それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」

2012-02-28 | 映画
独自の舞踊芸術で演劇とダンスを融合させ、舞踊界に新しい世界を確立した天才舞踊家ピナ・バウシュ。2009年に亡くなった彼女の人生そのものともいえるヴッパタール舞踊団の不朽の名作を捉えた映像を、ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが3D映画化。ヴッパタール舞踊団が表現するピナの作品を、最新の3Dカメラを使い新たに撮影し、本年のベルリン映画祭にて披露された本作は世界中から絶賛を浴び、ヨーロッパ各国で大ヒットを記録した。ピナの人生そのものともいえるヴッパタール舞踊団の不朽の名作「カフェ・ミュラー」「春の祭典」「フルムーン」「コンタクトホーフ」と共に、生きた軌跡を捉えた、これまで誰も観たことのない最新3Dダンス・ドキュメンタリー。(作品資料より)


ピナ・バウシュ。
演劇的手法を取り入れたピナ独自の舞踊芸術は、演劇とダンスの融合とも言われる。

…って、私も「前衛的なコンテンポラリーダンスの振付家」としか認識がありませんでした。
だから、冒頭の、群舞の場面からして、

言葉を失う、というか口あんぐり。
今まで私が「ダンス」のカテゴリに入れていた、どれとも全く違うもので、
それは舞踊というよりも身体芸術。
はるかに根源的でプリミティヴ。
ダンサーの「心の底」にある動きをモチーフとして作り上げられていく動きは、
自分の中にある言語化できないものを目の当たりに見せてくれるような。

冒頭の作品は、劇場にわざと土を敷き詰めてその上で踊るけれど、
カメラは外へ飛び出し、車が行き交う交差点、プール、草原、ガラス張りの部屋、
何故この作品が3Dで撮影されたかが否応なく理解できる。
その臨場感の素晴らしさ。

この映画はドキュメンタリーなので、作品そのものの形をそのまま観賞するわけではない。
場面が解体させて、ダンサーの独白を挟みながら再構築されている。
噴き出してしまうような振付もあり(実際映画館の観客はくすくす笑い)、
「春の祭典」「カフェ・ミュラー」の振付のインパクトが凄すぎたけれど、
手の動きで「春夏秋冬」を表現するのが、、、私にも踊れた。これぞ原点。

アカデミー賞にノミネートされつつ受賞は逃しましたが、
語り継がれるべき作品だと思う。


ところで。
ヒューマントラストシネマ有楽町に初めて行きました。
「こんなところに映画館が!」という立地のよさ、
2スクリーンで狭いけれども、椅子はフカフカで気持ちよかったです。
他の映画館ではこの作品は「特別興業」扱いでサービスデー対象にならなかったのに、
ここは適用してくれてラッキーでした。
オンラインチケットのサービスがないのが残念…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ハムレット」シアター・クリエ

2012-02-25 | 舞台
ミュージカル「ハムレット」2/9(木)マチネ シアタークリエ

【原作】ウィリアム・シェイクスピア
【脚本・作曲・作詞】ヤネック・レデツキー
【演出】栗山民也
【出演】井上芳雄 / 昆 夏美 / 伊礼彼方 / 成河(ソンハ) / 阿部 裕 / 山路和弘 / 涼風真世 / 村井國夫

「ハムレット」って言ったって、私が知っていて一番近いのは「himself」なんだけど、
それでもおおよその話は解るし、決め台詞も知っている。
だから「上映時間2時間弱」と聞いたときは「そりゃさぞかしダイジェスト」と予想してました。

そして、予想通り疾走感がハンパなかった。
ほぼ歌で構成されるこの作品は、多彩な曲調で物語を引っ張ります。

よっしー(井上芳雄)はロックもバラードもあらん限りの力を振り絞り、歌いきっていました。
でもなんか終始「イッっちゃっている人」より「イタイ人」に見えたのは、
最初の場面から「オレが何とかしなければ!」という強迫観念が全面に出ていたせいかな。

私の土台にあるハムレットが「himself」で、そのハムレットは
「なんだか大変なことになっちゃったよ(汗)」という、
その宿命に抗えず後ろめたさを感じつつ迷いつつ…であるのに対して、
今回のハムちゃん(←失礼すぎ)は、徹頭徹尾まっしぐらな感じなんですよね。

