Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ゴモラ」マッテオ・ガローネ

2012-01-28 23:02:49 | cinema
ゴモラGOMORRA
2008イタリア
監督:マッテオ・ガローネ
原作:ロベルト・サヴィアーノ
脚本:マルリツィオ・ブラウッチ、ウーゴ・キーティ、ジャンニ・ディ・グレゴリオ、マッテオ・ガローネ、マッシモ・ガウディオソ、ロベルト・サヴィアーノ

巨大な犯罪組織カモッラに関わる人々の生きる様を描いた群像劇。

俳優だけでなく、刑務所の劇団員や現場でスカウトした素人を含めた登場人物がみな個性的なのが印象的だった。
立ち居振る舞いがまったく洗練されておらず見事に無様で。
そこが泣ける。

かっこよくまとめようとかそういことをまったく感じさせないところは
スタッフの素朴さなのか上手さなのか
実際にあの境遇にいる人々にはどう映るのか。

リアリズムというのはこういう無様さのことなんじゃないか。
そういうことでは今の世にリアリズム映画なんてほとんど存在しない。

***

観てだいぶ立つので人物の名前などはすっかり忘れてしまったが
あのマリアを騙して死に至らしめる少年の姿は深く刻まれている。

彼があの計画にのることになったときのチンピラたちの話し合いの中で
ガタイのいい兄ちゃんが彼に迫るとき
「YESかNOか?Noなら生きて帰れると思うなよ」
という言い方をしていた。

こういう過酷な二者選択に陥れるのが悪の道の常套手段なのだと
どこかで読んだのだが。

こういうダブルバインド的な追い詰められかたでしか
人生の選択肢を与えられない層に生まれた若者のことを
しっかり描いたことに
スタッフや原作者の思いを感じることができると思う。

『ドイツ零年』のころのロッセリーニを思わせる
新しい映画だと思った。




しかし高度成長期に形成された暖かい家庭で育って
ゆるゆる気分で生きて来た自分は
どうもこういう映画について語る言葉がないのだ。
なにも知らないのだから
ただじっと画面を見て知るしかないのだ。

そういう映画。


それと
あの舞台となる集合住宅の
なんとも冷たく巨大な感じがおそろしかった。
あれを設計建築したときはそこが吹きだまりになるとは考えていなかっただろう。


@イメージフォーラム

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