それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「彼らが本気で編むときは、」

2017-03-26 | 映画


『かもめ食堂』『めがね』などの荻上直子監督が手掛けたオリジナル脚本の人間ドラマ。母親に育児放棄された少女が叔父とその恋人に出会い、共同生活をするさまを描く。女性として人生を歩もうとするトランスジェンダーの主人公リンコを生田斗真、その恋人マキオを桐谷健太、母親に置き去りにされたトモを子役の柿原りんか、彼らを取り巻く人々を、ミムラ、田中美佐子、小池栄子、りりィ、門脇麦が演じている。


斗真くんがトランスジェンダー役に挑戦…という話題性十分な映画ですが、上映館も少なく予定を合わせるのに苦労しました。
監督は「かもめ食堂」など、癒し映画でその名をはせた荻上直子監督。
「もはや癒してなるものか!」と今回は趣を変えたそうですが、世界観はそのままキープされています。
食卓風景や部屋のインテリア、リンコの服装、相変わらず温かみのある映像でした。

そして、トランスジェンダーの映画というよりは「母性」の映画でした。
主人公リンコは(過去はともかく)、身体の工事も完了、介護施設での仕事にも支障はなく、何より理解あるパートナーに恵まれている。リンコの母親(田中美佐子)が度量の大きい母親であったことが全てなのだと思います。
ガタイのよい斗真くんは敢えてそれを隠さずに、なんとも女性らしいワンピースを美しく着こなして…というより、
「元はオトコの体だったけれども私は自信を持ってこの服を着ている」という矜持が見て取れる。

なので、元から幸せであるリンコではなく、主軸は母に育児放棄された少女トモの物語。
この子役ちゃんが見事で、こまっしゃくれていて背伸びしていてでも子供の部分が隠し切れない身の上をよく表現しています。
糸電話の場面なんか切なかったなぁ…

たぶんそれと対比させる意味で出てくるのがトモと同級生の男の子。
思春期の息子を持つ身としては、非常に憤りました。
彼が周囲から心無い言葉を浴びせられ、母親にさえ否定され、映画を観ながら「…そんな結末にはならないよね」と思っていたら
本当にその方向へ行ってしまったときの絶望感ったら。
彼の行く末がぼかされていたのが唯一気になりました。

場面場面が美しく、いつまでも心に残る映画になりました。
今年の映画賞レースに絡んでくる作品だと思います。
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これからのあっきー予定を考える【3月下旬現在】

2017-03-24 | 日記
5月の小沼ようすけさんとのライブが発表になりました。
そして、「オリンピックコンサート2017」のゲスト出演!
もしかしてフォーラムA出演は初めてなのかな…とても喜ばしい。
読売演劇大賞受賞によって、「中川晃教の立ち位置」がここのところ変化を遂げているのがさらに嬉しいですよね

私が3年前の「オリンピックコンサート2014」に参加した記録は → ここ
StarSさんが緊張しながら出演していらっしゃいました。
今年も例年通りなら、ゲスト出演は第2部のみで数曲の担当と予想しているけど。
(新妻聖子ちゃんとソロ1曲ずつ、デュエット1曲、合唱団とコラボ…ぐらいかな)

主催者さんが過去の記録を残してくれていて、セトリも残ってます。 → Harmony JAPAN さんのサイト
ダイジェスト版のテレビ放送(地上波)もしてくれると思われます。

冬季平昌オリンピックの前年でもあるし、ゆづるくんの出演…は望みが薄いかもしれませんが、
今回も多くのトップアスリートが出演してくれるだろうし、ここはぜひ参加して応援したい!
(…とは思うけど、その前に「ビューティフル」の日程を考えなければ!)


【4月からの公演と出演予定】 

4/9~25 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)
4/29 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(福岡 キャナルシティ劇場)
5/6~7 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(大阪 サンケイホールブリーゼ)
5/9~10 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(愛知 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)

5/20 中川晃教meets小沼ようすけ~music is wonderful~(HAKUJU HALL)

6/9 オリンピックコンサート2017(東京国際フォーラム ホールA)

7/26~8/26 ビューティフル The Carole King Musical Beautiful(帝国劇場)

11/12 中川晃教シンフォニックコンサート(豊中市立文化芸術センター 大ホール)

11月 NHKドラマ・大河ファンタジー精霊の守り人シーズン3 出演

12月 HEADS UP!(KAAT神奈川芸術劇場)

2018年

3月 HEADS UP!(TBS赤坂ACTシアター)
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中川晃教 Symphonic Night with Love 3/14

2017-03-15 | ライブ


中川晃教 Symphonic Night with Love
3/14(火)19:00 紀尾井ホール 1階10列

【出演】中川晃教(歌)藤原いくろう(指揮)東京オーケストラMIRAI(Orch)

