それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「ジャージーボーイズ」REDプレビュー 6/29

2016-06-30 | 舞台


ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」REDプレビュー公演  6/29(水)ソワレ シアタークリエ 10列センター

【出演】中川晃教 / 藤岡正明 / 矢崎広 / 吉原光夫 / 他

プレビュー公演なるものを初めて体験したのですが、…その半ば異様な雰囲気に圧倒されました。
開演時間にはまだ少しあって客電も落ちていないのに、場内はしーんと静まっている。
「固唾を飲む」という言葉はこういうときに使うんだな、としみじみ思い出しました。

作品そのものに思ったことは、また初日以降に記録していこうと思うので今日はこれだけ。

「あっきーではなかった」ということ。

今まで私たちが聴いていた歌い方と全然違う。「第三の声を探っている」ということはインタビュー記事で何度も読んできたし、PVやわうわうさんでのパフォーマンスでも見てきたけれど、今までが「ヴァリ度70%」とすると今日は100%、いえ120%だった。
フルコーラス歌う曲も多かったし、絶えず動いていて何度も衣装を着替えて。
カテコでは中川晃教に戻って歌ってくれて、それが何よりも嬉しくて。

この作品に主演することを知ってから、彼が如何に準備に時間をかけてきたかも解っているつもりだし、きっとプレビューを観たときは自分で泣いてしまうだろうと思っていました。
でも、泣けなかった、いえ彼の姿を見たら涙が出てきたけれど、それは作品に感動した涙なのかあっきー自身に感動したのかもう分かりません。

プレビュー初日とは思えないカテコの盛り上がりの中で、私はステージの出演者と一緒に踊りながら歌いながら、冷静に考える。
ナビザのチケットがちょっとだけ残っていたけれど、もうこの時点で完売しているだろうな…
きっとTwitterも絶賛コメントが並ぶんだろうな…

でもでも、これから千穐楽まで40公演、何があるかわからない。今の盛り上がりが少し怖い。
あとWHITE版含めて何回か通うことができる幸せを噛みしめつつ、劇場を後にしました。
祈ることしかできないけれど、これからの日々が無事で事故がありませんように。どうか。
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「ラディアント・ベイビー」 6/21 マチネ

2016-06-21 | 舞台


「ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~」 6/21(火)マチネ シアタークリエ 14列センター

【脚本・歌詞】スチュアート・ロス
【音楽・歌詞】デボラ・バーシャ
【歌詞】アイラ・ガスマン
【演出】岸谷五朗

【出演】柿澤勇人 / 平間壮一 / 知念里奈 / 松下洸平 / Spi / Miz / 大村俊介(SHUN) / 汐美真帆 / エリアンナ ほか

今までロミジュリもスリルミーもデスノートもキャスト選ばず観ているんですが、なぜかかっきー(柿澤くん)には当たらず。
今回はぽっかり予定が空き、思い立ってナビザを覗いたらわりと良席が残っていたので、「初かっきー」を観ることにしました。
ところが、今日は思ってもみないアクシデントがありました。

キース・へリング…名前とその作品のイメージは知っていても、その生涯については全く知りません。
そういう観客に配慮してか、クリエのロビーには年表が掲示してあり、客席には事前に「ラディアントベービーを100倍楽しむキーワード集」が置かれている。(これは助かりました)

一幕は、キースが生い立ちを回想する形ではじまります。舞台奥のスクリーンや可動式のパネルに映し出される映像は、なんとなく「Song Writers」っぽい。そういえば演出は岸谷さんだったなぁ…とやっと思い出しました。話が時系列に進むわけではなく、結構なスピードで展開していくので、ああーついていけないかも…と少し心配になってきます。音楽が大層なボリュームで、Spiさんやエリアンナさんの迫力ヴォーカルがズンズン響きますが、歌詞や台詞が少し聞き取りにくいのも一因かも。

そのうち、なんとなくかっきーの動きに違和感が。と言っても私は初見なので、もともとの演出なのかどうかはこの時点ではわからず。
しかし幕間を迎え、化粧室列のお喋りの中に「なんか事故ってる」というのを聞き、幕間休憩が予告もなく10分以上押してしまい…やっぱりなんかあったんだ、と確信に変わりました。

