Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

吉野朔実「period」

2005-09-21 12:07:05 | book

 

 

暴力、突然の死、負債、利己主義、嫉み、恨み。
人間をとりまくどうしようもなくやりきれないこと。
大人も子供もない、負の力場。
その渦中に生きる幼い兄弟の軌跡。

ハルカとヨキ
純真と屈折を、成熟と未熟を併せ持つ兄弟。
これからいったいどうなるのか、本当に心配で切ない。

このコミックもいったいどこまで行くんだろう。
人間の暗部を赤裸々に、でも当然のことのようにして描いていく。
時折みせる兄弟の無垢な心が奇跡のようにきらめく。

それがこの物語の救いなんだろうか、
それとも救いのない物語なんだろうか、
やりきれない日常の諸悪に贖罪の契機は訪れるのか。

--雨は知らないうちに/雪になっていた
  雪の方が/雨よりはずいぶん/あたたかい気持ちがしたけれど
  太陽が/出ていないことに/かわりはなかった--
 (period 1・巻末より)

**

まだ進行中の作品。
年1冊のペースで単行本が出ている。

登場人物の名前が皆凝っていてステキだ。

1巻、2巻ともに雪のシーンで終わる。

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2 コメント

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おお、吉野朔美 (OZAKU)
2005-12-20 18:57:33
私も好きなんです。これは読んでないけど、「エキセントリクス」読みました?すご~く好きなんです。最近のはちょっと切れ味良すぎてついてけない感があるのですが、「エキセントリクス」は私の単純な頭でもついて行ける位の深さでよかったです。



でもこの作品も面白そう。久々に読んでみようかな、と思います。
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こんにちは (manimani)
2005-12-21 03:34:12
☆OZAKUさま☆

「エキセントリクス」は未読です。というか、吉野朔美、他の作品はほとんど読んだことがないのです。

読んでみたいです。

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