それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

今年観た映画2023

2023-12-31 | 映画
今年の夏の暑さは人生始まって以来の過酷さで、外に出る気力が全て奪われました。
夏以降もなんとなく出不精になり、忙しさもあってスクリーンから遠ざかっていましたが…でも去年なみの27本鑑賞。
「仕掛人・藤枝梅安」のような時代劇を愛でるような年齢にも差し掛かってきました。

なので、遠出せず行き慣れているいつもの上映館で、帰宅が遅くならない時間帯のものから作品を選択することに。
印象に残ったのは「怪物」「BLUE GIANT 」「正欲 」そして「THE FIRST SLAM DUNK 」、ほぼFILMARKS AWARDS 2023のトップ10なんですが、 結局「みんなが観るものはよく出来ている」という当たり前すぎる事実に突き当たりました。
スラムダンクよバカにしてて本当にごめんなさい…
ということで2024年は見逃しそうな「ゴジラ-1.0」から始めます。

■ 2023年に観た映画

そして僕は途方に暮れる
レジェンド&バタフライ
仕掛人・藤枝梅安 
エゴイスト 
シャイロックの子供たち 
湯道 
BLUE GIANT
シング・フォー・ミー、ライル 
ロストケア 
仕掛人・藤枝梅安2 
銀河鉄道の父 
THE FIRST SLAM DUNK
岸辺露伴 ルーヴルへ行く 
渇水 
怪物 
リトル・マーメイド 
大名倒産 
君たちはどう生きるか 
マイ・エレメント 
ミステリと言う勿れ 
シネマ歌舞伎 桜の森の満開の下 
アナログ 
ゆとりですがなにか インターナショナル 
おまえの罪を自白しろ 
正欲
ウォンカとチョコレート工場のはじまり 
劇場版SPY×FAMILY CODE:White

2023年 27本  
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「怪物」

2023-06-16 | 映画
チマタの噂に従って事前情報をほとんど入れずに鑑賞。
予告編だけは見ていたので、ぼんやりとモンペの話かなと思っていた。

「思ってたんとなんか違う」と感じはじめたのは、最初に母親が学校に乗り込む場面。
いくら何でもそこまでしないよね?という違和感が可笑しさに代わってきて、まるでコント番組のよう。
実際映画館も笑い声が起きてたし。

おかげで、以降は感情移入せずにフラットな見方ができた。
人は見たいものを見たいようにしか見ることができない。
忘れてしまいたいことは「なかったこと」にする。
出来事は自分の都合のよいように誇張して記憶され、それをまるで真実のように語ってしまう。
私も男の子の母親だから、実際に経験したら同じように怒り狂うと思うけど。

画面の隅々に仕込まれた情報量が多くて目が忙しかった。
かかとを踏んだまま履いた靴。
いつも消しゴムをガシガシこすっている男子。
交わされる会話の後ろで手を洗っている女子。
組体操の練習で教師が何気なく口にする言葉。
時系列の並びがくっきり表現されることはないけど、展開が読めないからこそ集中して観ることができた。

「怪物ゲーム」は自分の頭にかざしたカードのキャラクターを当てっこするゲームだけど、必勝法は「どんな質問をすれば相手からキーワードを引き出せるか」を考えること=自分がどう相手に見えているかを想像すること。
こんなゲームが楽しめる子供たちには、明るい未来が待っていると信じたい。
ラストの解放感は、決して悲劇ではないことを示していると私は感じました。
とにかく「すごい映画」としか言えないので、事前情報や他人の感想は一切触れずに見てほしいです。
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「渇水」

2023-06-08 | 映画
「湯道」で銭湯を継ぐの継がないのでバシャバシャしていた生田斗真くん、今度は水が渇くのか…とかなりの期待。
観たあともいろいろ考えさせられる作品でした。

ただ、ネグレクトされた姉妹があまりにも不憫で、どうしてもそちらに引っ張られてしまう。
今なら児相に即刻通報だろうに誰も動かない違和感。
原作は30年前の出版だそうで、あの時代ならそれこそ「誰も知らない」ことになるのかも?
30年前の設定なら喫煙シーンの多さも納得か(あれ?スマホは出てきたよね)。

岩切は妻と上手くいかず家族の問題を抱えている上、決して幸せとは言えない家庭で育った過去を持っていて…そのことを貧困にあえぐ姉妹と重ねて表現したかったのがテーマなのかな。
生死に関わる貧困問題と私的な家庭不和では問題の大きさがアンバランスで、しかも家庭不和に至る原因を深く描いてないのでこれも違和感が残った。

