それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「屋根の上のヴァイオリン弾き」3/24 マチネ

2013-03-27 | 舞台


ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」
3/24(日)マチネ 日生劇場 1階A列サブセン通路脇

【台本】ジョセフ・スタイン
【音楽】ジェリー・ボック
【作詞】シェルドン・ハーニック
【オリジナルプロダクション演出・振付】ジェローム・ロビンスト
【日本版演出】寺秀臣

【出演】市村正親 / 鳳蘭 / 水夏希 / 大塚千弘 / 吉川友 / 照井裕隆 / 入野自由 / 上口耕平 / 鶴田忍 ほか

日本初演は1967年…ですが、私は今回がはじめて。
「そのうち観る機会があるだろう」とは思いつつ、
きっと古臭い話なんだろな、と敬遠…というか食わず嫌いしてました。
だから殆ど予備知識なく、新鮮な気持ちで観ることができた。
どれぐらい予備知識がなかったというと…
粗筋を読むまでは「あれ?主人公の職業ってヴァイオリン弾きなんじゃないの?」って思ってたぐらい(爆)

でも、「なぜヴァイオリン弾きなのか」は、冒頭で明かされます。
「アナテフカのユダヤ人は皆、"屋根の上のヴァイオリン弾き"みたいなもんだ。
落っこちて首を折らないよう気をつけながら、愉快で素朴な調べをかきならそうとしている」
敬虔なユダヤ教の信者として「しきたり」を守りながらつつましやかな日々を送っている貧しい農村の人々を、
そのヴァイオリン弾きは常に屋根の上から見守っている。
ちょっと「運命さん」を思い出しました。

で、このしきたりが「へーっ」と思われるものばかり。
家に出入りするときに、ドア外枠に貼り付けたお守りのようなものにいちいち触れてその手に口づけするとか、
安息日はきれいな恰好をして決められた手順でお祈りをするとか、
結婚式の儀式、司祭の存在、などなど。
その辺は公式サイトのトリビアに詳しく書いてあった。
読んでから観に行けばよかったよ…

派手なダンスや渾身の歌ナンバーは少ないものの、
やはり長く上演し続けているだけの意味はある。
故郷を追われても前を向き続ける彼らの境遇は、故郷に帰れない東北地方の人々のことが思い出されました。
語り継がれるべき普遍のテーマを持つ、素晴らしい作品だと思います。

キャストとしては…ほぼテヴィエ(市村正親)の一人舞台でした。
圧巻とか、見事とか、そんな言葉しか思い浮かびません。
他の人が演じるのが考えられないよ!
なもんで、ちーちゃん(大塚千弘)が出ていることも幕間まで気がつかず(爆)
ツレさんとの夫婦コンビもいい味出してました。
途中から代役登板したというモーテルの照井さんも、人柄がにじむような存在感だった。
あと入野自由くんは「みゆ」と読むことを初めて知りました!

ここんとこ観ていた作品よりも出演者の平均年齢がぐっと高かったんだけど、
それに比例したからか、客席もそれなりに人生の先輩が多かったです。
ご夫婦でいらしている方もちらほらと。
日曜だったせいもあるでしょうが、客席も埋まっておりました。
演劇業界がなんとなく元気がない昨今、
こういう上の世代にも受け入れられる作品も多く上演してほしいです。
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記念日・6周年