「Sister~♪」「Brother~♪」と呼びかけ合うオフィーリアとレアティーズのデュエットは
歌詞にちょっと違和感を感じたのも最初だけで、とても綺麗に歌いあげていました。
伊礼くんの歌を聞いたのは久しぶり(ルドルフ以来)だったけど、結構声量ある方なんですね。
ホレーショー役のソンハさん、NODAMAPで何度かお見かけしましたが、
映画『SP』の掃除屋ポールだったのね。やっと結びついた。
今回は唯一常識を保ち見守る役でしたが、ラストの台詞でかっさらって行きました。

全体に感じたのは「これ、よっしーじゃなくてもいいよね?」ということ。
もちろん役が合っていないとか、力量不足を感じた、ということは決してありません。
東宝さんが、日本初演でしかもタイトルロールのような重要度の高い役を
殆ど井上芳雄に任せきり…ということは至極納得いくことです。
でもこのハムレットは、いろんな人で観てみたいなぁ。
ある程度歌える人を揃えてもらって、トリプルキャストとかで再演してほしいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

2012-02-24 | 映画
ジョナサン・サフラン・フォアの小説を「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリー監督が映画化。9.11同時多発テロで父を亡くした少年が、父の最後のメッセージを探すためニューヨークを駆け巡る様を描く。出演は、本作がデビューとなるトーマス・ホーン、「天使と悪魔」のトム・ハンクス、「しあわせの隠れ場所」のサンドラ・ブロック。


「9.11文学の最高峰」と言われる原作の映画化だそう。
でも、その「9.11」そのものを深く掘り下げることはなく、
ある少年の目線で語られる、喪失と再生の物語です。

その少年オスカーは、アスペルガー症候群の疑いがあるものの(あるが故に)
10歳の男の子にしてはかなりの行動力を持つ。

大好きな父親の遺品である1本の鍵の真相を調べようと、NY中を駆け回るが、
それはとても面白そうな冒険でもあり、
また生前に父親が教えてくれた「生きる術」を確認する作業のようでもあり、
私たちはオスカーが少しずつ成長していく過程を見守ることができる。

しかし、「鍵が誰のものだったか」ということがわかり、
少年がその心情をぶちまけるに至ったとき、彼の告白を正面から受け止められない。
それほどこの作品の主題は重すぎました。
そしてもう一つの主題である「父親と息子の繋がり」も、
一言も言葉を発しない老人(マックス・フォン・シドが素晴らしい!)を通して
深く、私たちの心に訴えかける。
音楽やエンドロールも押しつけがましくなくてよかったです。
また日本語タイトルを、変な意訳でなく
原題「EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE」をこの表記でつけてくれたこともGJです。


…と。
この映画には、もう一つ落とし穴(?)があった。
主人公の少年が、自分の息子とほぼ同い年ということだ。

この映画では、母親が映るシーンは極めて少なく、存在感が薄い。
それでも、少年が母親に嘘をついて出かけるときに、母親はこう言うのだ。
「携帯の電源だけはオンにしておいてね」

そう、うちの息子が出かけるときも必ず私は彼の背中に同じ言葉をかける。
息子がどこへ行こうとしているのか、何をしに行くのかははっきり解らない。
でも、彼はきっとピンチに陥ったときは必ず母である私に電話をかけるはずだ。
そうに違いない。そうであってほしい…

もうそこからは「母親目線」で映画を観てしまう。だからうすうす考える。
私がオスカーの母親だったら、こうしてあげるのに。
彼に酷い言葉をかけられたときも、こうやって反論するのに。

だからラストは号泣でした。
いろいろな人に、この映画を観てほしいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「雪の降るまちを」を語りたい

2012-02-18 | 日記
先日のポピュラーウィークで弾き語りで歌った「雪の降るまちを」について。

この曲は、10年3月のコウケンテツさんとのイベント(STB139)でも歌ったので、
上野でこの曲を聞いた人みんなが「あれ~?」と思ったと予想しますが、

この曲はマイナーコードで始まり、後半で同主調のメジャーに変わる展開が肝要で、
(楽典を勉強すると「転調」を説明するよい例に取り上げられます)
曲の終りで上り詰める旋律の解放感は、
雪国の、長く閉ざされた冬を越え一筋の光に春を見出す希望の心に通じる。
そして「この想い出を この想い出を」の繰り返し部分で
二回目の「想い出を」を半音下げてマイナーに戻すところが
この作曲家(中田喜直先生)の天才的な感性を感じさせる…