きっと客席全体がそう考えたのをかっきーも予想したのだと思います。
二幕に入ると、「なんとなく」ではなく「明らかに」右脚を引き摺っていました。段差を上るときもぴょんぴょん飛んで移動、ここから観はじめた人は「足が悪い」という設定を信じるだろうというレベル。

ただここからが凄かった。わちゃわちゃしていた一幕からのリズムを変えたのは、子役ちゃんのお歌でした。あそこで男の子がまっすぐな歌声を響かせたらずるいよね…
自分の死期を悟ってからキースが何を考えて何を遺したのかを、ありえない熱量で迸らせるかっきー。オペラグラスを通さなくても、汗と鼻水で丸眼鏡の奥がぐしゃぐしゃになっているのが見える。それを真正面から受け取る観客、板の上でフォローする共演者、もうそこにいるのはかっきーが演じるキースなのかかっきー自身なのかわかりません。もう「スゴイもん観た」としか言えない。
演劇って「フィクション」を観るものですが、今日ここで観たものはそのフィクションを超えておりました。

ソワレでは演出の岸谷さんから演出の変更があるとの説明があったとか。「SHOW MUST GO ON」の言葉の意味を感じます。
私のような「ぼーっとした一見さん」の観客にとっては良かったのか悪かったのかわからないけれど、実に得難い体験をさせていただきました。




蛇足ですが。
私はあっきーファンなので、アクシデントが起こる前からなんとなく「ここあっきーが演ったらどんな感じかな」と考えながら観ていました。役柄的にも違和感ないし、来年はかっきーとダブルの舞台もあるのでついつい考えてしまいます。
だから今回のことはもうヒトゴトとは思えず、もちろんナマの舞台にはあり得ることではあるけれど、心配がつきません。

この作品も前々から「こんな大変なのマチソワでやったらかっきー死ぬよね」という呟きが流れてました。シロートでさえそう思うんだから運営側も百も承知なわけで、きっとあらゆるセイフティを張りに張って本番を迎えているはず。
でも事故は起きるときには起きる。
「主役なのにシングルキャストで40公演なんてあっきー喉つぶれるよね」…以下同文。
私たちにできることは本当に何もないのが悔しいけれど、せめて無事に上演できるように祈るしかありません。
どうか全ての舞台人に幸せが降りてきますように。
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「ジャージー・ボーイズ」を予習する(映画篇)

2016-06-19 | 舞台


私が最初に映画館で「ジャージー・ボーイズ」を観たのは、2014年11月。
そのときの感想は → ここ ですが、そのときはまさかこの作品にあっきーが主演するなんて思ってもみませんでした…
いえ、「舞台版を日本でやるなら主演は誰になるのかな?」ぐらいには思っていたかもしれません。

東宝のサイトで日本版が上演されることが発表されたのが、2015年7月。
あっきーは、8月の豊明「THE WIZ」の後に開かれたお茶会で、本国のオーディションがとても大変だった話をしてくれました。
この頃から私たちは期待で胸がパンパンになり、スケジュールはいつ発表?他の共演者は?地方公演はないの?とわくわくしっぱなし。チケ代のために貯金に励んでお財布もパンパン…にはならなかったけれど。
それから「グランドホテル」が上演されたり、10年ぶりのスタジオ録音アルバムが発売されたりと、あっきーも私たちも多忙を極めました。

そして今、私の手元には「ジャージー・ボーイズ」のチケットがずらりと揃っています。
初めてこの作品の映画版を観てから、実に2年越し。
期待しすぎてしまうのはちょっと怖いけれど、でもやることはやっておかなければ。プレビューの日を間近に控え、映画版をもう一度観て予習中。

この映画は「ザ・フォー・シーズンズ」になぞられて、春夏秋冬の4つに分かれ、カメラの前の観客に話しかける形式になっています。
一幕は春と夏、グル―プが結成されて上り詰めていく経緯を、二幕は秋と冬、その栄光の陰での確執と転落を。
映画版がどの程度反映されるのかわからないけれど、これまで各所で語られているインタビュー記事などを総合すると、この構成は守られるのかな。
映画もとってもドライで淡々としていますが、舞台も「泣かせどころはない」とのことなので、空気感もそうなると予想。