2013-03-17 | 日記
(以下妄想が激しく炸裂していますが、それでも大丈夫な方のみお読みください。5周年記念日の日記 → ここ






「ねーねー、今日って何の日だか覚えてる?」

「えー3月17日でしょ?…わかんないなぁ」

「もうっ!私たちが初めて出会った日じゃないのよっ!ほら、6年前に日生劇場の『TOMMY』で!」

「そうだっけ?…僕、記念日とか苦手なんだよね、全然覚えられなくて」

「…そうよね、この前のホワイトデーも忘れてたしね」

「…わ、忘れてたってわけじゃないよ、ブログにも書いたでしょう?」

「あのねー、ホワイトデーってのは『バレンタインにチョコくれてありがとう』って日なの!意味分かってないし」

「仕方ないよ、今はお稽古とかコンサートのリハで忙しいから」

「まあ前からそうだし、わかるけどね。でも新しいファンの人だっているからさ」

「って言うか、そっちこそ最近冷めてるよね」

「(ドキッ)…そ、そうかなぁ(汗)」

「『White』のDVDだって、買ったきり一度も観てないでしょ?せっかくサインまでしてあげたのに!」

「ご、ごめん」

「銀英伝の舞台だってチケット1枚しか買ってくれなかったよね」

「それこそ仕方ないわよ、だって2月に散財しちゃったんだもん!『モーツァルト』で貯金も体力も使い果たしたんだから」

「…えっ、そんなもんなの?」

「6年もやってんだもん、私だって配分ってもんを考えるわよ。じゃなきゃ続かないし」

「なんか寂しいなぁ(ズズッ)」(←お茶を飲む)

「まぁいい所も悪い所もあるけどさ、長く続けたいのよね(ズズッ)」(←お茶を飲む)

「そうだよね、これからもよろしくね(トポポポ…)」(←お茶を継ぎ足してあげている)

「長い付き合いになるとみんなこんな感じだと思うけど。でももう情が移ってるしさ(ズズッ)」(←継ぎ足されたお茶を飲む)

「あっ、そういえばコクーンの振り込み案内送っといたから、忘れないでねっ」

「…」



お目汚し失礼いたしました。
来年も無事に記念日が迎えられますように(祈)

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シアターコクーンに立つということ

2013-03-12 | 日記
ずっと前から贔屓にしている俳優さんが、常々言っていること。

「いつかはシアターコクーンの舞台に立ちたい」

ミュージシャンが「いつかは武道館」と目標を持つように、
役者にとってはコクーンが目標なのかもしれない。
確かに、シアターコクーン、文化村という名前の響きからして、なんだか高尚な香りがします。

と言っても、施設そのものが使いやすい…というわけではない。
バルコニー席の見切れ具合と言ったらハンパないし、
客席ホワイエはそれほど広くないし、
一度入場すると携帯が全然繋がらない。
しかも、渋谷駅からコクーンまで歩く道程がちょっとコワイ(汗)
でも幾度となく訪れる機会もあり、好きな劇場です。

で、話はあっきーコンサートにつながりますが…

中川晃教コンサート2013 『I Sing』(キョードー東京の案内ページ → ここ
ミュージカル界の貴公子、中川晃教があの Bunkamuraシアターコクーンに初登場!
ミュージカルでも演劇でもない、自身の原点であるシンガーとして…。


このツッコミどころが満載の煽り文句でも、「あの」シアターコクーン、ってことになっている。
役者として立ってほしかった気持ちもあるけれど、こういう形で立つこともあるのか。
そもそもコンサートをコクーンで?というところから疑問符が浮かびますが、
8月にはESCOLTAもライブをやる予定らしい(関係ありませんが、私は今まで「エルコスタ」と覚えてました。)
しかもこのライブ、フォーリズムって言ってたからバンド形式だよね(このフォーリズムという言葉も初めて知りました。)

キャパは渋谷AXと同じぐらいということですが、、、
きちんと埋まりますように(祈)
その前に自分が申し込まなきゃね!
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「ハハとアキボンのワンダフル・コンサート」 3/9

2013-03-11 | ライブ
ハハとアキボンのワンダフル・コンサート
3/9(土)15:00~ 川口リリア・音楽ホール E列センター

【出演】郡愛子(歌・司会進行) / 中川晃教(歌・ピアノ) / 松本康子(ピアノ)



川口リリアは、「街の音楽堂」という言葉がピッタリなホールでした。
客席にはあっきーファンだけでなく、地元の方や郡さん関係の人も多かったようだったし、
舞台後方にパイプオルガンを擁し、アットホームな雰囲気。
っていうか「ハハとアキボンのワンダフル・コンサート」ってネーミング自体が牧歌的(笑)

ゆるい感じで始まった第一部は、
お二人の出会いのきっかけとなったミュージカル「キャンディード」より何曲か。改めて難曲ぞろい。
ノンマイクで歌う郡さんのMEZZO-SOPRANOはさすがに朗々としていました。
(あっきーの譜面台の下のほうにマイクのようなものが見えたけど、あれは少し拾っていたのかなぁ)