わけです。
STBで聞いたときも2回目の「この想い出を」がマイナーにならず「…」と思いましたが、
今回は1コーラス目でボーカルも最初とメジャー展開で、2コーラス目は曖昧で、
3コーラス目で原曲に近い展開だったように記憶します。
うーんだから「ミス」なのかもしれないなぁ…とも思うけれど、
『Love Never Dies』のラストで入る「G線上のアリア」に乗っけるピアノのコードを
あれだけアグレッシブな展開にしてくるんだから、やはりこれはあっきー仕様なのかも。

その後のMCで
「この曲を日本人が作曲しているのには驚いた。ロシア人かと思った」
と言っていたから、
彼にはこれは馴染みのある童謡というよりも、アレンジで遊べる素材なのかな。
(でも正統にクラシックピアノを習っていたら中田喜直は必ず通過する作曲家だと思うけど)
中田先生のお墓に向かって頭を下げたい気持ちもちょっとありますが、
そこは「中川晃教版・雪の降るまちを」ということで収めてもらいたい…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京文化会館 ポピュラーウィーク2012・中川晃教

2012-02-17 | ライブ
2/16(木) 19:00~ 上野・東京文化会館小ホール 
中川晃教(Vocal) / 旭純(Piano) / 西方正輝(Cello) / 田邊純一(Cello)

やっぱりこのホールは独特の雰囲気があります。
一歩足を踏み入れた瞬間から、気持ちが引き締まるような。

「50年の伝統が息づく、洞窟をも思わせる」と言われるホールの奥から現れたあっきー。
衣装は、紫がかった紺色の細身なスーツで、
一つボタンの上着の中は黒のハイネック。
去年とは打って変わってフォーマルな雰囲気でした。
静かなピアノに乗せて、ゆるりとはじまった1曲目。
最近のライブで聞く『Prolog』かな…と思ったら、
途中から新しいフレーズが足されていて、
「狼、あるいは蝶」「美しい少女」といった幻想的な歌詞が聞こえます。
続く『音楽が消えることのないDANCE FLOOR』はサビをオクターブ下げていて、
珍しく少し遅いスタートダッシュだったかもしれません。

「この2曲は組曲として考えている」という解説があり、
1曲目は『ピエロ』というタイトルのようで、2曲の世界観が繋がっています。

緊張が先行し少し固かった前半も、
日本の童謡を弾き語りで歌う辺りから緩くなってきした。
1曲ごとにMCを挟み、照明も例えば『赤とんぼ』は夕焼けを思わせる雰囲気で素敵でした。

『月の沙漠』は砂漠を疾走するようなアレンジで…
って、あっきーは「金の鞍には銀の甕、銀の鞍には金の甕」というところを
「甕の中に王子様とお姫様が隠れて逃避行する」のだと思ってそうで(笑)
(えーと、『雪の降るまちを』改変問題については別記いたしますです)

新曲の『春』は、3拍子と4拍子が交互に変わり、
優しく落ち着いたメロディの上に新しい出発を応援する歌詞が乗っています。
NHK連ドラの主題歌とかに如何でしょうか(笑)

で。
さてこれから後半ね、このままやんわりとした雰囲気なのかな…と思っていたら!
チェロのお二人と旭さんを再び呼び込んだところから、怒涛の展開になってきます。

「毎年恒例のスペシャルコーナー」(って去年そんなこと言ったんかい!)。
「今年はクラシックに挑戦します。クラシックと言えばベートーヴェンNo.5ですよね」
と言い出したときは、
まさかね、あの「運命」なんて歌えないしすぐ「~なーんちゃって」とボケるのよね…
と思いましたが、

彼は本気だった。
「う・ん・め・いぃぃぃ!!!」と歌いだしたときに、私の口はあんぐり。
噛みつくような2台のチェロ、シュールな歌詞、いやぁビックリ!
なんなんだ!
どこ行っちゃうんだ!
開きっぱなしの私の口が閉じないまま、
次の曲『Love Never Dies』。
ピアノ旭さんの椅子に二ケツして歌うけれど
やっぱり弦楽器2台の音色は雄弁で深みがあって、すごいパワーを発揮。
あっきーの歌声が負けじと上に被さり、またピアノとチェロがその上に乗っていく。


