は出だしがEm)をひとつ下げたような気がするんだけど、なぜ?(…誰に聞く)

1stはMCがその都度ちょいちょい入ったんだけど、2ndはリラックスしつついい流れでした。
2ndでは(いい意味での)ため息を重ねたあとで、「体操コーナー」もあったしね。
「右手を上げて~!そのままグーパーグーパー!はい次はユラユラ~!」
体操そのものよりも、西方さんの「え~っ」という顔が忘れられません(伴奏もしてくれたが)。
お若いのに落ち着いた雰囲気で、さかきーと大坪さんとのバランスも素敵でした。

PopChicという試み、まだまだ続くのかな。
あんな曲やこんな曲も歌ってほしい。
あっきーブログの方にコンサートの思いなどをUPしてくれるそうなので、それも楽しみです!



【衣装】
1st:
昨日と打ってかわってキョーレツでした。
前身頃が動物プリント、後ろ身頃が唐草模様?のプルオーバー。インパクト大で下半身は覚えてない(汗)
これはきっとゴルチェだ!と思って、後のサイン会でお友達に聞いてもらったのですが(ありがとう)
「TATAというブランドの一点もの」だそうです。

2nd:
白の飾りが身頃を覆うジャケットと、これも赤の飾りがハート型になっているTシャツ。薄い柄の白いパンツ。
これは可愛かった!本人も「カワイイ~」という反応を要求してました(笑)
しかし途中で客席から「脱いで!」と声がかかり、躊躇なくジャケットを脱ぐ。
解放されたのがよかったのかサッパリした顔してましたが、デザイン的にはジャケを着てたほうがbetterかも。
どこかに画像を載せてほしいです。

両日とも、iPadを譜面台に置いていました。
オリジナル以外の歌詞が表示されていると思われますが、譜面をめくる煩わしさがなく見てて違和感なかったです。「WIZ」もこの方法なら暗譜ないしいいんじゃないでしょうか~(って早く公演日程が知りたいっす!)



【セットリスト】公式サイトを参考に。
1.ビリージーン
2.I WILL GIVE U WHAT U WANT
3.Happy day (モーツァルト「トルコ行進曲」より)
4.終わりのない愛 (チャイコフスキー「白鳥の湖」より)
5.No.5 (ベートーベン交響曲第5番「運命」より)
6.月光~カンランセキ
7.フタツ、ヒトツ Futa-tu, Hito-tu
8.谷間の風(ドボルザーク「新世界」より)
9.Miracle of Love
10.そして僕は魚になる

(アンコール)
1.ナユタ
2.マイソング(マイクレス)
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中川晃教コンサート2012 in HAKUJU HALL Vol.2 9/22 2nd

2012-09-24 | ライブ
「中川晃教コンサート2012 in HAKUJU HALL Vol.2」

9/22(土) HAKUJU HALL(東京)2nd 18:30~ C列下手端
中川晃教(Vocal) / 榊原長紀(Guitar) / 大坪正(Piano) / 林美智子(Violin) 

思い起こせば、私が初めてあっきーを見たのは5年前。
『TOMMY』を観たその足で本屋に行って、雑誌の記事を必死で探した。
雑誌記事の第一印象は、「…とっつきにくそうだなぁ…」
写真の中の、黒髪のあっきーはまだまだ若くて、
「オレに障るなよ」という面持ちでこちらを睨みつけていた。

…なんでこんなこと書いているかというと、
この日の髪型がその時を思い出させて、とても懐かしかったんですね。
黒に戻して、肩にかかるぐらいの長さでゆるく巻いている。
あっきーは「このホールに来ると『ただいま』と言いたくなる」と言ってたけど
(あれ、『おかえり』だったかな?)
彼にとっても、私たちにとっても、HAKUJUホールは「HOME」であるし、
黒髪は私には原点です。