MCもまた暖かい空気満載。
郡さんが演じた「Old Lady」という役は、衣装も茶色や灰色の地味~な色で…という話のときに
あっきー「そういう色、アースカラーと言ってください」
郡さん「アース?蚊取り線香?」
ってな感じで、しかも郡さんはあっきーのツッコミを放置してさっさと次へ進めてしまう(笑)
非常に懐が大きく、「ハハ」と呼ぶに相応しいおおらかな人でした。

でも強く印象に残ったのは二部の後半から。
まさかの「北の宿から」をあっきーが歌うなんて…

だって今時、「着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでいる」女なんて、探しても絶対見つからない。
名曲ではありますが、この前時代的でど真ん中な演歌をこの人が歌うとこうなるんですね。
静謐なピアノのアレンジとも相まって、雪国に降りしきる吹雪が見えるような。
続く郡さんの「リンゴ追分」も、舞い散るリンゴの花びらが目の前に絶対見えた!
歌って、風景を描くことができるよね。

この日の舞台上には、テーブルと椅子が2客置かれていました。
ひとりがソロで歌っているとき、もう一人はそのテーブルに座りお水など飲みながら聞いている、という進行。
郡さんが「リンゴ追分」を歌っているとき、あっきーは自分も首を振りこぶしを回している。
この「人が歌っているのを聞いている」あっきーを垣間見るのも面白かったんですが…

それは、最後の郡さんソロ「これ以上の愛は」のときでした。
邦題は「別れの曲」ですが、郡さんが書いた日本語歌詞は「天国で再び会える」という美しい歌詞。
(記憶が曖昧で申し訳ありませんがおおよそそんな意味だったような)
あっきーは突然白いタオルハンカチを取り出した。
汗を拭くのかな?と思ってなんとなく見ていたら、それはそれは溢れる涙、と鼻水(笑)
「目を潤ませていた」というレベルではなく、5列目の私から見てもはっきり見える涙の筋。
これはもらい泣きするよね…

ポピュラーウィークもそうだけど、こういうライブは「めったに聞けない」という曲があるから楽しいです。
他にも郡さんと一緒にやりたかったことがあるようで、
客席のリリア関係者に向かって、「次ももう1回」てなことも言ってました。
ぜひお願いしたいです…川口は遠いけどね(汗)



【セットリスト】
(第一部)
1. 花 … 郡・中川
2. 人生とはこんなもの(「キャンディード」より) … 中川
3. 私は何にでもすぐ染まる(「キャンディード」より)… 郡
4. ああ、幸せな二人(「キャンディード」より) … 郡・中川
5. ONE HAND,ONE HEART(ピアノ演奏)… 松本
6. バラ色の人生 … 郡 
7. そして今は … 中川
8. マイ・ウェイ …郡
9. 春 … 中川(弾き語り)
10. 夜明けのうた … 郡・中川

(第二部)
1.  I WILL GET YOUR KISS … 中川
2. おかあさん … 中川
3. パパ、聞こえる? … 郡
4. 北の宿から … 中川
5. リンゴ追分 … 郡
6. HAPPY DAY(「トルコ行進曲」より) … 中川
7. うつくしい日々(「レクイエム」"Lacrimosa"より~作詞:中川晃教) … 郡・中川
8. 終わりのない愛(「白鳥の湖」より) … 中川
9. これ以上の愛は(「別れの曲」より~作詞:郡愛子) … 郡
10. 谷間の風(「新世界より“家路”」から~作詞:中川晃教) … 郡・中川

(アンコール)
1. Amazing Grace
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「POPSSIC」を応援したい

2013-03-08 | 日記
今テレビなどでちょっと話題になっているフレーズをご存知でしょうか。
そうそう、あの予備校教師がドヤ顔で叫ぶ、

「じゃあいつやるか?今でしょ!」

っていうのを聞いてふいに思い出したことがあるんだけど。

5日の山野楽器ライブで、あっきーは客席にこう聞いていました。
「『モーツァルト』を観たのがきっかけで今日来た人いますか~?」
でもそれが期待したほど手が上がらず…だったのですが。

遡ること2週間、「ロックオペラモーツァルト」の東京前楽あたりの日。
Twitterでこんな呟きを見かけました。
「中川さんのことを初めて見て、CD発売しているのも3月にインストアライブがあるのも初めて知ったけれど、
応募の締切が昨日だったから間に合わなかった。せめて初日にCDのチラシを入れてくれればよかったのに!」