そして。
「全ての人が幸せであるように」との前置きした『Amazing Grace』。
英語歌詞で始めたあとで展開した、アドリブが炸裂するスキャット、
ああ、前半に高音をセーブしたのはこのためだったのか。
腕を拡げ天に祈る、太く広く、雄大な大河のような、空を覆う雲のような。
文化会館の中にいる私たちの頭の上に、
雨が静かに優しく降る。
わたしたちの頭を風がやさしくなでる。


本編はここまででしたが、
続くアンコール曲3曲も、本編以上に感動ものでした。
『Always Love You』マイクレスで、途中までアカペラで。

音程(ピッチ)を正確に崩さず歌うことと、心をこめて歌うことは全く違う。
途中から素人が聴いても「ピッチが崩れた」ことが解ってしまっても、
それを旭さんのピアノが探りながら控えめに戻そうとしても、
押さえきれないような熱を持って広がり続ける。
あんなに激情溢れる『マイソング』を聞いたのも、あっきー人生で初めてです。

彼はまだまだ歌いたそうで、
歌ってろと言われたらきっと一晩中歌っていただろうなというテンションだったけど、
今年も『Home』がオーラスでした。
「家に着いたら、ただいまと言って下さい。あなたの「Home」に帰ったら。」
でも、私たちも帰りたくなかった。ずっとここにいたかった。
何度もカーテンコールの拍手をしながら、会場全員が同じ気持ちだった。
外は雪が舞っていたけれど、春の予感を少しだけ感じる、素敵な夜に。



【セットリスト】2/19修正
1.組曲 pierrot~音楽が消えることのないDANCE FLOOR
2.フタツ、ヒトツ Futa-tu,Hito-tu
3.ウィーウィル レット ユー ゴー
4.赤とんぼ
5.月の沙漠
6.雪の降る街を
7.春
8.ベートーベン交響曲第五番「運命」No.5
9.Love Never Dies
10.AMAZING GRACE

(アンコール)
1.I Will Always Love You
2.マイソング
3.Home
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「キツツキと雨」

2012-02-15 | 映画
『南極料理人』の沖田修一が監督を務めるヒューマン・ドラマ。下界から離れた山村で、木々を相手に仕事をする木こりの男と、人生の迷子になりかけている新人映画監督との心の交流を描く。子供の頃、父が買ったビデオカメラがきっかけで映画に夢中になり、老舗旅館を継がず監督になった幸一。「父は後悔しているかも」という幸一に、克彦は「自分が買ったビデオが息子の人生を変えたなんて、大喜びしてるよ」と励ますのだった。出演は、役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美他。『南極料理人』に続き、人間社会から隔離された「山村」を舞台にしているが、小栗旬扮する新人監督の葛藤や克彦のセリフから、沖田監督自身の物語かもとニヤリ。



木こり役の役所広司と、新人映画監督役の小栗旬。
常識で考えれば絶対に噛み合わない二人は、…ある意味最後まで噛み合わない。
ありがちな映画に期待される劇的な展開もなければ、
主人公が大きく心変わりすることもない。
でもちょっとだけ周りが変化し、ちょっとだけ成長している。
このあたりが自然に表現されていて、かつ少しだけだけど感動場面もある。
こういうテイストが大好きです。

『南極料理人』もそうでしたが、
しかし後半になって明確なテーマも見えてきます。
『南極』の場合は「家族」。
それは日本に残した家族でもあり、基地で時間を共有する疑似家族でもあり。
今回は「自分」でした。
気弱でプレッシャーに押しつぶされている新人監督は、
周りに助けられつつ揶揄されつつ気付きます。
内なる自分の声を聞き、従う謙虚の大切さ。
内なる自分の声を無視し、突き進む勇気の大切さ。
これが、靴下とか餡蜜とか温泉での相客との距離とかで、
やんわりと控えめに表現されます。

またキャストが絶妙でした。
ベテラン俳優の存在感も流石でしたが、
何より「この人なんの職業?」と疑問を持ちつつ
話に入っていけるその佇まいが見事でした。小栗旬。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「CHESS in Concert」梅田芸術劇場(大楽)