セトリは予想を裏切らず、
「このメンバーだったらこの曲」という期待に応えてくれました。
それでも各曲が進歩していて頼もしい。
『Love Never Dies』はゆったりと船に乗ったときのような。
『VISION』は切り取った風景が見えるような。スキャットがよかったなぁ。
そうそう、『灰色の雨』は久しぶりに聞きました。出だしの低音が素敵。

とても嬉しかったのは、押尾コータローさんの曲に詞をつけた『ナユタ』が聞けたこと。
ちんじゅの森コンサートでは押尾さんのギターに歌を乗せましたが、
(あっきー言葉を借りれば「押尾さんのギターと歌がデュエットした」)
今日は大坪さんのピアノと一緒でした。

この曲の何が好きって、歌詞が大好きなんです。
歩く背中に追いつけず、歩道橋の真ん中ですれ違い、雨が降ったら優しくなれる…
素直な言葉の中に物語を感じます。
今までのあっきーの詩の世界とは少し趣きが違うように思います。

実は今日あっきーに直接この感想を言ってみたら、答えが
「そうですよね、僕も生きているってことですよね」。
ああ、そうなのか。
生きているから感じること、言葉にしたいこと、言葉にできないこと。
世界を捉える目線のなんと優しいこと。

かと思ったら、アンコールの『そして僕は魚になる』の凄まじいエネルギー。
「ギョ(魚)」という略称が付けられていましたが、ブルースぽいアレンジに乗せて「ギョ!」の連呼とは!
コールしたり手拍子入れたり、サポートのソロ回しもあり、これも今までと違う。
であっきーがフリーダムになってくると、さかきーと大坪さんの顔色が変わる(笑)
さかきーが大坪さんに目でキューを出し、大坪さんはあっきーのキーを正確にポンと捉える。
プロの技を堪能いたしました。

衣装の覚書。
白いカッターシャツのボタンを首まで締めてネックレス(前に雑誌企画で本人デザインしたもの)、黒いスリムなパンツ、その上にグレーのギャルソン風エプロン…これは箱襞が入っているので、スカートにも袴にも見えます。
1stではこのエプロンをさかきーに「土俵入り?」と言われたそうですが(爆)
2ndでは座るときに股の間に収めてみたり、スタンドマイクのときはスカートの裾のように摘まんだり、
意外に遊べるアイテムでした(笑)





【セットリスト】他サイトを参考にいたしました。感謝!
1.ビリージーン
2.I WILL GIVE U WHAT U WANT
3.Love Never Dies
4.Just Call My Name
5.SADNESS
6.ブルースカイ
7.ナユタ
8.灰色の雨
9.VISION

(アンコール)
1.そしてぼくは魚になる
2.マイソング
3.I WILL GET YOUR KISS (弾き語り)
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「鍵泥棒のメソッド」

2012-09-21 | 映画
『運命じゃない人』『アフタースクール』で時制を組み替え、どんでん返しで観客を驚かせた内田けんじ監督。本作は、人生が入れ替わってしまった2人の男と、婚活中の女性が巻き起こす喜劇。後先考えずに行動して周りに迷惑をかけてしまうおバカな男には堺雅人。コンドウを演じるのは香川照之。記憶を失ったコンドウと、記憶を取り戻したコンドウ、一人二役のような難役をなんなくこなす、その実力をさすがの一言。ちょっとずれた感覚の優等生・香苗には、最高のコメディエンヌぶりを発揮した広末涼子。三人の演技のアンサンブル、化学変化を楽しみながらノンストップ・エンターテインメントに身を任せよう。


この映画のなにが面白いって、展開が全く予想できないこと。
「ラストはきっとハッピーエンド」と期待した通りだったんだけど、
そこに至るまでの形跡が
「えっ、そこでそんなコトする?」
「あー前半のあの台詞ってここに繋がるんだ!」と
こちらの思い込みをバンバン切り捨てる小気味よさ。