ラストの「流れを変えるためのテロ」、ここはすごく気持ちよかった。
そこまでのザラザラして乾ききった質感の映像が、怒涛の水流で押し流されるような。
あとみんな大好き磯村勇斗、「どこにでもいそうな後輩」感が見事でした。
今上映している全ての邦画に出てるんじゃない?
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「THE FIRST SLAM DUNK」

2023-05-18 | 映画
湘南住みなので、いろんな人から驚かれた。
「えー、まだスラムダンクの映画観てないのぉ?」
そう言われる度に、映画館に行く気が失せた。
だって、バスケ好きってわけじゃないし…
原作漫画も昔ちょっと読んだだけで覚えてないし…
江ノ電のあの踏切も最近は人が多過ぎて、地元民としてはちょっとねぇ…
でも溜まったポイント使って無料でこっそり観てもいいかも…

という私にピッタリな映画だった。
途中まで花道も流川も三井もわからなかったけど、
夢中になって彼らを応援してた。
映画を観ながら文字通り「手に汗握る」って体験を初めて味わった。
キャラの一人一人に奥深い背景があるだろうし、
観る人が観ればいくつもの伏線を見つけられるだろうけど、
知識ゼロでもバスケ嫌いでも十分感動できるようになっていた。

前にみた「BLUE GIANT」もそうだけど、
アニメならではの表現の素晴らしさが究極だった…
これこそ映画館で体験すべき作品。
応援上映に参加したい気持ちがいまMAXです。
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「シング・フォー・ミー ライル」

2023-03-24 | 映画
正しいファミリー映画であり正しいミュージカル映画でした。

子供から大人まで楽しめるし、物語はひねりのない王道で、ズートピアのように現代社会の問題点を突くわけでもないし、難しく考えず気持ちよい読後感を得られます。
ひとりひとりにフルコーラスのソロ曲があって、ダンスも歌も完成度が高い。
突然歌いだすっていうミュージカルあるあるも随所に見られるし、若干ゴーインに進むのもお約束。
ライルの表情や動きも可愛かったです。

吹替版で鑑賞しましたが、言われなければ大泉洋とはわからないんじゃないかな。
オリジナルのショーン・メンデスの歌も予告で聴いたけど、声質が近いので途中原語から日本語にチェンジする歌も違和感ありませんでした。
ただ…「歌声だけで聴衆を総立ちにさせる」という説得力は、歌が上手いとか練習を重ねたというだけでは持ちえない、技術を要するものだと思うんですよね。
その意味で「やっぱりプロのミュージカル俳優のほうが良かったかも」と途中までは思ってました。
でもそんなケチな感想も最後の法廷の場面でオチがつくんだけどね!
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「BLUE GIANT」

2023-03-11 | 映画
久々に映画館で「音楽になぎ倒される」感覚を味わいました。
漫画が原作であることさえ知らずなんとなくタイトルに魅かれて観ただけなのに、得難い体験ができてよかったです。

ライブパートのCGに違和感持つ人が多いようだけど、わたしはこの映画の真髄だと思っています。
楽器から放たれる眩い光線、うねる風景、アニメでなければ見られない表現が実に多彩で面白かった。
ほかの2D場面がすっごい地味だったのは落差を狙ったのかな…

ストーリーもど真ん中青春根性モノで、気持ちよいほど予想したように進む。
主人公3人のキャラがわかりやすいことに加えて周りにいろんな大人が出てくるのも魅力。
力を貸す大人、そっと見守る大人、正面から諭す大人、見下す大人…
でもみんな音楽が、JAZZが大好きなんだよ!

映画館はおひとり様の男性9割でちょっとアウエーだったけど、隣席のオジサマが観終わったあとそっと涙を拭いていたのがなんか嬉しかったなぁ。
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「シャイロックの子供たち」

2023-02-23 | 映画
池井戸潤原作の「半澤直樹」的な勧善懲悪モノを期待していたら、
良い意味で裏切られました。
主人公はじめ誰もが脛に傷を持ち、詐欺師には詐欺で倍返しをする。
スカッとしたカタルシスを得ることはなく、「人生なんてこんなもの。それでも生きてゆく」的な悲哀とリアリティを感じました。
ドラマよりもこじんまりしてるけど2時間緊張して楽しめた。

阿部サダヲさんの人間味のあるキャラに救いがあって、その行為の是非は別として上司になってもらいたい人の一人になりました。
橋爪さんと柄本さんの狐の化かし合いのような演技もスリリングだったし、
木南晴夏さんの「いるいる~こんなヤツ」みたいな嫌味な同僚も良かったけど、
佐々木蔵之介さんの陰のある表情が…良かったなぁ。
あと冒頭のシェイクスピア劇のシャイロックは吉見一豊さんかな。
劇団四季提供の豪華な衣装も見応えありました。