2012-02-13 | 舞台
2/12(日)大千秋楽 梅田芸術劇場 3階5列下手サブセン


梅田芸術劇場、略して「梅芸」に初めて行きました。
大阪駅(梅田駅)から歩いてすぐ、存在感のある天井のシャンデリアが印象的な
格調高いホールでした。

客席数1900名余りという大きなハコで大千秋楽を迎えるのは、
とても素晴らしいことだと思います。
…が、残念なことに空席も目立ったんだよね
3階席はセンターブロ以外は前方列しか埋まっていなかった。
そして音のバランスも少し残念なところがございました。
すごくクリアに聞こえる楽器と演者がいるのに、台詞がはっきりしない箇所も。
1階席は問題なかったということらしいので、この劇場の特性かとも思います。

しかし私にとって、それは大した問題ではありません。
だってもう聴きおさめなんだもの。
オペグラで観ても遠くてあんまり見えないので、ここは舞台全体を見渡して
照明の妙技やオケの超絶技巧などを楽しむことにしました。

そして大楽の最大のお楽しみは、カーテンコール。
最後は舞台上に全キャストとオケ、島健さんが一列に並んでのご挨拶でした。
メインキャストの他、アンサンブルとダンサー大野くんのコメントが聴けたのが嬉しかったです。
アンサンブルの方々は各々、この作品に出演できたことへの喜びを語り、
(スベトラーナのakaneさんは母国のスエーデン語で泣きながらご挨拶)
とうこさんは「ずっと変わらないものはこの世にありえない」という劇中の歌詞になぞらえたコメントでワケワカメになり、
石井カズさんが「スパシーバ。ロシアカラヤッテキマシタ」と変なロシア人になったのを受けて
浦井くんが何故か「カムサハムニダ」と別の国の人になってました
島健さんは「ちぇーっす!」と挨拶した後、「シマケンと呼ばれますが本名も島健です」って(汗)
この人オヤジギャグ好きなのね…
あっきーは相変わらずこの作品への愛を熱く語り過ぎましたが、なんとか許容範囲内でした。

誰もがこの作品のミュージカル化、あるいは再演のことを口にしていたので、
実行確度90%と勝手に予想しています。
でも、私たちのようなキャストのファンとか、荻田作品を見慣れているミューファンとかには
それはそれはクオリティ高い作品だったと思うけれど、
冷戦時代の政治情勢などの基礎知識が必要だし、
誰か一人に重きを置く物語ではないので感情移入がしにくいし、
一般受けはやはり薄いと思うわけです…
かと言って「一般受け」するキャストを持ってこられたらちょっと怒る。
小規模で良いしコンサート版のままで構わないので、青山劇場レベルの規模での上演希望。


さて、本日のあっきー。
まず元気そうで安心した(←母親か)
1幕の衣装はジャケットの裾が切っぱなしなのですが、糸がテロテロ出ていた上に、
中のシャツのボタンを掛け違えていた。
ヴォルフを思い出しましたが、より「子供っぽい感じ」を強調する演出だったのかな。
「あさましぃ~パ~ラサイト」は噂通りスゴイことになってました
「Pity the child」は青山では物理的な衝撃波を浴びる如く圧倒されましたが、
今回は劇場が広すぎるせいか、3階席では若干拡散された印象。
Bangkokは舞台に上がるまでこれっぽちも見えず
その代わり「Someone else's story」はラストまで綺麗に声を響かせ、
真骨頂を聞かせていただきました。

初日前に「アメリカ人の役だから背を高く見せないと」的な発言を繰り返していたので、
もしや再演時の出演条件として「フローレンス役より長身」という制限があるのかも?
私は青年雑誌の裏表紙によく載ってる「20日で背が伸びる!」みたいな怪しい薬を贈ろうかと本気で思ってましたが、
3階から見ても全然心配ないよ!
とうこさんと釣り合っていたし、記者に殴りかかるところもガチに見えたからオッケー!

