それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「100万回生きたねこ」 1/23マチネ

2013-01-26 | 舞台

ミュージカル「100万回生きたねこ」
1/23(水)マチネ 東京芸術劇場プレイハウス 1階I列センター

【原作】佐野洋子「100万回生きたねこ」(講談社刊)中島かずき
【演出・振付・美術】インバル・ピント、アブシャロム・ポラック
【脚本】糸井幸之介、戌井昭人、中屋敷法仁(50音順)
【音楽】ロケット・マツ、阿部海太郎

【出演】森山未來 / 満島ひかり / 田口浩正 / 今井朋彦 / 石井正則 / 大貫勇輔 / 銀粉蝶 / 藤木孝 ほか

ミュージカルとわざわざ冠つけているんだから
「歌で話が進むもの」と思っていたら、全く違ってました。
歌ではなく、ダンスとパントマイムのような身体表現で多くが語られます。
そのダンスも、「華麗な」「かっこいい」動きではなく、なんとも不思議なモチーフが繰り返される。

舞台装置も不思議でした。
プレイハウスの舞台ってこんなに奥行きがあったっけ?と錯覚するような
奥行きが強調されたシンプルな部屋のセット(実際に錯覚を狙っているのかも)。
でも天井に、壁に、床に、ベッドの下に、そこかしこに穴があいていて
ねこや泥棒がするりと出てきたりいつの間にか消えてしまったり。
しかけ満載のオモチャ箱みたい。

ストーリィは原作を忠実に表現していて、一場面一場面がまるで絵本のようですが、
台詞の言葉遊びがリリカルでした。
特に二幕、白ねこと愛を育むシーンは「しりとり」で台詞が綴られる。
その動きと言葉選びの美しさ。

演出家のお二人のうち女性の方は、イスラエルのダンサー出身だとか。
独特の世界感が、衣装やメイクにも表れていました。王様の衣装が秀逸。
歌われる歌もひっくるめて「どこか寂しい」んだよね。
暖房をつけないままで過ごす冬の夕方のような印象です。
未來くんの飄々として風来坊なねこ、動きがしなやかで見事だったけれど、
銀粉蝶さん演じる老婆のかぼそい声に泣かされました。


実は。
このところ公私ともに忙しく、
というか諸々が自分のキャパをめいっぱい超えてしまっていて。
このチケットは去年の夏に勢いに任せて買っていたので、
「どんな作品かわからないしミュージカルの小品なら観なくてもいいかも」と
自分の中で期待値が低くなり、嫁ぎ先を探しかけてもおりました。
でもでも、本当に観てよかった。
「今まで全く見たことがないテイストの作品」に出会い、
それが自分の好みにガコッと嵌る機会はなかなか訪れません。
こういうことがあるから、細々とでもチラシをチェックしてチケ手配をしていかないとね。
中身が乏しいお財布と相談しながらだけど…



そうそう、原作の絵本「100万回生きたねこ」ですが。
私が出産したときに、何人もの友人が「この本プレゼントするね」と言ってくれました。
「子供に読んであげてもいいし、大人が読んでも感動するから」って。



きっと子供のいるおうちには「一家に一冊」なんだろうな。
もちろん我が家の本棚にもあります。
まだ少女だった私に、母親が初版本を買ってくれていました。
永遠に読み継がれる絵本ですよね。
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「ZIPANG PUNK~五右衛門ロック3」 1/16マチネ

2013-01-22 | 舞台

劇団☆新感線2012年越冬興行 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロック3』
1/16(水)マチネ シアターオーブ 1階23列上手

【作】中島かずき
【演出】いのうえひでのり
【作詞】森雪之丞.
【出演】古田新太 三浦春馬 蒼井 優 浦井健治 高橋由美子 / 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと / 村井國夫 麿 赤兒 ほか

長い!
くどい!
でも面白い!

お祭り騒ぎで、王道中の王道で、衣装も装置も遊び心満載で、
これぞ新感線!という曲が次から次へと。
深い内容なんてこれっぽっちもないけれど、ずーっとカラオケボックスではしゃいでいるような感じ。
一幕100分が終わったところで「ご馳走様でした!おなかいっぱいです!」と言ってしまいました(笑)

シリーズ最初のときから思ってたけど、
この作品の頂点は二幕で主要人物が大見得を切るところだってことが分かりきっているから、
観ているこちらも、そこにワクワクMAXを持っていけるように調整するわけです。
今回はそこに至る道筋がちょっと散漫だったかな。

