SHOW-ism Ⅶ「ピトレスク」 3/27(木)初日 シアタークリエ 13列センター
【作・演出】小林 香
【出演】クミコ / 中川晃教 / 岡本知高 / 彩輝なお / J Kim / 風花 舞 / 舘形比呂一 / 保坂知寿 / 美鳳あや / 三井 聡
一言で言えば、「暗い」。何がって、舞台の照明が。
高い天井にある小さな灯り取りの窓だけの地下室は、裸電球がぼんやりと光っているだけ。
狭そうな地下室がいっそう鬱々として見えて、その中で淡々と物語が進みます。
もう一言言えば、「楽しくはない」。
TATTOO14やアンパレのようなウキウキしたナンバーは少なく、勿論ストーリーも哀しいです。
生き生きとした台詞回しの芝居が展開されることもありません。
それでも見終わった後、私の頬は涙で濡れっぱなし。
こんなに「言いたいこと」がストレートに真正面からくるとは、予想していませんでした。
演者は様々な分野で活躍する人たちです。
主演はクミコさんとなっていて、カテコの挨拶はあっきーでしたが、
誰かが主役ということはありません。
岡本さんの図太いソプラノや、クミコさんの浪々とした声、知寿さんの表現力のある声、
それにあっきーのあの輝きのある声が重なります。
異質なものが重なる瞬間。
途中に挟まれる劇中劇、というか「その場面」を表すためのナンバーが素晴らしく聞きごたえありました。
ジャン・ルイであるあっきーは正直カッコいい…とは言い切れないけれど、
その切り取られた場面で、衣装を替えて現れたときのオーラ、
感情あらわな慟哭の歌声、囁き声から歌い上げまで加速していく歌声、
なんというか、意気込みが伝わってくる。
もしかしたら、下北の小劇場や新宿のテントでの上演のほうが似合うのかもしれない。
テレビに出ている人気者が出演しているわけでもなし、しかも忙しい年度末なうえに短い上演期間。
でも、心から「観てよかった」と言い切れる作品でした。
今、頭の中で混沌と渦巻く「言葉にならない思い」が、きっとこの舞台からの贈り物なのだと思います。
あと、思ったこと。
劇中のナンバーは耳馴染みがあるものから全然わからないものまで。
あっきー曲の「閉じた口」と「ピトレスク」についてはパンフに彼自身の解説があるのでいいんだけど、
他の曲がよくわからない…
一幕の岡本さんメイン曲は「サラバンド/ヘンデル」だったのを今把握してスッキリしましたが、
原曲名をパンフに載せないのはポリシーなのかな。
そして、本日はやはり初日特有の空気が漂っていました。
場面ごとに拍手をしていいのか悪いのか。
一幕終わりのなんとなく感、マイクのミスなのかわざとなのかわからない音、
私が今度入るのは来週になりますが、きっともっと進化していることでしょう。
今日のところはとりあえず。