ただ、素人から見ても「マジ?」と思うところはあった。
10億もの金額が動くならもっと大勢で多方面から審査しないの?
それ、落としたりゴミ箱に捨てたりするぅ?
実印と印鑑証明のチェックって今でも目視なの?(これは本当に疑問)
…とは思うけど、国家機関を巻き込む巨悪ばかりでなく街の小さな金融機関なら多少はあり得ることなのでしょうか。
銀行勤めでなくて良かったぁ、と変な安堵を感じる映画でもありました。
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「レジェンド&バタフライ」

2023-01-27 | 映画
私自身がうつけ者過ぎるのですが、観る前はすっかり「レジェンド of バタフライ」だと思い込んでおりました…
「帰蝶伝説」ならば、濃姫の生涯が中心?ちょ待てよそう言えば「&」だったかも、ダブル主演だし…と冒頭はアレコレ頭を巡らしましたが、導入すぐに気にならなくなりました。
とにかく二人ともカッコ良く、馬の乗り方や剣さばきなど見応え十分。
168分の長尺も長さを全く感じさせず、日本史疎い勢にも優しく(なので合戦シーンは必須ではない)、史実とファンタジーの綯い交ぜ具合が心地よく、あえて言えば全方位に向かって作っている感。

多額な製作費がかかっていることや普段は入れない寺院でのロケ敢行、ぎふ信長まつりの盛り上げなど制作側の熱い想いも見てとれるけど、
アニメ以外の作品でここまで話題になり映画館を埋める作品が出てきたことに感謝です。
家のテレビではなく劇場の大スクリーンで観ることの醍醐味を味わいました。
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今年観た映画2022

2022-12-30 | 映画
これ、という作品が少なかった年でした。
自分の感受性が弱くなっているのだと思いますが、映画に対する期待度が小さくなったのかも。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や民放ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」「silent」などテレビドラマが面白かったのも一因。
あとあと余韻が残ったのは
「流浪の月」「犬王」「すずめの戸締まり 」そして「ウエスト・サイド・ストーリー」でした。
映画館の観客数も減少が止まらないような印象を受けますが、ネトフリやアマプラで良作を独占配信しているのも時代ですね。
「すずめの戸締まり」のような感動的な映像を、映画館の大画面で誰もが堪能できるようにサービスを考えてほしいと思っています。

■ 2022年に観た映画

決戦は日曜日
99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE 
コンフィデンスマンJP 英雄編 
大怪獣のあとしまつ 
ウエスト・サイド・ストーリー[字幕] 
シラノ[字幕] 
ウェディング・ハイ 
SING/シング:ネクストステージ[吹替]
大河への道 
流浪の月 
犬王
シン・ウルトラマン
バズ・ライトイヤー[吹替] 
破戒
キングダム2 遥かなる大地へ 
TANG タング 
今夜、世界からこの恋が消えても 
百花 
川っぺりムコリッタ 
犬も食わねどチャーリーは笑う 
耳をすませば 
窓辺にて 
すずめの戸締まり
ある男 
土を喰らう十二ヵ月 
月の満ち欠け 
ラーゲリより愛を込めて  

2022年 27本  
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「月の満ち欠け」

2022-12-08 | 映画
ほとんど予備知識なく鑑賞。
序盤から硬い調子で文学的な台詞が多く、ああこれはファンタジーなのね?となんとなく理解。
すると物語は時系列を遡って、許されざる恋に落ちた二人の回想に。
ここはノスタルジックで良かったなぁ。
80年代の雰囲気がジョンレノンの音楽とマッチしていて、有村架純はひたすら可愛いし、今をときめく目黒蓮も素敵でした。

でもそこからは怒涛の展開、一言でいえば大泉洋があまりに不憫。
結局、瑠璃は田中圭のせいで二度も事故に会い(まじ許せん)、前世に大きく未練を残したが故に生まれ変わったののだろうと思うけど、現実を生きている大泉洋が頑なにそれを否定し続けるのも至極納得する。
彼にとっては、姿を変えて生まれ変わった娘よりも、具合が悪くなった母親のほうが大切なんだろうな。
母親を失ったら本当に独りぼっちになってしまう。

新幹線の中で号泣する大泉洋がクライマックス。
生まれ変わった子供の姿の瑠璃に会っても、残されたビデオの中に映る在りし日の妻や娘とは別人でしかないことに打ちのめされる。
その無常さが伝わってきて、この映画で唯一感情移入できるシーンでした。
わたしがスピリチュアル的なものが苦手なのもあるかもしれないけれど。
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