私は「この人に私の当選券を差し上げたい!」とほんの3秒ぐらい考えました(すぐ撤回したが)。
確かにオーブではCDを発売するコーナーがなかったし、
プレビューの日と初日には「POPSSIC」のチラシは確か貰えなかったはず…
だから、あっきー初見だと山野ライブには参加できなかったんじゃないかと推察。

これはとても残念だった。
だって、舞台や映画を観て「なんか気になる~」と思ったら、
最初に起こす行動って「とりあえずCDを買う」じゃないですか!
そして、CD聞いたそのあと生歌聞いたらもうイチコロ(死語)
同じ道を辿って、今こうして栄えある「あっきーバカ」と相成った私が言うんだから
間違いありません!

まあ要するに「こういうことはタイミングが大事だ」ってことが言いたいんだけど、
私が言わなくたって、あっきーサイドでは百も承知だよね。
というわけで、ライブ終了時に「ツイッターなどで宣伝してください!」との指令を出してました。
はいはい、わかりましたぁ…って、私はそこですぐスマホ片手にバシバシ呟く瞬発力はないので
こうやってネットの僻地でだらだら書いているのですが。
(あ、カスタマーレビューも書きました!)

正直、根がひねくれてっていうか天邪鬼なものなので、
「宣伝してください!」とか言われると「…って言われても(汗)」としり込みするのも確か。
ステマじゃないかと思われるのも嫌だし、
まず公式サイトをもっと充実させるのが筋じゃないか?と責任転嫁してみたり。
今は情報の積算量がモノを言う時代だから、
とりあえず「POPSSIC」という単語を広めるのが手っ取り早いのか。

それでもこのアルバム、曲順もジャケ写真も、値段がお手頃なのも大好きです。
お友達にオススメもしやすいしね。
瞬間最大風速ではなく、長く長く売れ続けていくように、
及ばずながら私も少しずつお手伝いいたします。本当に、本当に微力ですが。
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中川晃教「POPSSIC」発売記念ミニライヴ&握手会(銀座山野楽器本店)  3/5

2013-03-06 | ライブ
中川晃教 『AKINORI NAKAGAWA CONCERT 2012"POPSSIC"』発売記念ミニライヴ&握手会
3/5(火)18:30~ 銀座山野楽器 本店7F イベントスペース“JamSpot”

【出演】中川晃教(Vocal) / 榊原長紀(Guitar) / 大坪正(Piano) / 西方正輝(Cello) 

山野楽器さんでCDを購入した人対象に、抽選でご招待のライブです。
私は締切ぎりぎりの応募だったのに何故か当選したので行ってまいりました。
倍率低かったのか?と思いましたが、150名定員のところ300名の応募があったとか。
このCDも追加オーダーが相次いでいるそう。

サポートの西方くん、さかきー、大坪さんに続いて現れたあっきーは、
とても大人っぽく、男っぽい雰囲気でした。
少しくすんだ感じの黒色長袖ニットに、黒のレザーパンツ、胸元にシルバーのアクセサリとブレスレット。
髪はひっつめて後ろで1回まわしてひとつに結わえている。

ちょっと前、あの熱狂の舞台の上に立っていた人だ。
やんちゃでキュートなモーツァルト、
内に秘めたる感情を突然爆発させるサリエリだった人だ。
なのに今日、ここにいたのは紛れもなく「中川晃教」で、それぐらい素の顔だった。

はじめは「ビリージーン」「I WILL GIVE U WHAT U WANT」2曲続けて。
(この2曲は絶対続けなくちゃね)
のっけからフェイクが多めで、ギターのリフもCDより効かせている感じ。

その後のMCでは、CD制作のときのメンバーが久しぶりに揃ったこと、
ここ山野楽器のイベントスペースに7年ぶりに帰ってこれたことを、
落ち着きながらもとても嬉しそうに話していました(山野さんありがとう!と連呼)

「なんだか嬉しそう」な雰囲気は、次の曲のためにさかきーと大坪さんが一旦ハケて西方くんが残ったあとに、
知る人ぞ知る「西方くんイジリ」でさらに強くなっていきました。
(渋谷のインストアイベントのときのことはここを参照)
「今日はイジメないから!」と言いつつも、
西方くんが自分の曲をカラオケで歌ってくれた、という話から「じゃあここでちょっと歌ってみて」。
しかも会場全員が「歌え!」という勢いで拍手するもんだから…
西方くんと似たような容貌の息子を持つ母親の一人として、涙が出ました。パワハラに抵触します(涙)