それでもお楽しみどころは随所にあって、
やっぱり特筆すべきは三浦春馬くんのキラッキラでしょう!
彼の初舞台(地球ゴージャス)を観ておりますが、そのときから「ああ~もうずっと舞台で活躍して!」と
切に願っておりました。
「その分シャルル王子(浦井くん)が目立たない」との意見もありますが、
シャルルはまた別腹です。どうしても目が行ってしまう(笑)
役者さんでは他に、村井國夫さんの低音ボイスの台詞運びが聞きやすく、
「怪演」としか言いようのない麿さんの演技(特に二幕最後)、すごかったです。
ああ、あとやっぱり装置が見応えありました。
最近は、シンプルなセットとか、場面転換を全部映像で処理する作品ばっか観てたからかも(笑)

…再演も三作目になると難しいよね。
「五右衛門ロック1」の新宿コマで味わった熱狂感、「薔薇とサムライ」の物語が転がるスピード感を
超えるものを期待するほうが無理なのかも。
登場人物がよく知っている歴史上の人物だったことも、変な先入観が自分の中では余計だった。
でもだからと言って「ゲキシネ待ち」と考えるのも勿体ないんだよね。
シアターオーブの下見もできたし、今年初の観劇作品としてはいいチョイスだったと自負しております!

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中川晃教「POPSSIC」発売記念ミニライヴ&サイン会(タワレコ渋谷店)  1/20

2013-01-21 | ライブ

CD「AKINORI NAKAGAWA CONCERT 2012 "POPSSIC"」発売記念ミニライヴ&サイン会
1/20(日)15:00~ 観覧自由 タワーレコード渋谷店 7Fイベントスペース

日曜の午後、渋谷駅周辺は若者でいっぱい。
そりゃコクーンとかオーブとか青山劇場とかには行くけれど、
タワレコ渋谷店なんて…私ごときが足を踏み入れても大丈夫なんだろうか。

…という感じで、恐る恐るタワレコ7Fに上がってみました。
クラシックフロアだけあって落ち着いた雰囲気でしたが…1時間前にはすでに人だかりが。
開演直前になると結構な人数が集まってきていました。

サポートはチェロの西方正輝くん。
「チェロとピアノ弾き語りなら、リハで音出ししていた『谷間の風』の他に『ナユタ』かも」と予想してましたが、
実際には「谷間の風」と「フタツ、ヒトツ Futa-tu, Hito-tu」の2曲。
(「フタツ、ヒトツ」って「ふたつひとつ」と平仮名で書くと全く印象違うよね)
POPSSICからとオリジナルから1曲ずつ、という配慮だったんでしょうか。

衣装もとてもラフで、黒半袖VネックTシャツの胸元に、Vネックと同じラインのペンダント。
こういうとこオサレだなぁと思うけれど、このままエプロンしてたらタワレコの店員さんと間違えるかも。
MCもラフで、というかほとんどが西方くんイジリでした(笑)
「今の気持ちをチェロで弾いてみて!」と無茶ぶりされて西方くん困惑の極みでしたが、
私も手に汗がじわりと滲んでしまったです…
息子が小さいとき、同じようにピアノの先生に「ほら、自由にメロディ弾いてみて!」と言われ(作曲の時間があった)
親子ともども困惑したことをありありと思い出しました(汗)

曲は「谷間の風」の後半アレンジがとても素敵でした。
CD版がそよ風だとすれば、今日のライブは少し風速が強まった春風のような雰囲気。
CD版が西方くんアレンジで今日はあっきーアレンジだったのかな。

ライブはともかく、最近は滅多に行かない「CDショップ」に行けたのもよかった。
「インストアイベントは久しぶりだけど、昔はポップスのフロアだった。クラシックフロアなのが優越感」ということを
話していたけれど、
ここには平清盛やレミゼのサントラ版もディスプレイされているのね。
そういえば『POPSSIC』もライトクラシックという分類らしい。
密林さんばかりに頼まないで、たまには本屋やCDショップをぶらぶらするのも、心の栄養補給には必要ですよね。
今年の初ライブは実にミニサイズでしたが、わりかし楽しめました。
あと、当日買ったと思われる「POPSSIC」を持って私の隣でライブを聞いていた男性の方に
ちょっと感想を聞いてみたかったなぁ(特にMC部分…)
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ゲキ×シネ「髑髏城の七人」