淡々とはしていますが、映画版では随所に印象的な台詞が出てきます。
キャストの中で私が大好きなのはジップ・デカルロ。マフィアのボスですが、フランキーの才能を早くに見つけます。
冒頭の「君の声は神からの贈りものだ」という印象的な台詞に始まり、「My Mother's Eyes」では彼の歌に感動して涙を流す。
この貫禄十分でありちょっとカワイイ役を、映画版ではクリストファー・ウォーケンが渋くてカッコよく演じていますが、舞台版では阿部裕さんがチラシでも渋くキメているので期待大。
あとボブクルーがちょっとオネエな設定は生きるのかな。こちらも楽しみ。

映画版の予習として、もうひとつ、こちらも聴いてます。


ジャージー・ボーイズ オリジナル・サウンドトラック Soundtrack


私は国内盤を買いましたが、これは大変お得でした。オリジナルのフォー・シーズンズの曲と、映画版の曲が混在していて、聞き比べができます。本物のフランキーヴァリのヴァリ声がランダムに聴けるのはすごく良かった。
しかも日本語での曲目解説が充実しているし、英語詞も全曲掲載されているし、英語難民のワタクシには日本語訳詞と比較するときにとてもよいお助けになりそう。
開幕までの10日間、お出かけのお伴にして予習に励みたいと思います!
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宝塚歌劇星組「こうもり/THE ENTERTAINER!」 6/14

2016-06-15 | 舞台


宝塚歌劇 星組公演 6/14(木)ソワレ 東京宝塚劇場 B席2階12列センター 

「こうもり ~こうもり博士の愉快な復讐劇~」-ヨハン・シュトラウス二世 オペレッタ「こうもり」より-
【脚本・演出】谷 正純
ショー・スペクタキュラー 「THE ENTERTAINER!」
【作・演出】野口 幸作

タカラヅカは数年に1回ぐらいしか観ませんし、観るのもベルばらかエリザぐらい。
そんなワタクシですが、とある目的を持ってお一人様ヅカ観劇してまいりました。
席は例によって2階の後方席。意外に慣れた感じの男性や女子高生が多いのにビビりました。
(私は出演者の中で知っているのは北翔海莉さんのみなのに…申し訳ありません)

「こうもり」は、思っていたよりはるかにドラバタ劇でしたが、いろんなパターンの酔っ払い芸が見られて面白かったです。
んで「こうもり」の感想は今日はこれぐらいにして

そう、今日の目的のショーのほうです。あっきーの「マタドール」がショーの曲で使われているという話を小耳にはさみ、「記念に観てやるか」ぐらいの気持ちで行ったのに…なぜか緊張しているワタクシ。

予習と思って覗いた公式サイトによると、「THE ENTERTAINER!」は「トップハット、ケーン、羽根扇、大階段といった定番アイテムをすべて詰め込んだショー」だそう(ケーンってなんだか知らないけど)。
キラキラでヒラヒラなシーンが次々と展開され、フラミンゴのような初舞台生によるロケットダンスも登場、これはフォーメーションが複雑で2階席から観て楽しめました。

「マタドール」はいつ出てくるんだろ…「中詰めの総踊り」ということも聞いていましたが、なんせ「なかづめ?そうおどり?」という状態なので気が抜けません。でも衣装がスパニッシュっぽくなり、そろそろかな…と思っていたら、
♪燃えるさかずき 恋を賭けた~ キタ~!
北翔さんのソロから始まる「マタドール」はかなり早いテンポでノリノリなアレンジ、さらに転調して盛り上がるときには広い舞台に全員が揃います。ああこれが「総踊り」なのね!

もう感無量という以外に言葉が浮かびませんでした。
だって、星組の方々総勢80名が、全員で「ガッツ秘めてゆく」って歌ってんですよ!
しかも総踊りの後は二番手さんが英語詞の♪Te quieroまで歌ってくれて、これを「作曲者冥利に尽きる」と言わずしてなんと言おう。(いや私は作曲してないけど

他にも北翔さんのピアノ弾き語りもあったり、曲も「ショウほど素敵な商売はない」「キャラバン」「ジュピター」「TAKE FIVE」など耳馴染みのよい曲が多くて、北翔さんの素晴らしい歌唱力が楽しめました。
久しぶりの宝塚劇場の雰囲気もよかったよ~

今年で退団ということで、あっきー曲が宝塚で使用されるのはもしかしたらワンチャンスだったのかもしれませんが、誇らしい気持ちでいっぱいになりました。私の作曲ではないけどね。
北翔さん本当にありがとうございました。これからもご活躍くださいね。
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これからのあっきー予定を考える【6月中旬現在】

2016-06-12 | 日記
6月ももう中旬、今は「ジャージー・ボーイズ」のお稽古真っ最中ですよね。
他の出演者さんの日記や呟きなどから、とても大変そうな様子が伝わってきます。お稽古もREDチームとWHITEチームに分かれているそうで、両方のお稽古を行き来するのは「グランドホテル」のシングルキャストさんのような忙しさかな?

そしてJB後の予定も続々と。
9月のフォーラムCライブは「All Time BEST」として久しぶりのバンド形式で。今までの曲を新しくアレンジしてくれるといいなぁ。
お稽古期間を考えるとさすがにもう打ち止めだろう、と思っておりましたら、11月の「岩谷時子メモリアルコンサート」に出演との情報が出てきました。他にもプチ遠征物件があるみたいだし…

これはもう「(リハ半日本番1日として)1.5日空いてたらスケジュール埋めなくては死んでしまう病」に罹患しているものと思われます。
こうなったら12月に「THE WIZ」を無理くり入れるとかどうでしょうか?ぜひぜひ



【終了公演】
5/5~8  グランドホテル(梅田芸術劇場メインホール)あっきー出演は 5/6~8

5/11 中嶋朋子が誘う 音楽劇紀行 第一夜 バロック・オペラからミュージカルへ ~音楽劇の歴史を追う 声の物語化~(HAKUJU HALL)

5/14 KIRIN BEER "Good Luck" LIVE

5/18 中川晃教 LIVE 2016 in OSAKA(Billboard Live OSAKA)
5/19 中川晃教 LIVE 2016 in NAGOYA(名古屋ブルーノート)

6/6 THE SOUND OF SHIMAKEN ~66th Anniversary Concert on 6.6(東京芸術劇場コンサートホール)

【これからの公演と出演予定】 

6/13 第70回トニー賞授賞式生中継ゲスト(WOWOW)
6/27~7/8 ラジオオーディオドラマ「青春アドベンチャー・1492年のマリア」出演 
6/29~30 ジャージー・ボーイズ プレビュー公演 (シアタークリエ)

7/1~31 ジャージー・ボーイズ(シアタークリエ)

8/8 中川晃教フルオーケストラ・プレミアム・コンサート(サントリーホール 大ホール)
8/26 中川晃教弾き語りコンサート2016(HAKUJU HALL)
8/27 FCイベント
8/28 中川晃教弾き語りコンサート2016(HAKUJU HALL)

9/18 中川晃教 15th Anniversary Live 「I Sing ~Crystal~」(東京国際フォーラムC)

11/3~6 マーダー・バラッド(兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)
11/7 岩谷時子メモリアルコンサート(中野サンプラザホール )
11/11~27 マーダー・バラッド(天王洲銀河劇場)

2017年
1月 フランケンシュタイン(日生劇場)
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「高台家の人々」

2016-06-11 | 映画


「ごくせん」「デカワンコ」などで知られる漫画家・森本梢子の人気作を実写化したロマンチックコメディー。妄想癖のあるOLとテレパシー能力を持つエリートサラリーマンの恋を、彼の家族との騒動を交えながら映す。メガホンを取るのは『謎解きはディナーのあとで』シリーズに携った土方政人。『映画 ひみつのアッコちゃん』などの綾瀬はるかが主演を務め、『虎影』などの斎藤工をはじめ、水原希子、間宮祥太朗、大地真央、市村正親らが名を連ねる。大笑いしながらも、さまざまな障害を乗り越えていく主人公たちの姿に胸を打たれる。


本当は「ヒメアノ~ル」が観たかったんだけどなぁ…
時間帯が合わずにこちらを鑑賞。

ということで原作どころか全くの予備知識ゼロでしたが、導入部分がすんごい笑った!
平凡なOLの木絵はすぐに「妄想」してしまうのが癖で、のっけから超エリートの高台光正を近衛兵にしたり騎士(ナイト)にしたり。その描写が濃すぎず薄すぎず、また演じているのが斎藤工で、ちょい胡散臭いイケメンって設定にハマりすぎ(褒めてます)。
でまた会社の上司役の塚地武雅が妄想の中でいろんなキャラに変身するんだけど、これが一番笑えました。やりすぎ。

そんな感じで設定がぶっ飛んでいるので、「なぜ超エリートイケメンが平凡OLをいきなり好きになるのか?」とか「そもそも事務職OLの給料であんな広い部屋が借りられるのか?」とか、はじめはモヤモヤした疑問(というか私だけのヒガミ)も薄れてきます。
いいよね、妄想さえしてれば隣を歩いているイケメンエリートが「くすっ」と笑ってくれてラブラブになっちゃうんだもんねぇ…いいなぁ…

でもこの映画のタイトルは「高台家の人々」。「テレパスに惚れられたワタシ」ではありません。
木絵は結婚の許しを得るために、高台家を訪問し家族と出会います。で、弟が間宮くんで妹が希子ちゃん、間宮くんはすごくミステリアスな雰囲気なのに気品があってカッコよくて、それだけでもうオナカイッパイなのに、母が大地真央さんで父親が市村さん。
特にこの母役の大地さんがそれはそれはお綺麗…というか、お着物の着こなしやドレスを着たときの姿勢など、圧倒的。
テレパスの血を引く血筋って感じよね、と感心していたら、あとで映画公式サイトの家系図を見たら血筋を引くのは父親の市村さんでした。そうなのか…

後半は代々の高台家の恋模様の話にうつり、テレパスであるがゆえの苦悩、それを乗り越えたエピソードが「おばあさまからの手紙」に集約されますが…うーん、私は少しシラケてしまったかな。
誰だって(例え生涯を共にする恋人にでさえ)、心の奥は読まれたくないというのは真っ当な考えだし、それでは常に相手に優位に立たれてしまう。テレパス側も「心をあえて読まない」技術を持たないのか?とここへ来て現実に立ち返るワタシ。やっぱりヒガミかも。

美術や衣装など、全体のセンスはとても好きでした。あと坂口健太郎とか夏帆ちゃんとかのキャスティング、適材適所でよかったです。
でもやっぱり「ヒメアノ~ル」が観たかったなぁ
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「THE SOUND OF SHIMAKEN ~66th Anniversary Concert on 6.6」 6/6

2016-06-07 | ライブ


THE SOUND OF SHIMAKEN ~66th Anniversary Concert on 6.6
6/6(月) 18:30~ 東京芸術劇場コンサートホール 3階K列センター

【出演】 島健 / 東京ニューシティ管弦楽団
【ゲスト】井上芳雄 / 加藤登紀子 / 川井郁子 / 島田歌穂 / 中川晃教 (50音順)

「シマケンさん」こと、島健さんのアニバーサリーコンサートです。
(ご本人は「シマケンと呼ばれていますが本当はシマ・ケンです」と仰っておりました。苗字と名前の間は一拍置きましょう)

この日、2016年6月6日で66歳のお誕生日を迎えるとのこと。
しかもゲストの井上芳雄さんは今36歳で、6月6日がデビュー記念日で16周年になるとか。でもってこのコンサートのA席は6600円!
ですが諸事情のため私はB席、3階の最後列の席でした。
ここからはるかかなたの舞台を見下ろすと吸い込まれそうになりますが、3階席界隈はあっきーファンも多くて落ち着けました。