売れない役者(堺雅人)のダメっぷりと、
記憶喪失の殺し屋(香川照之)の几帳面さの対比が面白い。
お互いが入れ替わるから生活環境もそっくり入れ替わるんだけど、
役者崩れはどこに行っても部屋を片付けないし、
殺し屋は「自分は役者のタマゴなんだ」と自覚し本を集めて猛勉強。
人間って、環境が変わっても本質は変わらないのね。

この二人に絡む雑誌編集者の女(広末涼子)も、
この人が一番「ヘン」で、真面目すぎるのか人を食っているのか
その無表情っぷりも薄い色の瞳も、とても魅力的でした。

殺し屋はある任務を遂行する途中で記憶を失うので、
他にもいろいろと可笑しい登場人物が出てきます。
依頼人のヤクザ、その子分、ターゲットになっている人物の愛人…
ともするとハードな雰囲気になってしまうだろうに、
ヤクザが荒川良々な時点で
「なーんだ、そんなに怖い展開にはならないのね」と安心(笑)
絶妙なキャスティングでした。

ラストシーンも音楽もとてもお洒落。
でも本編はそれほどハイセンスでなくある意味泥臭い。
これも計算かな。
『アフタースクール』と同様、
見終わったあとに心から「あー面白かった!」と言える映画に出会えました。
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「夢売るふたり」

2012-09-20 | 映画
『ゆれる』や『ディア・ドクター』など、人間の深層心理に肉薄し、人間の心の闇をえぐり出すような作品で定評のある西川美和監督作。ある夫婦が火事で全てを失った事から始めた結婚詐欺を繰り返すうちに、本人ですら自覚していなかった己の深層心理と、お互いが知らなかった相手の本性に気づいていくさまが、可笑しくて恐ろしい。物語の軸となる夫婦を演じるのは松たか子と阿部サダヲ。松演じる気立てのよい妻が、心の奥に眠っていた悪意に目覚める瞬間の背筋が凍るような恐ろしさは、彼女の演技力の賜物だ。田中麗奈や鈴木砂羽、木村多江らが結婚詐欺の“対象”となる女たちを演じるという、キャストの豪華さも本作のウリのひとつ。

西川監督の作品は『ゆれる』も『ディア・ドクター』も未見。
今回が初遭遇でしたが、なんとも不思議な心地にさせてくれる映画でした。

ささやかだけど繁盛している小料理屋を、火事で失う冒頭の場面。
深刻なシーンなのに、バックに流れるBGMは力の抜けたギターの音色。
結婚詐欺を次々に重ねる展開も、実に淡々と進んでいきます。

松たか子演じる妻の、その表情の変遷がすごい。
夫がつい出来心で(というか同情心で)、常連客の女と関係を持ってしまうのだが、
その女(鈴木砂羽)が差し出した幾許かの札束を、衝動的にコンロの火にくべる。
しかし彼女は、長い時間をかけて札束を燃やすか燃やすまいか悩む。
札束が燃える。コンロのヤカンが沸騰する。
その長い長い時間の間に台詞は一切ないのだけれど、彼女がある計画を思いついた瞬間の形相が強烈です。

こんな風に、ひとつひとつの場面の丁寧さが素晴らしいです。
当初は「隅田川とスカイツリーが見える場所にまた店を出そう」という確固たる目的があったのに、
夫が結婚詐欺相手との逢瀬に時間を割くようになると、それは嫉妬と仕返しの感情に裏返ります。
アップになったときにゆるく髪が揺れ、遅れて背景が揺れる様子。
夫(阿部サダヲ)が黙々と包丁を研ぐときの様子。
なんというか、真意が伝わってくる緻密な空気。

女性監督なのに、エロでグロな場面も結構ありました。
いやここは「女性監督だから」と言うべきなのでしょう。
あろうことか生理用ナプキンを下着につけるシーンまで出てくるけれど、
それは後半に、夫が子持ち女と親しくなることに対して凄まじい嫌悪を抱くことに繋がります。
怒涛の展開と、一筋の希望を感じさせるラスト。カモメを見上げる二人の眼差しが切ない。

