とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃんに、生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんはその庭で自分のことを“お兄ちゃん”と呼ぶ、未来からやってきた妹・ミライちゃんと出会います。ミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つくんちゃん。それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。 待ち受ける見たこともない世界。むかし王子だったと名乗る謎の男や幼い頃の母、そして青年時代の曾祖父との不思議な出会い。そこで初めて知る様々な「家族の愛」の形。果たして、くんちゃんが最後にたどり着いた場所とは?ミライちゃんがやってきた本当の理由とは――
あまりの酷評におののきながら鑑賞。
でも私には十分刺さった映画でした。
息子を育てている経験と、横浜育ちで地元の距離感が理解できたおかげかな。
主人公のくんちゃんは4歳児。
この設定が絶妙だった。
プラレールのレールをあれほど複雑に組めたり、大人の言葉を理解できる読解力があったりするのに、
わがままっぷりが度を越している。
泣き叫び方も、映画なのに見ててイライラするし、おかあさんがキレるのもやむを得ないと思う。
でも子供ってあんな感じ。
「出来なかったことが出来るようになる」のも、徐々に変化していくわけではなく、ある日突然できるようになる。
自転車に乗れるようになるのも、着せられたズボンの色に妥協するのも。
今までは丸まってオシリ出しながら寝ていたのに、仰向けで寝るようになったのも。
それはさながら、階段を一段「すとん」と上がるような。
このことは親として不思議だった。
そこに至るまでに少しずつ身体の中にエネルギーを溜めていって、それがある日露呈するのかな…となんとなく思ってたけど、ひいじいじのバイクみたいに、過去の血のつながりが影響していると思わせてくれて嬉しくなる。
親の欲目かもしれないけど。
最初、くんちゃんは家から一歩も出ていない。(幼稚園に通ってはいるけれど彼の世界ではない)
中庭から冒険を始めるけれど、最初はそれでもごくごく狭い世界。
イマジネーションに満ちている世界に見えて、これは4歳児の想像を大人が具現化したものなのかな。
しかもその世界観がバラバラで話の筋もつながらないし、監督が何人もいるの?と錯覚するレベル。
(でも「志村うしろうしろ!」的なギャグとポニョのような怒涛の水流は楽しかった)
それでも彼は少しずつ行動範囲を広げ、中庭を飛び出して京浜東北線に乗り、東京駅の遺失物センターで自分の存在価値を知る。
親の名前さえ言えないのに。(このへんすごくリアル)
ここからの落としどころが少し説教くさかったけれど、わたくし号泣いたしました。
要するに、ワタシくんちゃんが大好きです。
きっと将来は父親の影響で建築家になり、東京駅のプロダクトデザインに関わることでしょう。
唯一の違和感はくんちゃんの声優さんかな…
くんちゃんを最初に異次元に連れて行く吉原さん演じる「謎の男」のハマリっぷりが笑えました。
あと福山雅治はやはり一言呟いただけで全女性のハートをズッキュンさせる。
ひいじいじのエピソードだけでもう一本撮ってもらいたい。