それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「Mon STARS Concert ~Again~」 2/22

2018-02-24 | ライブ
cube三銃士「Mon STARS Concert ~Again~」
2/22(木)19:00 オーチャードホール 3階2列センター

【演出】Mon STARS
【出演】橋本さとし / 石井一孝 / 岸祐二 ゲスト:中川晃教

Mon STARS。
グループ名は存じ上げておりましたが、コンサートに参加したのは初めてです。
いろいろとオドロキなポイントがありました。

まず、各々メンバーカラーがある(カズさんレッド、さとしさんブルー、岸さんはイエロー)。
グッズの棒状ペンライトは、メンバーカラーの赤青黄と白に切り替えられる。(ただし手動で会場側から遠隔操作されるわけではない)
オリジナル曲もあるミニアルバムが発売されていて、日替わりのジャケットも販売。
QRコードを買うとあとからライブ映像が見られる。
…要するに芳雄さん浦井くん育の「STARS」を意識してるってことが理解できました。

セトリは、ミュージカル曲、3人の趣向に沿ったソロ曲、オモシロ曲が絶妙なバランス。
ミュージカル界で活躍している方々なので、全曲大真面目に歌うんだろうな…という予想を覆してくれました。

「Music Of The Night」(オペラ座の怪人)では仮面つけた怪人さんたちが「オマエどけよ!」ゴッコをしたり天井から裸電球が下りてきたり、「One Day More」は舞台上でレミゼ変装ごっこ。
マフラーとか赤ベストとか帽子なのですぐキャラが分かる作品ならではですね。
これから演じることは絶対ありえないだろう「オペラ座」はともかく、全員レミ俳優なのにいいんだろうか…

こんなにオモシロいことを粛々とやっているのに、ヴォーカルもコーラスも完璧なことも改めてオドロキ。
岸さんの「ブイ・ドイ」なんて涙モノだったなあ。
オモシロ曲は意外に多くて、後半のジャニーズメドレーではローラースケートまで履いてきてくれました。パラダイス銀河の振付がオリジナルと全く同じで、アンサンブルさんが組体操さながらに作ったトンネルをローラーで潜り抜ける…という懐かしい振りも再現。ジャニヲタとしてはオペグラが涙で曇る瞬間でしたが、終わったあとみんな酸素吸入をしないと続けられないぐらいに披露マックス。そこまでしてくれてありがとう!

でそんなこんなで、このへんでゲストのあっきーが登場しました。
軽快に「シェリー」のイントロが流れて「わーいよいよね♪」と待っていたら、


(カズさんTwitterよりこっそり)

これは…反則だよねぇ…
今どきこんなデザインのは中学生でも着用しないであろうカラージャージ、同じカラーの上履き、ハゲヅラ。
なにが笑えたって、カズさんのヅラは「地毛のセットを崩さないように」ひときわ盛り上がっているのを特注したそうです。
ジャージーボーイズ→ジャージ坊主と思いついたさとしさんにお歳暮を贈りたい気持ちですが、一度きりのこのコーナーのために準備をしたスタッフさんにもお礼を言いたい!
曲が終わってからMC。「今までのどのフォーシーズンズより安定感がある」とあっきーは最大限の褒め言葉を口にしながら、ずっと笑い転げてました。そうだよねぇ…
さとしさんは「VAMP」や「マーダーバラッド」で、カズさんとは「チェス」で共演した話、岸さんには「いい声ですね~」と会話を続けるも、坊主ズがなんとなく肩を組み集まってあっきーの話を聞く体制になると「なんで3対1になるの?とまた笑いが止まらないご様子。
(このへんの写真はAstageのレポを参照ください)

あっきーのソロ曲は、「The Sun And The Rain」。
「OUR HOUSE」は私がファンになる前の上演で、映像も音源もほとんど残っておらず私にとっては鬼門な作品なのです。。
この曲は2009年9月、STBスイートベイジルでの「HOUSE!」にてピアノ伴奏で聴いたのを思い出しますが、あっきーが作品の背景や曲解説を丁寧にしてくれたのが嬉しかった。一生懸命お話しするあっきーに対して(いい意味で)くすくす笑い声が沸いたのもご愛敬かな。みんな「いいよいいよ話が長くても」という気持ちなんですね。

ラスト曲「We Are The Champion 」では気持ちのいいフェイクを遠慮なく発揮。カズさんからは「天才迸るフェイク」さとしさんからは「自由自在なフェイクに鳥肌」と認めていただき、MCでの語り口も「このまま活字にして残したい!」とリスペクトしていただき、先輩方に可愛がられているのも頼もしかったです。

そしてそして、ダブルアンコール「Bring Him Home」の素晴らしさ。
3人が告知として今後の予定を紹介していましたが、考えてみれば全員ひっきりなしに大作ミュージカル作品のセンターに経ち続けるんですよね。
ミュー界のおじさまが本気でふざけて楽しませてくれた…というか、「こういう人たちが本気出してるんだから、これからのミュー界の未来は限りなく明るい!」と心から思わせてくれた一夜でした。
願わくば近いうちに「三銃士」の再演を!
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「グレイテスト・ショーマン」