「あれ香川照之だよね?」とか「ここで伊勢谷友介かよ!」というお楽しみもあり、
監督が錚々たる役者陣に信頼されていることも理解できました。
今年の主演女優賞、もちろんサダヲちゃんの男優賞も候補になりそうな。
西川監督の過去作品も観てみたいと思いました。
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「武士の尾」 9/15 二部

2012-09-16 | 舞台
リーディングドラマ「武士の尾」 9/15(土) 15:00~ 紀尾井小ホール 4列センター下手

【原作】森村誠一
【構成・演出】市川月乃助
【演出】菅原道則
【音楽】新内剛士
【出演】中川晃教 / 貴城けい / 市川猿琉 / 鳥越裕貴 / 市川月乃助

大石内蔵助を始めとする四十七士が吉良邸への討ち入りを果たす直前に、大石の命令で高田郡兵衛は脱盟を余儀なくされる。
美しい妻を娶り、平和な暮らしを始めた郡兵衛を待っていたのは、裏切り者、不義士としての汚名に耐えながら、己の使命を全うするという過酷な人生だった。(公式サイトより)


朗読劇って「だいたい2時間ぐらい」と思ってましたが、休憩を挟んでなんと3時間。
濃ゆい時間でした。

舞台には一切の装置も背景もなく、一客の椅子があるだけ。
出演者は何人もの人物を演じ分け、ナレーターの役回りのときに椅子に座ります。

男性出演者の衣装もタキシードかそれに準ずるもので、貴城さんは赤い艶やかな着物が素敵です。
あっきーは上着もシャツも黒いノースリーブ、脇にラインのあるパンツ(自前持ち込みらしい)。
髪はかなり細かいくるくるなカールでしたが…あれはパーマじゃないよね?来週は伸びているよね(汗)

物語は、原作本を端折りながら、しかし最後まできっちりと追いかけていきました。
演者は台本を手に持ちながらも、相手と対峙したり膝まづいたりでとても臨場感があり、
思っていたより時代劇言葉も理解できた。
原作本の印象は「週刊誌に連載しているようなオヤジ向け歴史小説」ですが
(エロい場面なんかは正にそんなさじ加減)
元の題材になっている赤穂浪士の物語自体が面白いのでしょうね。
飽きることなく引き込まれました。

あっきーは、熱く生真面目な生粋の武士を、あっきーらしく表現していました。
他の演者の方は両手で台本を持つのですが、あっきーは片手で、体から離し気味に高く持つ。
なので色白な二の腕をじっくり観察できた(笑)
熱っぽい台詞回しと二の腕の白さのギャップをしばし楽しみました。

いわゆるラブシーンは、舞台上手の客席降り階段に腰掛けることが多くて
私の席からは少し遠かった…
台本とてつ(貴城さん)を交互に眺めながらあっきーが吐く台詞が、結構際どい。
群兵衛は実はドSで、てつを容赦なく言葉攻め。
「いやらしいのは、そなたなのではないか」なんてマジマジ言われたら!
ああー直視できません!(嘘です。じーっと見ちゃったよ)


他の出演者の方もはどなたも素敵でしたが、
やはり歌舞伎の方の立ち姿、目線の投げ方、誠に美しゅうございました。
そもそもどうしてこのキャスティング?と不思議に思ってましたが、
歌舞伎界のスター、宝塚トップスター、…でミュージカル界代表があっきー、ってことでしょうか。
いつもは別の場所で活躍する強者がコラボする、ってなかなかない機会だし、
私たちも「ふだんだったら絶対に観に行かない」ような演目に出会えるから。

まあ率直に言えば、映画で観てもよかったかな。
群兵衛が長い天秤棒を振り回し敵を撃退するアクション場面とか、見応えありそう。
江戸の街中の風情や「庚申参り」の様子なども、
今日の舞台の中でも風景が見えるようだったので、なおさら具現化してほしいな。
屋形船の中の濡れ場も思いっきり見たいし(きゃー)
主演はもちろんあっきーでお願いしたいっす!
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「武士の尾」を予習する