そしてピアノ弾き語りとチェロで「フタツ、ヒトツ Futa-tu, Hito-tu」。
この曲が好きだという人は純粋なんです、と言ってましたが
私も素直なメロディラインが大好きです。

MCでは、「ロックオペラ モーツァルト」のことも多く話していました。
役から解き放たれたという思いはあるけれど、役から抜けたという感じはしないこと。
やりがいはあったけれど、体力的メンタル面を含めて大変だったこと。
実在のモーツァルトが作曲した曲も劇中に多く使われていて、
クラシックなのにリズムを感じたことが発見だったこと。
「POPSSIC」の中にもモーツァルトの曲を入れていて、縁を感じたこと…

なのでセトリに「Happy day」が入ってくると思ったら、そうはいかないのがあっきーだよね(笑)
最後の曲は「月光~カンランセキ」でした。

これがすごくよかった。本当に。動けなくなるぐらいに。
「月光」はCDと少し違うアレンジで、さかきーのギターソロが切なかったし、
続く「カンランセキ」は譜面に起こすと4分音符が淡々と並ぶだけで、つまり「音が少ない」曲なんだけど、
(ローゼンベルク伯爵から「音が多すぎる」と言われたばかりなのにね)
メロディラインが泣きの旋律なんですね。
圧倒的とか冴えわたるとかではないけれど、これは究極の愛の歌かもしれない。

マイクスタンドの前にまっすぐ立つ彼は、
眉の間を潜め、彼方を見つめ、両手をゆっくりと動かす。
ああ、いつもの歌うときの表情だ。
サリエリはナイフを握りしめ、モーツァルトは薔薇を抱いていたのに、
こんな顔は一切見せなかった。
今日、会場にいた全員がこう思ったはずだ、
「おかえり」って。
やっぱりあっきーは「歌手」という冠が一番似合う。


【セットリスト】
1.ビリージーン
2.I WILL GIVE U WHAT U WANT
3.フタツ、ヒトツ Futa-tu,Hito-tu
4.月光~カンランセキ

ライブとは別に感じた雑感は、また別に書くつもりです。
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「横道世之介」

2013-03-04 | 映画
吉田修一原作の同名の小説が、『悪人』に続いて映画化。80年代の東京を舞台に、田舎者丸出しでバブルを楽しむ大学生、横道世之介の恥ずかしくも愛しい青春を描く。長崎県の田舎町で育った世之介にとって、東京はまるで別世界。世間知らずで空気が読めない世之介を、周囲はバカにしながらも、彼の純真な優しさに、次第に心を開いていく。好景気に浮かれながら、どこかで背伸びをしていた80年代。世之介に自分を重ねてしみじみする40代も多いのでは?出演は、高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛ほか、日本映画の将来を担う若手実力派に、國村隼、きたろう、余貴美子らベテランが脇を固める。監督は、『南極料理人』の沖田修一。


冒頭シーンから、時間の流れが一筋縄ではない。
新宿駅の雑踏をずっと映していて、、、このカットが妙に長い。
でも画面の隅に出てきた斉藤由貴のポスターを見つけて、
「ああ、あの時代の話なのね」とゆっくり回想する時間が持てる。
私はこの時代設定がドンピシャだったので、そうそうそうだった!という所がいくつも。
カセットテープのウォークマン、
カロリーメイト、カルピスソーダ、
下北沢駅の演劇ポスター、カメラのEOS。

終始ストーリーはゆっくり、というかこれといった事件も変化もなくて、
「横道世之介」という一度聞けば決して忘れない名前の持ち主(高良健吾)も
これといった特技も特徴もなく、フツーに大学生活を送っている。
だから周囲の人物がかえって浮き上がったりして。

でもこの映画が見事なのは、時間の成り行きというか構成が、
これまた一筋縄ではないところ。
途中途中で「現在」の様子がインサートされて
(どの時代なのかはケータイの型でわかるようになっている)
かなり早いうちに、彼がその後どうなったのかが説明される。
これはすごいインパクトなんだけれど、ラストには晴れ晴れとした気持ちになる。
キャッチコピーにある「涙なんか流さずに笑いながら観てください」ってそのまんま。

結局、この映画は周りの役者に支えられている気がします。
「わたくし」という言葉が世界一似合う吉高由里子。
ラストの締めが見事な余貴美子。
それからそれから、
台詞がなく数シーンしか出てこないのに、存在感たっぷりの広岡由里子!