でもでも、そんなことどうでもいいの。
何回か繰り返されたカテコの最後の最後、幕が降り切る寸前に
「絶対再演するから!」と彼が叫んだこと。
この恐ろしいぐらいに感動できた作品の最後を締めくくるのが、
彼の決意の言葉であったこと。
それだけで私は大阪に来た甲斐がありました。ありがとう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「CHESS in Concert」青山劇場

2012-02-05 | 舞台
「CHESS in Concert」青山劇場

1/27(金)マチネ 1階A列センター通路
1/28(土)ソワレ 1階L列下手サブセン
1/29(日)マチネ 2階E列下手サイド

【作曲】ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース(ABBA)
【原案・作詞】ティム・ライス
【演出・訳詞】荻田浩一
【音楽監督・ピアノ演奏】島 健
【出演】
安蘭けい / 石井一孝 / 浦井健治 / 中川晃教 / AKANE LIV
池谷京子 / 大野幸人 / 角川裕明 / 田村雄一 / ひのあらた / 横関咲


3日間CHESS祭りだった先週末。
これほど満足度の高い作品に「今年出会えるか?」と言うぐらいな
クオリティだったのも確かだけれど、
やっぱ贔屓が褒め倒されるのが、非常に気分良かった。
「水を得た魚」以上の言葉が浮かばないのが口惜しいけれど。


今回のコンサー版、きっとミュージカル版の前哨戦なのだと思います。
アンケート用紙に「ミュージカル化を希望しますか?」という項目があったけれど、
「はい  /  いいえ」
   ↑ この辺にマルつけました。

楽曲が良いので歌を大切に扱ってほしいし、
正直言えばコンサート版のままで定期的に上演してほしいです。
ミュージカル版でガッツリ物語を楽しみたいのはもちろんですが、
台詞のやり取りよりも、全面的に音楽を出してほしい気もする。

でも、今回のコンサート版で残念だったのは、
アナトリー側のセコンドであるモロコフを省略したこと。
ロンドン版DVDだと、
アービター(審判。憂鬱そう)
モロコフ(アナトリーのセコンド。胡散臭そう)
ウォルター(TV局プロデューサー。いい加減そう)
この3人が全員スーツ姿のオッサンで、初めは全然見分けがつきませんでした。
今回はモロコフ役とウォルター役の歌と台詞を、アンサンブル他に振り分けていますが、
それぞれの人物像をちゃんと表現されずにボケてしまうんですよね。

特にモロコフは、主要キャストの中に入れておけば、
チームの対立、試合の裏に隠された陰謀がよりはっきり出ると思うのですが。
あとアービターは「絶対的に中立」な立場を守ってほしいから、
「素晴らしいインタビューだった」とフレディの後押しをしてはならない。
もっと言えば、最後の種明かし(何故アナトリーがそのような選択をしたか)は
フレディにさせてはなりません。

歌詞の日本語訳も、「…」と思うところが無きにしもあらずでした。
私の英語能力レベルが中学生以下なので、DVD版の字幕を追っても大半は解りませんが、
「Anthem」で言いたいのは
「国に国境があっても私の心には国境はない」と理解していましたが…
(herは「祖国」のことだよね?)
あの訳だと、情に流された演歌的な背景を感じてしまいます。
英語詞を日本語に直すと、途端に情報量が落ちるのは仕方がないとしても。

しかしその他のことは本当に文句のつけようがなく…
演出や音楽や演者が、ここまで全て自分の好みにドンピシャな舞台って滅多に出会えない。
いろいろな廻り合わせに感謝します。

周りの評価も、こんなに高評価だと逆に怖くもなってきます。
トークショーも面白かった(1/28ソワレ後)。
あっきーが、この作品について深く考えている故に滔々と話し出すと、
「…あなたの気持ちは解っているけど今日は時間制限もあるし」と
若干ハラハラしてきますが、
「中川くんは天然だけどとても真面目で作品を深く理解している」と
好意的に捉えてもらったのが、すごく安心した(←母親か)
パンフレットのコメントも個人写真も(彼だけが歌っている写真だった)
とても良かった。


そして、あれから時間も経っているのに、まだまだ後遺症は続いています。
全く音源がなければまだしも、ロンドン版のDVDが手元にあると
見ながら脳内再生してしまうんだよね
で、年末に「今年は遠征しない」と固く心に誓ったのに、早くも掟破りですが、
なんと日帰り遠征を決行することに
「もう一度聞きたい」というよりも「大楽に立ち会いたい」という気持ちが強いです。
さて、梅芸の3階席から観たあっきーは、
やっぱりマメツブぐらいの大きさなのでしょうか…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする