中嶋朋子が誘う 音楽劇紀行| バロック・オペラからミュージカルへ ~音楽劇の歴史を追う
第六夜 ミュージカル
2/2(土)14:00 Hakuju Hall D列
【総合プロデューサー】田尾下哲
【出演】
中嶋朋子(案内人)
加藤昌則(音楽監督/ピアノ)
サラ・オレイン(アーティスト)
中川晃教(シンガーソングライター)
三宅理恵(ソプラノ)
加耒徹(バリトン)
2016年5月開催の
「中嶋朋子が誘う 音楽劇紀行|第一夜」も参加しました。
第一夜は若干「音楽史の講義」という雰囲気もあり「私なんかが参加してもよいのか…」と緊張したのですが、今回も開演前の客席が静まり返って肩の力が入りました。
舞台を見ると、あれ?ピアノ用の椅子がパイプ椅子になっている。なんでだろう?
…と思っていると、客電が落ちピアノの加藤さんが入場すると、ぎょっとしながら椅子を入れ替え→座ったらズッコケる→客席に会釈。一連の演出だったんですね!
という感じで、一転して和やかでリラックスした雰囲気になりました。
中島朋子さんも華やかな衣装で登場し、架空の名前の講師という設定で、お話もシロートの私でも十分理解できるような内容でした。
曲も時系列でなく、解説を交えながら歌手の方が次々入れ替わり曲披露。
素人すぎる感想で申し訳ないのですが、ソプラノ三宅さんとバリトン加耒さんの歌圧が凄かった…
オペラ曲はもちろん原語で歌われるので曲の背景はパンフに書いてある僅かな情報から推察するしかないけれど、歌い方や表情で伝えたいことが十分伝わってくる。声量が凄すぎて、比喩ではなく耳のそばで空気が本当にビリビリ震えるのが分かりました。
(あと加耒さんの客席視線総ざらいの目ヂカラも。心の中でオペラ界の氷川きよしと呼ぶことにする)
サラ・オレインさんは羽生くん出演のアイスショーにも出演していたのでなじみ深い。歌をきちんと聴くのは今日が初めてです。
オペラ曲「私を泣かせてください」と、MemoryやOn my ownでは違う発声で聴かせてくれました。
音楽劇紀行には何回か出演されているらしく、慣れた様子。Memoryのネコはイメージ違うけど衣装がカワイかったー。
あっきーは4曲。
ハミルトンから「History Has Its Eyes on You」は「現在のミュージカルを代表して」というチョイスなのか、でも難しそうな曲。
「世界が終わる夜のように」は当たり前だけど今回はオール原語、つまりミュージカル曲は英語詞なんですね。
あっきーが英語詞で歌うのを聴いたのは初めてかなぁと思いながら、saxophoneという英語をそのまま残した岩谷先生の訳詞に今さらながら感動しました。
「somwhere」はまず何に驚いたかって衣装。
Twitterに衣装写真がアップされましたが(右側モノクロ写真)、これスーツの腕部分を切り裂いてるんですね…
アバンギャルド過ぎる衣装で売ってるのか自分アレンジなのか不明ですが、袖がどうなってるのかもっと見たかったなー。
そして本公演のラス曲が「君の瞳に恋してる」でした。
パンフの曲紹介では、元の作品の説明とともにあっきーがシングルキャストでヴァリ役を演じたことを書き記し、こう続けています。
「日本公演で唯一フランキー・ヴァリを演じている中川が、最終回の最後をこの曲で締めくくる」
ミュージカルがテーマの第六夜になんと相応い言葉なのでしょう…
そのことを反映しているのか、英語詞に続けて2コーラス目は日本語詞で歌われました。
アンコール曲も素晴らしかった。
音楽監督加藤さんのオリジナル曲なんですが、グレゴリオ聖歌からミュージカルまでをモーツァルト風やロッシーニ風にアレンジして歌手が歌い継ぐ。
晃教さんはグレゴリオ聖歌を客席後ろの位置で歌い上げ、文字通り頭の上から降り注ぐハイトーンヴォイスに身も心も洗われた気分。HAKUJU HALLの雰囲気にぴったりだった。
お呼ばれ的なスタンスの今回は演出も客席もウエルカムな雰囲気でした。
マイクを使うあっきーと生声のオペラ歌手の方の音量の差は永遠の課題かもしれないけど、少なくとも私の席では良いバランスだった。
出演するにあたり準備が大変だったと思いますが、異種格闘技のような、そして私たちに新しい世界を見せてくれる企画がこれからも続くことを願っています。
【プログラム】
第1部
<ミュージカル>
マニュエル=ミランダ:ミュージカル「ハミルトン」より “歴史があなたを見ている” (中川)
ロジャース:ミュージカル「王様と私」より “シャル・ウィー・ダンス?” (三宅&加耒)
<バロック・オペラ>
ヘンデル:歌劇「リナルド」より “私を泣かせてください” (サラ)
ヴィヴァルディ:歌劇「ティート・マンリオ」より “戦いをしたがる心が” (加耒)
<ミュージカル>
アーレン:映画「オズの魔法使い」より “虹の彼方に” (三宅)
<古典派オペラ>
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より “愛の神よ、安らぎをお与えください” (三宅)
<ミュージカル>
シェーンベルク:ミュージカル「ミス・サイゴン」より “世界が終わる夜のように” (サラ&中川)
シェーンベルク:ミュージカル「レ・ミゼラブル」より “オン・マイ・オウン” (サラ)
第2部
<ミュージカル>
ワイルドホーン:ミュージカル「ジキルとハイド」より “時が来た” (加耒)
<ロマン派オペラⅠ~イタリア・オペラ>
ロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」より “これ以上に馬鹿げたことはないわ” (三宅)
<ミュージカル>
ロイド=ウェバー:ミュージカル「キャッツ」より “メモリー” (サラ)
<ロマン派オペラⅡ~フランス&ドイツ・オペラ>
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」より “あなたを愛しています” (加耒)
<ミュージカル>
ルグラン:映画「ロシュフォールの恋人たち」より “双子姉妹の歌” (サラ&三宅)
<オペレッタ>
スッペ:喜歌劇「ボッカチオ」より “あそこに立っている若者は” (加耒)
<ミュージカル>
バーンスタイン:ミュージカル「ウエストサイド物語」より “きっとどこかに” (中川)
<ロマン派オペラⅡ~フランス&ドイツ・オペラ>
トマ:歌劇「ハムレット」より “遊びの仲間に入れてください” (三宅)
<ミュージカル>
メンケン:ミュージカル「美女と野獣」より “愛せねば” (加耒)
ゴーディオ:ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」より “君の瞳に恋してる” (中川)
アンコール
音楽劇紀行