で、映画を観終わって気がついたけれど
監督は『南極料理人』『キツツキと雨』の人なのね。
2本とも大好きな映画です。
上映時間160分は長すぎる!という意見が目立つけれど、
こういう独特の間が自分にフィットするかどうかが分かれ目だと思います。
そういう私もこの映画を観て、「映画とは2時間前後で納めるべきだ」という固定観念を
これからは取っ払おうと決めました…
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「その後のふたり」

2013-03-03 | 映画


15年もの長きにわたり、公私ともにドキュメンタリー制作を続けてきたカップルの映画監督、純哉と七海は、創作上の意見の食い違いから交際を終わらせた。七海は東京に残り、純哉は新しい創作のヒントを求めてパリに渡った。七海の提案で、2人は自分たちを素材として、“別れたカップルのその後を追いかける”ドキュメンタリーの制作に踏み切る。新しい出会いを探しながら、愛とは、創作とは、人生とは何か、を追いかける七海と純哉。往復書簡のように、美しくも切ない映像レターが東京とパリを行き来する。



4月の朗読劇の予習として観てまいりました。

まず会場のUPLINK。

渋谷駅から東急本店(シアターコクーン)を通り過ぎてずんずん歩いていったところにありました。
このまま真っ直ぐ歩くと、それほどの距離なくHAKUJU HALLに行けるのね!今度もしHAKUJUライブがあれば参考にします…

「日本で一番小さな映画館としてCNNでも紹介されたマイクロ・ミニシアター」とのことですが、
家庭のリビングルームのような部屋には、いろいろなタイプの椅子が並んでい、て落ち着いた雰囲気でした。
リクライニングシート、ふかふかのソファ、温かみのある籐の椅子などなど、僅かに40席ですが自由に選べます。
マイナー映画を中心に上映しているようですが、予告編からしてシュールなラインナップでアート系の香りがそこはかとなく。

作品は90分。
別れたカップルが、自らを素材としたビデオレターをパリと東京の間で往復させる。
純哉は、母親ほど年が離れたフランス人女性芸術家に「自らの肌に詩を書かせる」という仕事を通して近づき、
七海は、ドキュメンタリー映画の作成を通して知り合った前衛舞踏家にダンスを習う。
…というだけの物語。

詩的で美しいパリの風景、伊藤キムが竹林の中で踊る舞踊(ダンスというよりも舞踏が相応しい)、
とてもとても抒情的なのですが、
七海(坂井真紀)が純哉(辻仁成)に仕事上の行き違いから嫌味を言われキレるあたりから
うわっ、映画っぽ~い!という展開になっていきました。

ラストは二人が再会する直前で終わっていて、これからの物語を予感させます。
小説版はその再会するところから始まって、映画の中には描かれていない世界が展開するらしいから
予習と言えば予習になったのかな。



この映画の監督であり主演もし、
もちろん小説も書いている辻仁成(「ひとなり」と「じんせい」と読み方を使い分けている模様)。
私にとってはECHOESのボーカルであり、今はロン毛のアーティスト、という印象なのですが、
世間でいう「辻仁成的なもの」満載でした。
御年53歳で、「女性芸術家に自分の肌に詩を書かせる」シーンが繰り返し登場し、
肉体を惜しげもなくさらす姿から伺えるナルシシズムが、もうアッパレとしか言いようがない。
でもね、映画冒頭あたりは「この男の役をもっと若い俳優に演らせたらいいのに!」と思いながら見てたけど
途中から「もう辻仁成以外にはありえない」と思わせてくるんだよね。不思議。

なわけで、あっきー出演の朗読劇に関しては
この強烈な辻仁成オーラをどうやって払拭するか?が自分的な課題です。
辻さんの容貌の中で一番「おおっ」と思ったのが、サラッサラな髪の毛。
あっきーが朗読するときは、頼むから黒髪ロン毛は避けてほしい。マジで。
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