キャパ800名の紀尾井ホールは殆ど空席がなく、当日券にも多くが並んでおりました。
シンプルで落ち着いた内装で、とても居心地がよかったです。
何より音響がよかった。
マイクを通したヴォーカルとナマ音のオーケストラとのバランスがよくて、どの曲も素晴らしい臨場感でした。

小編成のオケは比較的若い方が多く、曲が終わるたびに拍手(楽器を叩いての)をしているのも温かい気持ちになりました。
コンマスの方が終始笑顔で演奏なさっていたのを見ると、こちらも思わずニコニコしちゃいます


【第一部】
1.歌劇「フィガロの結婚」~「交響曲第40番」(オケのみ)
2.夢を支配する者(ミュージカル「ロックオペラモーツァルト」より)
3.NO.5(交響曲第5番「運命」)
4.HAPPYDAY(トルコ行進曲)
5.バレエ「眠れる森の美女」よりワルツ(オケのみ)
6.Earth Song

モーツァルトの有名曲の演奏のあと、あっきー登場。
細い黒襟のタキシードにキラキラの蝶ネクタイはあっきー史上最高フォーマル度数を更新したかも。
左胸の薔薇モチーフのブローチは、贈賞式のときと同じデザイナーさんかな?
黒とオフホワイトがグラデーションになっている靴がオシャレだった。お写真をどこかにアッププリーズ

舞台やや下手寄りに(おそらく歌詞と台本が表示されている)iPadが設置されていて、最初はほぼその立ち位置から動かず。
マイクも有線だったけれど、あえての選択かな。
観るほうも相当の緊張があったので、佇むあっきーをじーーーーっと凝視してしまいました。

「夢を支配する者」は役を背負っているROMのライブ盤に比べて実にあっさり。
(でもサビ部分で「カモーン!」が入ったのが嬉しくもあり)
「NO.5」と「HAPPYDAY」は、ギターとチェロ、ピアノの編成を聴き慣れておりますが、
オーケストラのアレンジだと「こうなるんだ!」という新鮮な驚きでした。

なんと言っても圧巻は「Earth Song」でした。
バードコールの音から始まり、最初は語りかけるように、徐々に上昇して声色を遊ばせるように。
曲が終わってもしばらく拍手ができないほど圧倒されました。
今回だけではもったいないので、ぜひぜひ次の機会にもセトリに入れていただきたい!

【第二部】
7.I'm gonna stay with you(弦楽カルテット+ピアノ)
8.終わりのない愛(白鳥の湖)(弦楽カルテット+ピアノ+オーボエ)
9.My heart calling you
10.LOVE NEVER DIES
11.Listen
12.I will Get Your Kiss
【アンコール】
En1.Can't take my eyes off you(英語Ver.)
En2.春

「第二部は『愛』をテーマにお届けします」とのことで、ミニアルバム「砂漠」「オアシス」からの選曲も。
オリジナル曲中心だったのもあって、歌詞表示用のiPadは不用になり自由度が増してきました。
曲調に合わせ細かく動く左手、持ち替え技(わずかに投げ上げてキャッチする)が見られた右手、ほんとに饒舌な手だなぁ。

「終わりのない愛」は大好きな曲だけど、オーボエの音色がとても主張があってよかったです。
「LOVE NEVER DIES」は個人的には「まっさきにオーケストラVerで歌ってほしい」と思っていたので念願叶いました。
物語性があり構成がドラマチックな曲なのでぴったりですよね。
ラストの「ようこそーーー」はオケが一斉に弓をストップモーションで止めて、そこからのロングトーンの伸び。
一瞬の間を置いて、割れんばかりの拍手でした。

まさかこの曲が!と予想を覆す「Listen」、ラストはデビュー曲と、
今回はどちらかと言えばあっきーの高音の歌声をたっぷり堪能できたセトリでした。

そして一番盛り上がったのはやはり「君の瞳に~」でした。
「この曲は本来ドラムが入るけれど今日は入っていません。皆さんの心の中でビートを感じたと思ってます」って、あれは手拍子入れたほうがよかったのかな…


【MC】
サントリーホールと比べMCは多めでしたが、セットチェンジする間のつなぎだったり、
アンコールのときは告知事項が多すぎて超絶早口だったり(でも滑舌よい早口なのでよくわかりました)。
冒頭からipadを読みながらのホワイトデーの説明がめっちゃ和みました…
時間が経ってしまい記憶がないのですが、順不同かつ私の作文追加度80%で書き留めておきます。

「紀尾井ホールには思い出もあって語りだすと時間がかかってしまいます」
(紀尾井ホールの小ホールは以前朗読劇で出演していました。 記録は → ここ 何か言っておきたいことがあったのかもしれないけど結局わからず)

「子どもの頃は一人遊びが好きで、レゴで遊んだり絵を書りたり、ピアノを弾いたり。家のそばにある壁にボールをひたすら投げるという遊びもしてました。ファイナルファンタジーの魔導士(?)になったつもりで、全能力を持っている設定でひたすら攻撃を妄想しながらボールをぶつけていた。…変ですよね」