第一部は、島さんのピアノ曲やゲスト川井郁子さんのバイオリン曲など。
失礼ながら島さんは舞台音楽専門かと思っておりましたが、もともとがジャズの方なんですね。多彩な活躍分野にぴっくり。
川井さんとのピアソラ組曲がよかったなぁ。

島さんは、司会ももちろん、プログラム全曲のアレンジ、ピアノを弾きながらの弾き振りと、お誕生日なのに忙しそう。お話ぶりからもお人柄の良さが伺えます。「これから演奏する組曲は4楽章までありますが楽章ごとに拍手しても大丈夫ですからね~」とか気遣ってくれて、とても頼もしいです。


第二部で最初に登場したのは、あっきーでした。
紺色のジャケットは襟がパイピング付で、白いシャツに黒の小さなタイ。格式のある衣装でしたが、見た瞬間「え?高校の制服?」と思ってしまいました…

というのは、髪がびっくりするぐらい短くなっていたから!全体的にふんわり&前髪を厚く下ろしていて、思い浮かんだのは「あらしのまつじゅんみたい…」(大いなる勘違いしてますファンの方すみません)
いやーなんか「可愛い」を通り越してしまったイキモノが表れたようで、私のお目目もパチパチに

これはジャージー仕様?本番ではオールバックにしてカチカチに固めるのかな?でも本番までまだ少し時間もあるし早すぎない?いやいや13日にわうわうで生出演するときもカチカチに固めてんのよきっと!
…と妄想が頭を駆け巡っているうちに、ステージではあっきーと島さんのトークが進んでいました。

島さんとあっきーの馴れ初めは、デビューアルバムまで遡るとのこと。スタジオミュージシャンだった島さんは誰の曲だかはっきり認識していなかったそうですが、あっきーは「この風貌は一度見たら忘れませんよね」とちょい失礼な発言を挟みつつ、「フタツ、ヒトツ」のピアノ演奏で縁が持てたことを紹介していました。
ソロ曲は当然ながら「Can't take my eyes off of you(君の瞳に恋してる)」。この曲をフルオケで歌うのは、去年5月の「ミュージカル・ミーツ・シンフォニー2015」以来かと記憶しますが、磨きがかかってたなー。サビ部分の迫力がすごかった。

続いて落ち着いたスーツで登場した芳雄さんによる「最後のダンス」、今日の死神は礼儀正しそう。相変わらずトークが面白いです。一旦ハケると見せかけて、島さんが「せっかく二人が揃っているから」と促してあっきーを呼び込み、そして「僕こそ音楽」のイントロが流れて…

私は初演のM!は井上版しか観ていないし、それほどの思い入れはありませんが、「井上芳雄と中川晃教が一緒のステージで『モーツァルト!』の楽曲を歌う」ことが、どれほど奇跡的で大きな意味を持つか…は十分理解できます。みんなが待っていた瞬間でした。
♪ぼく・こ・そミュージック~ のフレーズ最後の綺麗なハーモニー、芳雄さんがハモる方だったこと、あっきーは相変わらず♪ミュージック~の最後に「ック」って子音を強調したこと、何もかもに感激しっぱなし。
お互いに見つめあい、少しずつ立ち位置の距離を縮めながら歌う二人の間には、きっと私たちにはわからない葛藤があったのだろうと想像します。でも二人ともM!を卒業したからこその今日であったのだろうとも。

そしてもう1曲ということになり、「ここにコンスがいれば歌えるのになぁ」と請われて登場した島田歌穂さんとの「愛していればわかりあえる」。
これはアレだよね、会場中の女子全員が心の中で「歌穂さんそこ代われ」と叫んだよね…
確かに歌穂さんは何度も「幸せですっ」と言ってました。本当に歌穂さんと代わって二人の間に挟まったら、私なら即刻昇天

サプライズゲストのJUJUさんの「It Don't Mean A Thing」、加藤登紀子さんの貫禄ある「百万本のバラ」と「愛の賛歌」も素晴らしかったけれど、
この日一番印象的だったのは、アンコールのピアノ曲「星に願いを」でした。クリアで華やかな島さんのピアノを堪能できました。