2013-01-13 | 映画


1990年の初演以来、劇団☆新幹線のアイデンティティとも言われる看板芝居の一つである「髑髏城の七人」が、10台以上のHDカメラを用い、舞台の臨場感をスクリーンで再現する劇と映画を融合させた「ゲキ×シネ」の10作目として登場。織田信長亡き後、彼の天下統一の夢に突き動かされ関東の支配を狙う天魔王、それに対抗する捨之介と色里の主・蘭兵衛、そして色里で暮らす女たちの戦いを、派手な殺陣アクションやエモーショナルな展開で描き出す。本作でメインキャストを務めているのは、小栗旬、森山未來、早乙女太一といった若手演技派俳優たち。いのうえひでのりの演出を受け、エネルギーたっぷりに“いのうえ歌舞伎”の世界を表現して見せている。


ゲキシネももう10作目なんだなぁ。
ここ何作かは、実際に舞台を観てからゲキシネを観て「追体験」をしていたのだけれど、
10作目にして、なんだかもうこれは「映画」として完成されてしまった…と感じました。

とにかくカメラアングルが映画的。
役者が走り回る足元を追うことで場面転換をし、客席からは絶対に見えない角度で役者のアップを映す。
ときどき見切れる照明装置や、舞台の床のバミリが視界に入ったときに
「あ、そうだった、これ舞台だったんだ~!」と思い出すぐらい。

2011年の9月に青山劇場で観たときの自分の感想文を読み返してみると、

「この作品ってことさら脚本の運びに重きがあるわけではない。
どちらかというと、キャラの立ち方とか、繰り返される立ち回りだとか、
お約束の百人斬りだとかを「うわ~キタキタ~っ」って楽しむものなのかも。
途中から「コレはゲキシネで見たほうが面白いかも」とか考えてしまいました」

とか自分でも言ってるし…
でもだからこその、ゲキシネならではの見どころは本当にワクワクしました。

小栗旬演じるところの捨之介、
染五郎さんや堤真一に比べて、男の色気や飄々としたところが希薄に感じましたが、
アップになったときの細かい表情の変え方なんて、実に見事。

天魔王(森山未來)と蘭兵衛(早乙女太一)のそれはそれは優美な立ち回りも、
スピードを自在に変化させ、血飛沫や刀をぶつけたときの火花が効果として追加され
ますます映画っぽい(映画だけど…)
小池栄子の女っぷりや、「愛すべき直球バカ」が板についていた勝地涼も
見せ所はばっちりアップで捉えてくれて、
「見たかったのに見えなかったところ」を過不足なく補充してくれました。
あ、そうそう、先日の「TOPDOGS/UNDERDOGS」で一気にファンになった千葉哲也さん!(ここだけ敬称)
物語の中で唯一、全てを俯瞰している落着きが素晴らしかったです。

んー、だからこれからもゲキシネは見続けると思うけど、
「こんなにクオリティが高いなら舞台版は観に行かなくてもいいや」と
「ゲキシネ待ち」作品が自分の中で増えてしまうかも…という懸念は残りました。
来年はシレラギも上映するとか。楽しみです。



追)
そう言えば、アップ場面で感じたんだけど…
小栗くんと未來くんは滝汗なのに、早乙女太一くんの顔に殆ど汗がないのは何故?
首筋には汗が伝っているから、やはり「顔だけ汗をかかない」のは小さい頃からの訓練の賜物かな。
誰かさんにこっそり教えてあげてください…
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「レ・ミゼラブル」

2013-01-06 | 映画
イギリスのロンドンで1985年にミュージカルとして初演されて以来、全世界42ヶ国で公演されたミュージカルの名作『レ・ミゼラブル』が、スクリーンに登場した。監督を務めたのは、『英国王のスピーチ』のトム・フーパー。彼はミュージカル映画としては異例の、撮影現場でピアノ伴奏に合わせて歌うライブレコーディング方式を選んだ。舞台のキャリアがある俳優たちを集め、俳優たちの高ぶった感情を、見事に映画として切り取ってみせている。ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウら主要キャストらは振り絞るような歌を披露し、観客の心を揺さぶってみせる。原作は19世紀フランスを舞台にしたヴィクトル・ユーゴーの名作小説「ああ無情」。


既に観てきた友達から、「ハンカチは忘れちゃダメ」「メイクして行ってもどうせ落ちるから無駄」
と有難いアドバイスをもらいましたが、
悪いけど、私なんか予告編を観ただけで号泣してるんだからね!そんなこと重々分かっているから!
…なんて、小さいことできゅうきゅうと反論している自分が恥ずかしい。