指揮の藤原さんとの会話が絶用でした。
「(藤原さんに向かい)金髪がステキですよね。僕も金髪の時期があったけど髪が痛みませんか?」
「痛まないようにしています、地肌をマッサージしたり」
「そうなんだ~」(いやこの話の続きは楽屋で…と会場全体)
「(あっきーのYGCBの告知を聞いて)僕もスヌーピー大好きで、家に100体以上あるんです」
「そうなんですか!(金髪だと少し怖い印象があるので)今のでめっちゃ親近感沸きましたよね!」
「(汗が出るので)藤原さんこのタオル借りていいですか」
「いやそれ最初から中川さんのために置いてありますよ」(これまた今更かい!と会場全体)

どのタイミングだか全く覚えてないけれど。
「音楽の中で生きたい、水も空気も食べ物も周りのものが全部音楽でできていたらいいのに」
音楽とともに…という発言は初めてではないけれども、これほど詩的な表現ではなかったし、これほど彼に似合う表現もないのでは。
今日のコンサートに相応しい珠玉の言葉でした。



総じて。
今まで何度かオーケストラバックのコンサートがありましたが、今回が一番ストレスなく聴けました。
会場の規模なのか、私の席位置がよかったのか、それとも慣れたのか
ミュージカル俳優という立場やあっきーの透明なヴォーカルを活かすとなると、シンフォニックなライブが似合うと思われるのは自然な流れだとは思うけれど、今回はさらなる可能性を大きく感じました。
ていうか、あの曲もこの曲もオケアレンジで聴いてみたい!
予定曲目にあった「フィガロの結婚序曲」はもしかしてヴォーカルあり予定だったのかな~とまで考えてしまう。
11月のライブに遠征する気持ちも大きくなってきました。がんばろ
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祝賀会の思い出

2017-03-06 | 日記
3/5に椿山荘で行われた、中川晃教さんの「読売演劇大賞受賞祝賀会」のレポをアップしています。 → ここ

FC会員を対象としたクローズドのイベントなので、しばらくの間は限定公開に設定しております。
閲覧にはパスワードが必要です。

3/5配信のサンデーメールの
「みなさんこんんばんは、サンデーメールの時間です」に続く文章の、冒頭2漢字をローマ字読み6文字にしたものがパスワードです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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読売演劇大賞・最優秀男優賞受賞おめでとうございます!

2017-03-01 | 日記
2月28日に、読売演劇大賞の贈賞式が行われ、Twitterに各種メディアから多くの報告があがりました。
私もリツイート怪人になってRTしまくりましたが、もうどこまで読んだのかもさっぱりわからない。

hildaさんがツイートのまとめ記事を作ってくれました(ありがとうございます) → ここ
これでゆっくり読めます

リンクされているメディアの記事のまとめ方もそれぞれですが、
あっきーと演出家藤田さんのコメントを最も詳しく書き起こししてくれたのは、日本ポピュラー音楽協会さんのブログかな。映像で見られなかった箇所も含めてひとつひとつの言葉に重みを感じられて、読めてよかったです。 → ここ

式典の最後には「ジャージボーイズ」のパフォーマンスもあった模様です。
プロデューサーの今村さんが説明してくれてますが(上記まとめ記事参照)、「Oh,What A Night!」から始まって4曲ダイジェストだったんだね~。これは完全版をぜひ見てみたいです、東宝さん!

あっきーソロ部分も素敵。ていうかヴァリ声絶好調。


でも、最も感涙だったのは、あっきーご挨拶の映像でした。
もっと長い映像も公開されているけれど、あえてこのブログに残しておきたいのはここ。



ファンになってかれこれ10年ぐらいですが、ライブやイベントで目頭を押さえたり涙ぐんだりしているのを見たことはあっても、こんなに言葉に詰まる彼を見たことはありません。
それを見守るジャージーチームから「あっきー!」の声がかかる。
そこから続くコメントももちろん素晴らしく感動的なものであったけれど、この彼の表情から全てが伝わってきます。
フランキーヴァリ役に決まったこと、そこまでのオーディションの経緯、41公演を続けていくさなかの緊張、彼が事あるごとにFC会員宛に毎週報告してくれることで、何もしていないのに一緒にあの夏を駆け抜けた気持ちです。
だからこの映像は何度見ても泣ける。
これから先「悲しくないのに涙を出さなければならない」ことになったら、この映像を思い出すことにします。

演劇の賞って、アカデミー賞のようにメジャーでもないし、世間の耳目を引くものではないですよね。(翌朝のWSにも出てこなかったし)
それでも、ミュージカル作品が初めて作品賞を受賞したことは、演劇界の中でとても大きな意味を持つのだと思います。
本当におめでとう、そして来年の再演まで私もがんばって生き延びよう!
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