2012-09-13 | 日記
…といっても、本を入手したのが一昨日。
文庫本にしては厚めの437ページもあるのに、未だ50ページぐらいしか読んでません!
しかも時代劇言葉の応酬で、日頃はあまり活字を読まないのでなかなか進まない。

それにしても、これはこのまま朗読するのでしょうか。
「もし首尾よく一挙成就の暁には、後ろ備えはいかが侍りましょうや」
とかね。耳で聞いて私は理解できるのか?

群兵衛は、ある理由で吉良邸へ討ち入りする前に、主君の名で美しい妻を娶ります。
この辺りの状況説明をするので濡れ場も出てくるわけで…
「乳繰り合っている」と周りから揶揄されるほどのベタベタな言葉の応酬もあって…(きゃー)

あとは、江戸風情の描写がそこかしこに現れます。
江戸の街の年越しの様子、庚申大祭のお参り、
多種多様の物売りが練り歩き、雨や花火を愛でるために人々は市中に繰り出す。
隅田川や浅草寺などの地名も出てきます。

こういうのも説明文のまま読むのかなぁ…
朗読劇は、まわりの状況や風景描写を頭の中に描くときに
想像力回路のスピードが要求されるから、聞くほうも前のめりになります。
もうあまり時間がないけれど、ちょっとでも読み進めておこうかな。
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「ミス・サイゴン」 9/8 ソワレ 

2012-09-10 | 舞台
ミュージカル「ミス・サイゴン」 9/8(土) ソワレ 青山劇場1階H列下手サブセン

【出演】エンジニア:市村正親 /キム:新妻聖子 / クリス:原田優一 / ジョン:上原理生
/ エレン:木村花代 / トゥイ:泉見洋平 / ジジ:池谷祐子



何年か前の再演のとき、私は帝劇でこの作品を見ながら非常に苛立っていた。
「なにこれ、こんな展開ありえないんじゃないっ?」
演劇なんだから、絵空事とわかっているのに、
初演から観ているからもちろん結末もわかっているのに、
舞台に向かって石を投げつけたい衝動を抑えながら、カテコの拍手もせず私は席を立った。
年端もいかないタムの手を離したキムを、能天気にタムを引きとるというクリスを、
私は心底許せなかった。

同じような年の一人息子を持つ身には、この作品は重すぎる。
もう一生サイゴンは観るのをやめよう…

なーんて思っていたのはもう昔のこと。
ご縁があって再び「ミス・サイゴン」を観ましたが、私の拙い記憶力はすっかりこのことも忘れていて、
一幕最後で涙にくれながら「そういえばそういう話だった…」と思い出す始末。
非常に新鮮な気持ちで観ることができて、記憶が甘いのはある意味幸せだと気づく。

だから「新演出」と言っても、さすがに「大型ヘリは出ないのか」ぐらいは気付いたけれど、
それよりも大胆でスピーディで斬新な演出をたっぷり楽しみました。
酒場のシーンの猥雑さ、飛び立つヘリのシーンの緊迫感、「アメリカン・ドリーム」の安っぽさ。
物量が減った分をカバーする映像技術が素晴らしい。
というか、映像技術の進歩に貢献したすべての技術者に幅広くお礼を言いたい!

この作品は、私の学生時代の同級生がスタッフとして関わっていますが、
「照明、装置、衣装…イギリスの演劇はやはりすごい。日本は全く太刀打ちできない」
という彼女の言葉に大きく頷いてしまいます。
「帝劇と博多座でしか観られない」という希少価値をつけるよりも、
いろいろな劇場での上演を可能にし、多くの人が観るべき作品だと思うから。
特に私のような、タムと同じような年の息子を持つ母親に観てほしい。いろんな意味で。