2018-02-21 | 映画
19世紀に活躍した伝説のエンターテイナー、P・T・バーナムを『X-MEN』シリーズや『レ・ミゼラブル』などのヒュー・ジャックマンが演じるミュージカル。空想家の主人公が卓越したアイデアと野心で世界中を熱狂させるさまと、ロマンチックな愛の物語が描かれる。監督はマイケル・グレイシー。ミシェル・ウィリアムズやザック・エフロンらが共演。『ラ・ラ・ランド』で第89回アカデミー賞歌曲賞を受賞した、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールが音楽を担当している。


ミュージカルファンなのに「ラ・ラ・ランド」がそれほど刺さらなかったワタシ。
世間の評判がイマイチ理解できず、自分の感性が衰えているのか…?と少し落ち込みましたが、
この映画はそんな心配を払拭、というか溜飲が下がる作品でした!

冒頭の20世紀フォックスのロゴが出てくるところ、ミュージカルで言えば「M0(幕開き音楽)」から高揚度がスゴイ。
そこからも大ナンバーが次から次へと、メインタイトルの「THE GREATEST SHOW」も「THIS IS ME」も本当に素晴らしくて、
同じ曲が何度もリプライズするのもミュージカルならでは。
そして何よりミュージカルに大切な「歌によって物語が進んでいく」というところ!

主人公の紆余曲折な人生を中心に描き、パートナーのLOVEを横道に挟んではいるものの、
ストーリーは薄く、なにか教訓が得られるとか、深く考えさせられるとかはほとんど無いに等しい。
そもそも上演時間が105分なので、登場キャラひとりひとりを掘り下げる余裕もなかったのかな。
ミュージカルの舞台って一幕が通常90~100分間なので、それに合わせているのかも?と考えてしまいました。
展開も早いし、歌の洪水を浴びながら観るのにはそれなりの耐久時間があるってことなんだよね…

貧困のあまりパンを盗む子供時代のエピソードや、若者をお姫様抱っこして救出する場面は「レミゼ」を彷彿とさせます。
話の骨格はアニメ映画の「SING」にそっくり。
フリークスを出演させるのは「見世物小屋」を連想させるし、あることないこと言って成り上がっていくバーナムの行動は限りなく胡散臭さに満ちているけれど、そこはヒュー・ジャックマンの好人物度がかき消してくれている感じです。
パートナーのザック・エフロンに後を託す場面では「SHOW MUST GO ON」って言い残していくんですよ!
これほどのカッコ良さがどこにあるんだ!

と限りなく「舞台のミュージカル」に近い作品でしたが、だからといって舞台化は難しそう。
動物や花火が満載のサーカス小屋のシークエンスは映画ならではの迫力でした。
今度はIMAXで鑑賞してきます!
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「羊の木」

2018-02-07 | 映画
山上たつひこといがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞(マンガ部門)に輝いた問題作を、アレンジを加え実写映画化。殺人歴のある元受刑者の移住を受け入れた町を舞台に、移住者の素性を知らされていない町の人々の日常がゆがんでいくさまを描く。『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督がメガホンを取る。お人よしな市役所職員を錦戸亮、彼の同級生を木村文乃が演じるほか、元受刑者役で北村一輝、優香、松田龍平らが出演する。


「刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる…」という概要は予告編で知っていたし、予告編はさらに新たな殺人事件が起こるところまで見せています。
が、そこまでのくだりは早い展開である意味静かに進み、そこからが急転直下。
吉田大八監督というと「紙の月」を思い出しますが、こういう緩急のつけかたが本当に上手いなあ。

元受刑者の顔ぶれがすごい。
北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平が、畳みかけるように不穏な空気をまとって登場してくるので、
「この中で誰が何をするの?」という不安感が押し寄せます。
そういう意味で原作は読まなかったほうが正解かも。

でなんでそんなに「誰が?何するの?」と恐れおののいたかと言えば、それは受け入れ係である市役所職員の錦戸くんの存在。
仕事は真面目に取り組んでいるけれど、平凡でそれほど人格者には見えない。
「人はいいし魚も美味いですよ」と元受刑者全員に繰り返すけれど、おそらくそうは思っていない。
だからこそ私たちは「自分だったら…」と終始自問自答してしまう。
自分の行動が自衛なのか偏見なのかは紙一重なのを自覚しているけれど、危険人物と認識しながら同じ部屋でうたたねをしてしまう凡庸さ。
「友達として」という台詞は本心で最強なんだよね。

途中に出てくる「のろろ様」もいい具合に気持ち悪かった。
お祭りの夜、町中が「直接見てはいけない」という掟に従って家の窓を閉めるのが。
見てはいけないのと、見て見ぬふりをするのは同じ。

いろいろ考えさせられる作品でした。
「羊の木」というタイトルに込められた意味も、作品公式サイトを見ても釈然としなくて「勝手に考えてくれ」なのかな。
でもエンドロールに込められた意味は受け止めたい。
「DEATH IS NOT THE END」というエンディング曲のタイトル、スタッフロールが「下から上」ではなく「上から振ってくる」こと、
そしてラストの映像の美しさ。
最後の瞬間まで楽しめました。




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