東宝製作のミュージカルは何度も観劇している自分。
だから、物語の運びや登場人物の来し方行く末はもちろん、
歌われるナンバーも歌詞も、全て頭の中に入っている。
なのに、どうしてこれほど新鮮な気持ちで感動できるのでしょう。

洋画は殆ど観ないので、最初はイギリス映画らしいダークさに違和感を覚えました。
舞台版と違って、娼婦の衣装はキッチュで酒屋の場面はシュールです。
地下道の汚水は本当に汚水でした…

でも、私の頭の中の「レミゼ」と、全く違わないものが画面から飛び出します。
リトルコゼットの容貌、マリウスの佇まい、エポニーヌの帽子。
バリケードにぶら下がるアンジョの赤い上着まで。
(テナルディエがかなりイケメンだったのは予想外だったけど)
感動的な作品の楽曲の素晴らしさは何も言うことがなく、
私が見続けてきた東宝ミュージカルも、この映画も、その根幹を大切に守る姿勢の賜物なのでしょう。

ただ心配なのは、ミュージカル版を観ていない人には少しモヤモヤするかも…ということ。
粗筋そのものは腑に落ちないところもあるからね。
「ONE DAY MORE」のあとに休憩時間が欲しかった(ミュー版でもここで一幕が終わるから)けれど、
今日の映画館でも、ここで席を立つ人が多かったです。
連日これほど映画館を満席にするとは予想してませんでしたが、
これをきっかけに、ミュージカルを観に行く人が増えればいいなぁ…と
ミューファンの端くれとして密かに願っています。
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『POPSSIC』を聴き倒す

2013-01-02 | 日記
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて。
みなさま、新しい年を迎えて一番最初に行ったことは何ですか?
私は、



『POPSSIC』の封を開けて、初めて聴きました。
CDそのものは、発売日の去年12月28日に複数枚入手していたのですが、
(なぜ何枚も手にしていたかはもうおわかりですね…)
WIZの余韻にも浸っていたいし、
やっぱり、新しい年を迎える瞬間に聴き始めたいじゃないですか!

…なんつって、実は新年を迎える瞬間はジャニのカウントダウンライブを観てたんだけどね(汗)
カウコンを横目で眺めつつ、iPodに音源を取り込んでからベッドに持ち込んで聴きました。

この『POPSSIC』の音源はご存知のとおり9月のHAKUJU HALLライブからで、
その時も感想文を書いておりますが(→ここ)、
会場で聞きながら走り書きしたメモには、各曲の印象が一言づつ書いてあります。
(ライブ中のメモって暗い中で書くから、一言印象を書き記すぐらいしかできない。しかもなぐり書きで後から判読不可能)

『HAPPY DAY(トルコ行進曲)』は「希望」。
『終わりのない愛(白鳥の湖)』は「背徳」。
『NO.5(運命)』は「扇動」、『月光~カンランセキ』は「虚空」、
『谷間の風』は「帰宅」(←なぜ~?)

どの曲も、あのときあの会場で感じた印象が蘇ってくる。
ライブ当日のMCでは「今しか味わえない、一期一会を楽しんでください」と本人は解説していましたが、
こうやって音源が手元に残ることは本当に素晴らしいことですよね。

もちろんライブの感動はあの場所でしか味わえないけれど、
あっきーの歌に集中していた時には聞けなかった、ギターのフレーズやチェロの響きを
改めて聴けるのは嬉しい。
『NO.5』の西方くんや大坪さんの自由自在なフレーズをもう一度聴けるなんて!

そしてなんといっても「歌詞カード」。
今までの数々のオリジナルの歌詞なんか、必死で聞き取って文字に起こしても
あっきーに直接聞かないと「正解かどうかが分からない」んだもん。
滑舌がよくて超明瞭な発音の彼ではありますが、
今回の曲も今まで「あれっ、今なんて歌ったの?…ああ~わかんない~」という、
靴下の中に小石が入ってしまったときのような変な焦燥感が残ったけれど、
一気に解決いたしました!TimeでCrimeだったのね!
ま、多少の歌詞抜けとか、「灯りか?光か?」問題、
「たどり着けないのか?数え切れないのか?」…はこの際もうどうでもいい!(爆)

私は録音技術のことは全く詳しくないのですが、
歌声がとてもクリアに聞こえることはよくわかります。
あっきーの歌声を殆ど加工していないんだよね。
歌い出す前の息遣い、ピアノシモで声が少しゆらぐ様子、そして天に向かって拡散する歌声の煌きも。

では今日もiPodをベッドに持ち込んで、夢心地になってきます(きゃっ)
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