クリスは原田くん。
「原田くん観るの初めてだから楽しみ~」なんて思ってたけど、
今年『道化の瞳』でお会いしているじゃないの。きっと他にも観てるはず…
でも初めて観るような、新鮮な印象でした。
クリスの屈折した、でも正直で熱いソロが素敵だったし、ジョンとの身長差も(笑)
聖子ちゃんの安定感、貫録を感じたイズミン、鉄壁なキャストでした。

そして市村さん。もう私などが何か評することなどありません。
ミュージカル界の宝物、これからの地方公演もエネルギッシュに回っていかれることでしょう。
次は『屋根上』だ!
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ちんじゅの森コンサート2012

2012-09-03 | ライブ
明治神宮奉納「ちんじゅの森コンサート2012」
9/2(日) 18:00~ 明治神宮内 森の中の特設ステージ(自由席)

【出演】エスコルタ / 押尾コータロー / 中川晃教


突然豪雨が降ったり、強い日差しが照りつけたり、東京は朝から不安定な天気でした。
雲行きを心配しながら、代々木駅から明治神宮に向かいましたが…
まずその広さにびっくり。コンサート会場まで延々と参道を歩きます。

私たちを迎えてくれた明治神宮の鬱蒼とした森は、
90余年前に全国からの寄付で作られた「人工の森」だそうです。
今回の入場料の一部は、このちんじゅの森をはじめ東日本の海と森を再生するために使われるとのこと。
そしてここはあくまでも「神宮」。
コンサートの前に、なんとお祓いが行われました。ありがたや。

最初の曲は、全員で歌う「Amazing Grace」。
それまで天気はなんとかもってくれたのに、
あっきーが自作歌詞「♪雨が降る~」と歌いだした途端に、パラパラと雨粒が私たちの頭にも降り注ぐ。
雨の神様も一緒にこの歌が聞きたかったのでしょうか。
その後も時折小雨がパラつきましたが、本格的な雨でなくてよかった~!

エスコルタのソロステージに続けて、あっきーが登場します。
このコンサートでは毎年、出演者同士のコラボ曲があると聞いていましたが、
エスコルタとあっきーは、まず「自己紹介代わりに」と『この道』と『浜辺の歌』。
クラシック歌唱の万里生くんたちと、あっきーの抑揚のある独特の声は、発声のしかたが違うことがよくわかりました。
そして、一般には「家路」という題名で有名な「谷間の風(新世界より)」、
私は初めて聞きましたが、あっきー作詞の歌詞が元歌と全く違う趣きで面白かったです。

続けてあっきーソロステージ。
選曲だけ眺めると「鎮守」に相応しいのかな…と思えますが、
彼は最初からハイテンションでした。
暗くて客席が全く見えない!と何度も言っていたけど、「反応が見えないので前に出てきました」という感じ。

そしてそれを後押しするのが大坪さんのピアノで、
あっきーが曲最後で極まった即興スキャットを入れようとすると、全く同じ上昇角度で極まってくる。
大坪さんに、「今日参加してくれてありがとう」と心からお礼を述べたい気分です。

押尾さんとのコラボ3曲の中では、
押尾さん作曲「ナユタ」にあっきーがつけた歌詞が、とても素直な言葉でよかったです。
出逢ってときの淡い気持ちから、「一緒にいよう」という言葉でしめくくる素敵なラブソング。
ぜひぜひどこかでもう一度聞きたい!

でもこのとき、あっきーは歌っている間、ずっと押尾さんと見つめっぱなしでした。
ばかりか、押尾さんの方にずず~っと寄って歌うので、二人はだんだん上手に移動(笑)
お互いにリスペクトしあっている様子はよーくわかりましたが、
押尾さんたら「後で俺の部屋に来るか?」とか誘ってるし(腐)

押尾さんといえば、私は生演奏を初めて拝見しましたが、ものすごい超絶技巧に口があんぐりでした。
あれ本当に一人で演奏しているんだよね?
ステージングも面白いんですが(ハンカチ振り回したりウエーブやったり楽しかった!)
一番のヒットは「言葉も歌もパンパンにつめこんでくるよね」というあっきー評でした。
ああ、それそれ、私も「つめこみ過ぎ」って言いたかったのよ!と何だか胸のつかえがおりた(笑)