6名のゲストから11本ずつの薔薇の花束をもらい、それでも謙虚な姿勢の島さん。
あっきーはご挨拶の最後に「音楽を愛しています!」と実に嬉しそうに言っていましたが、島さんこそ、音楽に愛されている稀有な存在ですよね。
いつまでも第一線でご活躍されますように。

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「海よりもまだ深く」

2016-06-05 | 映画


『海街diary』などの是枝裕和監督が、『奇跡』以来の阿部寛と樹木希林とのタッグで、なかなか大人になれない男の姿を描く感動のホームドラマ。小説家になる夢を諦め切れないまま探偵事務所で働く男が、たまたま実家に集まった母、元妻、息子と台風の一夜を過ごすさまを映す。阿部と樹木のほか真木よう子や小林聡美、リリー・フランキーらが共演。思っていた未来とは少し違う現実を生きる家族の姿が印象的につづられる。


「海街diary」を思い出すような、是枝監督らしい映画でした。

登場するのは、人生がなかなか上手くいかない人ばかり。主人公の良多は「文学賞で入賞した」という過去の栄光が忘れられず、今の立場は「仮の姿」であると自分に言い聞かせながら生きている。
そんなどうしようもないダメ男に愛想を尽かせて離婚した元妻、思春期の入り口にいる息子、つかず離れずで見守る母親と姉、素晴らしいリアリティを持って男の回りを取り囲みます。

「海街diary」がそうであったように、劇的に何かが変わるわけではない。この映画の粗筋では「台風の一夜を過ごす夜を超えて」というキーワードが出てくるけれど、だからといって夫婦の仲が戻るわけではなく、良多が突然改心するわけでもない。
会話の端々に「お父さん」の話が出てきます。回想シーンも遺影もないのに、この良多の父親に関する圧倒的なエピソードから「こういう父親ならばこういう息子ができても仕方ないな」と、私たちは半ば同情的になる。具体的な映像イメージがないから余計に同情するのかもしれません。

何より印象的だったのは、母親が住む「団地」の描写と、登場人物が食べている「食事」でした。これも「海街diary」で姉妹が住む古民家がものすごい存在感を持っていたのと同じ。団地の狭さを語るとき、冷蔵庫の扉がいい芝居をします。
そして、どの場面も必ずと言っていいほどみんな食べる食べる!一口かじっただけの大福、カルピスを凍らせたシャーベット、探偵事務所で食べるスナック菓子、喫茶店で注文するコーヒー、たまにしか会えない息子との昼食はマックではなくモスバーガー、ビニール袋に残っていた湿気ったお煎餅まで。ひとつひとつの食事に意味が込められています。
急に家族が泊まることになったときの夕飯は、冷凍してあったカレールーを使ったカレーうどん。「こういうこともあるかと思って」と言わんばかりにお味噌のケースに冷凍してあったんですよね。これは実に美味しそうでした。
「誰と、いつ、どこで、何を食べるか」ということは、人生そのものであり、人生最大の需要事案なんだよね。

阿部ちゃんが団地の小さな浴槽に長身を押し込める場面も笑いましたが、やっぱり樹木希林さんが主演女優賞モノでした。奔放な夫を持ち、ここまでさぞ苦労を重ねてきただろう彼女が吐く台詞は、重い人生訓のようにも聞こえますが、樹木希林さんが言うと「そうかもしれないけどそうでないかもしれない」と思わされる。
映画の題名は、テレサテンが歌う「別れの予感」の歌詞から取っています。「海よりもまだ深く空よりもまだ青く、あなたをこれ以上愛することなんて私にはできない」というド演歌の世界ですが、これを「そんなに深く人を愛したことなんかないから生きていけるのよねぇ」とサラッと言われると、だよねぇ、でもそうありたかった気もする、ってこのお母さんと一晩語り明かしたい気持ちになる。この母親役がもし吉行和子さんだったり吉永小百合さんだったりしたら別物の映画になってしまいますよね。絶妙でした。
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