ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」
3/24(日)マチネ 日生劇場 1階A列サブセン通路脇
【台本】ジョセフ・スタイン
【音楽】ジェリー・ボック
【作詞】シェルドン・ハーニック
【オリジナルプロダクション演出・振付】ジェローム・ロビンスト
【日本版演出】寺秀臣
【出演】市村正親 / 鳳蘭 / 水夏希 / 大塚千弘 / 吉川友 / 照井裕隆 / 入野自由 / 上口耕平 / 鶴田忍 ほか
日本初演は1967年…ですが、私は今回がはじめて。
「そのうち観る機会があるだろう」とは思いつつ、
きっと古臭い話なんだろな、と敬遠…というか食わず嫌いしてました。
だから殆ど予備知識なく、新鮮な気持ちで観ることができた。
どれぐらい予備知識がなかったというと…
粗筋を読むまでは「あれ?主人公の職業ってヴァイオリン弾きなんじゃないの?」って思ってたぐらい(爆)
でも、「なぜヴァイオリン弾きなのか」は、冒頭で明かされます。
「アナテフカのユダヤ人は皆、"屋根の上のヴァイオリン弾き"みたいなもんだ。
落っこちて首を折らないよう気をつけながら、愉快で素朴な調べをかきならそうとしている」
敬虔なユダヤ教の信者として「しきたり」を守りながらつつましやかな日々を送っている貧しい農村の人々を、
そのヴァイオリン弾きは常に屋根の上から見守っている。
ちょっと「運命さん」を思い出しました。
で、このしきたりが「へーっ」と思われるものばかり。
家に出入りするときに、ドア外枠に貼り付けたお守りのようなものにいちいち触れてその手に口づけするとか、
安息日はきれいな恰好をして決められた手順でお祈りをするとか、
結婚式の儀式、司祭の存在、などなど。
その辺は公式サイトのトリビアに詳しく書いてあった。
読んでから観に行けばよかったよ…
派手なダンスや渾身の歌ナンバーは少ないものの、
やはり長く上演し続けているだけの意味はある。
故郷を追われても前を向き続ける彼らの境遇は、故郷に帰れない東北地方の人々のことが思い出されました。
語り継がれるべき普遍のテーマを持つ、素晴らしい作品だと思います。
キャストとしては…ほぼテヴィエ(市村正親)の一人舞台でした。
圧巻とか、見事とか、そんな言葉しか思い浮かびません。
他の人が演じるのが考えられないよ!
なもんで、ちーちゃん(大塚千弘)が出ていることも幕間まで気がつかず(爆)
ツレさんとの夫婦コンビもいい味出してました。
途中から代役登板したというモーテルの照井さんも、人柄がにじむような存在感だった。
あと入野自由くんは「みゆ」と読むことを初めて知りました!
ここんとこ観ていた作品よりも出演者の平均年齢がぐっと高かったんだけど、
それに比例したからか、客席もそれなりに人生の先輩が多かったです。
ご夫婦でいらしている方もちらほらと。
日曜だったせいもあるでしょうが、客席も埋まっておりました。
演劇業界がなんとなく元気がない昨今、
こういう上の世代にも受け入れられる作品も多く上演してほしいです。