こんな風に、あっきーは「この3組だったら僕がはしゃぐ役だよね」と立ち位置を掴んだらしい。
それは私たちには「ある意味いつも通り」、ビミョーと言えばビミョーなんですが。

でも今日の会場は特別な場所。
自分の緑色のパンツを見ながらの「僕、森の妖精です」発言も受け入れましょう。
ときおり頭の上にぽつっとくる雨粒、通奏低音のように聴こえる虫の鳴き声、
形を変えながら夜空を低くゆっくり流れる雲。
ステージの後ろでは、守り神のような巨木が梢の枝をゆらし、
都会のど真ん中の森で、あっきーの歌声がどこにも反響せずに吸い込まれてゆく。
なんという素晴らしい空間なんだろう。

最後のナンバー「見上げてごらん夜の星を」を歌い終わったまさにそのとき、
大きなお月さまが雲の間から現れました。
客席もステージの出演者も、全員が空を見上げ月を仰ぐ。
それはまるで客電がついたような瞬間でした。

「来年も会いましょう」と言って嬉しそうにあっきーはステージを降りていきました。
来年もあるといいよね。
私もさらに「雨対策」を研究して臨みたいと思います…



【セットリスト】あっきー部分のみ。ごめんなさい。
(全員で)
Amazing Grace
(エスコルタと一緒に)
この道
浜辺の歌
谷間の風(ドヴォルザーク『新世界より』)
(ソロ・with大坪正(piano))
BLUE SKY
JUST CALL MY NAME
I'm gonna stay with you
FLY
Miracle of Love(弾き語り)

(押尾さんと一緒に)
I WILL GET YOUR KISS
マイソング
那由他(押尾さんの曲にあっきー作詞)

(全員で)
翼をください
見上げてごらん夜の星を
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「星めぐりのうた」を予習する

2012-09-01 | 日記
しばらく気忙しい日々を過ごしていたら、もう9月。
でも机の引き出しの中では、観に行く予定のチケットが待機しています。
ミス・サイゴン、亜門版WIZ、エッグ、100万回生きたねこ…などなど。

いろいろと予習もしておかないと。
「武士の尾」原作本は読む時間があるかどうかですが、
『星めぐりのうた』にむけて「銀河鉄道の夜」を読んでいます。

宮沢賢治の他の作品は読んだことがあっても、
「銀河鉄道の夜」は完読していない…という人も多いみたい。
大筋の流れや、ジョバンニやカムパネルラなどの登場人物は理解していても
「最後まで読んだことがない」ということですよね。
この物語は幻想的な風景の描写が続くので、
天気輪の柱の様子だとか、三角標が並んでいる様子などが
正直言うと「どんなものか具体的に想像しにくい」のがちょっと残念。

しかも、私の手元には2冊の文庫本「銀河鉄道の夜」があるのですが、
この2冊でもエピソードの並びが違っている。
賢治が遺した原稿にもいろいろな版があるようで、どれが決定稿なのかずっと定まらなかったらしい。

実は私がずっと親しんで読んできたのは、ますむらひろしの劇画版。
だから私の頭の中では、ジョバンニもカムパネルラも、アタゴオルの猫の姿だったりして(笑)



私が持っている初版は雑誌サイズでしたが、今は上のような文庫本になっていて、
初稿版と最終確定版を両方掲載しているようです。改めて読んでみようかな。


宮沢賢治は、実際に「星めぐりの歌」を作詞作曲しているんですね。
これは青木由有子さんという方が歌っていて、とても素敵な歌声です。

宮沢賢治 星めぐりの歌 (歌)



これから観る「星めぐりのうた」の中でも歌われるのかなぁ。
あっきーの声で聞いてみたい…
コメント
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