Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「シェルブールの雨傘」ジャック・ドゥミ

2009-10-30 00:22:21 | cinema
シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

Happinet(SB)(D)

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シェルブールの雨傘LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
1963フランス
監督:ジャック・ドゥミ
製作:マグ・ボダール
脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:ジャン・ラビエ
作詞:ノーマン・ギンベル
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー、アンヌ・ヴェルノン


いや~切ないですよ。
大変な意欲作だと思ったけれども、
扱うテーマは非常にシンプルで、
どこにでもある話。
そしてそこにはなおも人の心を震わせるドラマがある。
人は、人生は、やっぱドラマちっくですよ。
そのことだけに力を注ぎ込んだジャックやミシェルに
ワタシは感謝したい気分満載です。

二度泣いたよ。

一度目は、ギイが出征で列車に乗り旅立つ別れのシーン。
別れ自体十分悲しいのだが、カメラがギイの背後からジュヌヴィエーヴをとらえ、
列車が動き出すとすーっと列車よりもはやく引いて行く。
その空間に、本当に離ればなれになってしまったという、あぜんとするような感じがよく表れている。悲しいだけじゃない、変にあっけない、本当に起きてしまったというあの感じに、見事に引き込まれて彼らの心をワタシは生きた。

そして、最後の再会のシーン。
マドレーヌが出かけるわと言った瞬間にその後の展開が見え見えなのにも関わらず!想像通りの展開の中に彼らの抱えた切ない思い出がありありと感じ取る事ができる。
ジュヌヴィエーヴが幸せなのかはわからないが、不幸だとしてもそこでよりを戻すなんて事を言い出さない。彼女は自分が選んだ道のことをよく知っているのだ。彼女はなぜ遠回りして結婚後初めてシェルブールを訪ねたのだろう?そういうことを想像させるけれど、もちろんそんな説明はない。感じさせる。心を感じさせる。
ギイとジュヌヴィエーヴの子であるはずの少女にもギイは接触したりはしない。彼もまた自分のあるべき姿をわかっている。
帰って来たマドレーヌとフランソワをあたたかく迎え、子供と雪の中戯れるギイのロングショットには泣けた。

誰もがドラマなのだというメッセージに泣けるのは、
やっぱりある程度歳を取ったからなのかな。
若い人には受けないかもしれないが、きっと心の底では受け入れてくれるだろう。
かつての自分がそうだった。
根はロマンチストなのに、突っ張ってメロドラマを馬鹿にしてみせる。

それはそれで若者らしくていいんですけどね。

(何のハナシだ?)



ジャック・ドゥミがアニエス・ヴァルダと運営していた製作会社が関わっているが、この会社は今もあり、アニエスの近作「アニエスの浜辺」の製作も手がけている。
ミュージカルというハリウッド的な装いを、オペラ的なヨーロッパの伝統を踏まえながら自分たちの現代的独自性の中に昇華しようとする試みに感動した。




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6 コメント

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Unknown (piaa)
2009-10-30 01:05:03
いや~、これ私もかなり好きな映画なんですが、ラストシーンにはちょっとした謎が残る作品だと思うんですよね。
当方ブログの記事ふたつをTBしておきますのでちょっと考察してみてくださいな。
返信する
ふふ (manimani)
2009-10-30 01:13:59
☆piaaさま☆
コメ早いですね~
ワタシもラストシーンではいろいろ考えました。
が、いろいろとほのめかされているのだけれど結論がいろいろあり得るというぼけたところがものすごく気に入ってしまって、ここは、あえて考察せずにあの場で起きた出来事に寄り添うだけで行きたいと思います。
しばらくはほんわかと過ごします^^
返信する
Unknown (さっくん)
2009-10-30 09:51:16
この映画、見たことはないのですが、曲は知っています。とても切ない、名曲ですよね。
カトリーヌ・ドヌーヴも綺麗で、いつか見てみたいと思っています。

私のブログですが、コメ大歓迎です。
manimaniさんのお名前でもちろんいいですよ。お暇がありましたら、見てやってください<(_ _)>。
返信する
 (manimani)
2009-10-30 20:47:46
☆さっくんさま☆
こんばんは~^^
有名中の有名曲ですけど、泣けますよね~ミシェル・ルグラン。映画中の曲はどれも難曲ばかりで、すごい要求水準高い~~と思いました。
カトリーヌも動いているとまた一層魅力的。

そちらにもお邪魔しますね~
返信する
いつもありがとうございます ()
2010-05-04 14:17:42
TBありがとうございましたm(__)m
manimaniさんの 観想を読んで
自分の書いた感想を思い返すと
・・・
私って なんて冷たいオンナ(猫)なの~~~!!!
と 思ってしまいました。(笑)
確かに・・・
なぜ ジュヌビエーヌは遠回りをしたのか?
・・・・
自分が捨てた 男の行方が気になっていたんでしょうね(たぶん 風の噂でGSを経営していたことは知っていたんでしょう)
でも・・
私には 彼女の愛情が 感じられませんでした。
彼女自身 ギイとの関係を
子供ちっくなものとして 思い
それを 自分の心の中で清算するために
会いに来た・・ って 気がしました。
私は オンナだから 女心に焦点をあててしまいます。どうしても・・・汗
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あら? (manimani)
2010-05-06 00:21:45
☆猫さま☆
レスしたつもりでしたが、投稿されていなかったようです~

で、なんだっけな?w

ジュヌヴィエーヴの未熟な愛情も込みでの悲恋なんだと思ってみていました。あれも彼女なりに誠実でいようとして、でも寂しさや不安に耐えきれないのもまた正直なところっていうのもよくわかるなあと。

年月が経って彼女にも自分が未熟だったことがわかってきていて、失われた恋を大切に思う気持ちで遠回りしたのかなあと、ロマンチックに眺めてみたり。

まあ、そんなロマンティストですわ。。
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